SS22 マスター、もう一度助けを
バイトしてる時代が、一番幸せだったかな・・・
バイトを始めて2週ほどたった。ウェイターにも慣れ、仕事が板についてきたと思う。
「まかない済んだ?こういちくん。」
「はい、さっき済ませました。」
「そう・・・今日はいつもにまして、暇だねぇ・・・・」
カウンター越しにマスターとおしゃべりをする。
ちらりと壁かけ時計に目をやると、15時を過ぎている。
「昼時も過ぎたし、いつものことじゃないですか。そろそろ常連さんがきますよ。きっと。」
「うん、そうだねぇ。」
カラララァン
来店を知らせるドアの音。
「いらっしゃいま・・・・・せ・・・・」
「よう、こういち、」
「いっちせんぱーい、こんにちは!」
「こ、こんにちは・・・」
来店したのは、智とカリナと恵子。
智とカリナはにやにやし、恵子はちょっとおどおどしている。
「お、知り合いかい?こういちくん。」
「あ、えっと、同じ部活の仲間です。」
「そう。じゃあ、席ご案内して、オーダーよろしく」
「あ、はい。・・・・3名様ですね。こちらへどうぞ」
そう言って3人を4人がけのテーブルへと案内する。
「ご注文はお決まりですか?」
いつも通りの接客をする。
「わ、先輩ちゃんと働いてる~」
「ああ、なんか新鮮だな。」
「ね、変なこといったら迷惑よ、ね?」
どうやら、恵子は、智とカリナに付き合わされたらしい。
「あのーオーダーを・・・」
「なんで、そんな他人行儀なんですか?」
「仕事中だからだよ、カリナ。あたりまえだろう?」
おれは小声でカリナに告げた。
「ま、そうだよな。じゃあ、おれ、アイスティー」
「あ、わ、わたしも・・・・」
「んじゃあ・・・わたしは・・・アイスコーヒー・・」
カリナは、そう言うと、意味深げに俺をちらっと見てきた。
「お待たせしました。」
アイスティーとアイスコーヒーを給仕する。
「せんぱーい。バイト何時に終わるんですか?」
「えっと、4時だよ。知っててきいてんだろ?」
「へへへぇ~。じゃあ、このあと、4人で遊びに行きませんか?」
「え、それは・・・ちょっと・・・その・・・」
バイト先には、バイクで通勤している。俺だけバイクでは、一緒には・・・。
「いいだろ?こういち。な?」
智も追い打ちをかけてくる。お前は恵子ちゃんといたいからだろ!まったく・・・。
「こういちくん~」
マスターが声をかけてくれた。
「あ、ごめん、ちょっと待ってて」
あわてたふりをして、マスターのところへ。
「すいません。マスター助かります。」
「ふふ。こういちくん、友だちは大事にした方がいいよ。特に、学生時代の友だちは・・・バイクなら、置いてっていいから、遊んどいで。ね?」
「でも、ご迷惑じゃ・・・」
「あとで持っててくれればいいよ。そうしな。」
マスターは、優しい微笑みを浮かべている。
「あ、じゃあ、わかりま・・・」
カラララァン
言いかけたところに、来客の鐘がなった。
「いら・・・・しゃい・・・ま・・・・」
さっきの来客より、動揺しているのが自分でもわかる。だって、入ってきたのは・・・・
「・・・レ・・・ナ・・・?」
思わず、呆然としてしまう。
「あれ、誰だ?」
「わ、わかりません・・・」
「・・・・おかべ・・・れいな・・・」
怪訝そうに見ている3人にも全く気がつかなかった。
マスター、もう一度助けを・・・・。
中古バイクのサイト見てたけど・・・
なんでその値段!って思うよ。
まあ、人気あるんだろうけどさ・・・。




