SS17 ツイン・トラブル
一回ランク入りしてたんだ・・・。
レイとレナに会った次の日。日曜日だったが、夕方、いつものようにフードコートへ。
日曜日とあって、フードコートは混雑している。レナの姿を探す。いつもの席は家族連れが座っている。以前すわっていたカウンター席みたいな席はいちゃついたカップルが座っている。
あたりを見回すが・・・・。それらしい人は見あたらない。
まだ来ていないのかもしれない。
そう思い、いや、そう思いたくて、とにかく空いてる席を探した。
すると、フロアーの端に、忘れさられたような2人席があいていた。テーブルを挟んでいすが二つ。
あそこだ!
おれは急いでその席めがけて歩き出した。さっと座り、しょっていたワンショルダーのバッグをテーブルに置く。
ice珈琲でも買うか、と立ち上がろうとした時、スッと俺の目の前にice珈琲が差し出された。
レナだと思い、顔を上げると・・・。それはレナではなかった。
40がらみの、細面の女性がice珈琲を差し出していた。もう片手にもice珈琲を持っている。親切で、ってわけではない。それは彼女の目でわかった。彼女の表情は、務めて笑みを浮かべようしている。
笑みを浮かべる口元とは裏腹に、鋭い目でおれを見ているのだから。
「少しいいかしら?加古川浩一くん」
落ち着き払った口調が、かえって彼女の決意のほどがうかがえる。
「ええ・・・どうぞ。」
席についた彼女は一口、コーヒを口にした。
「あなたもどうぞ。」
「え、あ、じゃあ、いただきます・・・」
「はじめまして、でいいかしら?加古川くん。」
「ええ、たぶん。・・・でも、何度かお目にかかってますよね?」
「やっぱり気づいてた。意外に周りを見てるのねぇ・・・ま、何度か目もあったしね。」
「いつも・・・うかがうだけでしたよね?今日はどういったかぜのふきまわしですか?」
「それは、あなたがよくわかってるんじゃない?岡部玲奈、私の娘、いえ、娘たちに会ったのでしょう?」
「ええ。いい友達だと思ってます。」
「いい友達ね・・・でもね、これ以上は踏み込んでほしくないのよ。わかるでしょ?もうすぐ、レナはいなくなるの。私たち家族はそうなることを・・・」
「ご馳走様。」
俺は彼女の言葉を、岡部玲奈の母の言葉を遮るようにして言った。
「確かに、僕は部外者です。家族じゃない。でも、友だちです。そのことだけは、自信を持っていえます。彼女の友だちです。」
俺は、いすを立つと、俺は足早にその場を後にした。
レイもレイの母も、レナを・・・・。
くそ、俺はショッピングモールの中を、あてもなく歩き回った。
望まれてないのはわかる。
だが、まるであいつらは・・・。
昨日のレイとレナの顔が頭をちらつく。
彼女たちが人格だけじゃなく、体も別れていれば・・・せめて双子として。
だが、彼女はレナは・・・。
毎日、数時間の一日。
レナは生まれてから、生きてきた時間は、俺たちよりずっと少ないに違いない。
くそ!くそ!くそ!
レナは生きたいと思わないのか?
気がつくと、外に出ていた。
盛夏の西日が否応なく照りつける。
駐輪場へ行き、手にしてた自転車用のヘルメットをかぶる。
2重のロックを外し、自転車を引き出す。
サドルにまたがる。
「くそ!どうしろってんだ!」
おれは勢いよく、こぎ出した。ぬるい風がねっとり絡みつくように頬を撫でていった。
じゃ、がんばります。




