SS29 水先案内人としての仲間たち
なんか・・・ドロドロしてる?
そういう気で書いてるんじゃなないんだけど。
カラオケボックスのドアを開けると6畳間くらいのスペースが広がる。2人に促されるままに壁側のソファーに座った。彼らは、円筒状のいすに並んで腰かける。その様子をぼんやりと見つめた。2人はさして話さない。でも、目で会話している。
あ、そういうことか・・・。おめでたい事で・・・
テ―ブルを挟んでかずの二乗。まるでおろしたてのひな人形。お内裏様とお雛様。
2人はテーブルに置かれた選曲用のタブレットを見つめている。
でも、手は伸びない。
どこかで聞いたことのあるようなBGMが部屋の中を静かに満たしている。
「あのさ・・・なんか・・・いれな・・・・」
ギロ!
そんな擬音が似合うような、鋭い目線がかずえから放たれた・・・。
かずの方を見ると・・・・やれやれ、という呆れ顔。
なんだよ・・・息ぴったりかよ。
「なあ、別に歌わないなら・・・俺、帰っていい?」
意を決して俺は戦端を開くことにした。
「・・・・帰る?・・・帰るんじゃ・・・ないんだよね?」
静かな、落ち着いた口調が帰ってかずえの決意を物語っていた。
「こういちはさ、帰るんじゃなくて・・・・ショッピングモールに行くんでしょ?例の女に会いに。」
「・・・何のことだ・・・・・」
努めて、冷静に俺はしらを切る。
「ごめん・・・聞いた・・・いえ、無理やり聞き出したの・・・・夕子から・・・」
「何を?」
「レナって子のコト・・・惚れたんでしょ・・・・その子に」
「・・・いや・・・・・」
そうだ断じて惚れてんじゃない。
「なあ、浩一、正直になれよ・・・・その子が好きなんだろ?だから・・・カリナちゃんにも・・・・」
「見てたのか?」
「ああ、ほんとは先週、おまえと話したかったからさ・・・たまたま中庭行ったら・・・・」
ちょっと気まずそうな、カズ。
「あの後輩をふったのも、レナって子のためでしょ!」
「・・・・・・」
「それなら、それでいいんだ。でも・・・な?その・・・夕子に筋を通してほしいって・・・いうかさ・・・」
「・・・・・・・」
「・・・気づいているでしょ?夕子の気持ち・・・・夕子は・・・・こういちを・・・」
「友だちでも、仲間でもない、それ以上って思ってるよ。わかるだろ?」
「・・・・・・・・・・・」
俺はことさら反応せずに無言で2人の言葉を浴びた。
「いつまでも待たせないであげて。中途半端じゃ・・・・かわいそう・・・」
はぁ~。おせっかいな友人カップルの期待に俺は答えるべきなんだろう・・・・。
意を決して、俺はソファーから立ちあがった。
「わかった。じゃあ・・・けりをつけるよ・・・・・仲間の、友だちの・・・頼みだもんな・・・・。」
ポケットからスマホを取り出し、メッセージアプリを立ち上げる。
(今日、19時に Café Happy & Sadに来てほしい。話がある。)
そう、打った。
「お前らも、こいよ。仲間なら、最後まで見とどけろよ。お前らがふった・・・ダイスなんだから・・・どんな目が出ても・・・見とどけろよ」
顔を見合わせるカズとかずえ。
そして、静かに2人は頷いた。
なんか
暗い物語かもしれない・・・




