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SS13 彼女の白いベスト

ごめんなさい。

長くなりました。

晴天の土曜日。

雲一つない晴れ。

雨でも降れば、中止の可能性も会ったのに。

なんか、行きたくないんだよな・・・・。TN高校。部活の奴らにレナのことがバレたら・・・・。

ま、カリナは知ってるけど。

カリナはレナとのことは黙っているようだ。

「ま、土曜だし、会うことはないだろうな・・・」

自分に言い聞かせるように、独り言を宣う。


「おう、土曜ってのに早いな?」

リビングに下りると親爺がコーヒーを飲みながら、ソファーくつろいでいた。

「ああ。部活なんだ。練習試合。」

「ああ・・・そうなんだ・・・」

親爺は少しがっかりしたようだった。

「ふふ、残念ね。早起きしてきたから、ちょっと遠くまで乗ろうと思ったんでしょ?」

キッチンで、朝食を作っていた母が言うと、親爺は図星という苦笑いを浮かべた。

「いや、明日は暇だから、乗るなら明日で。」

「おお、そうか!じゃあ、VTのバッテリー点検しておく!」

親爺は満面の笑みで答えた。

あわただしく朝食を急いで済ませ、ガレージへ。

親爺はもう、2台のバイクを整備し始めていた。

「じゃあ、いくわ。」

おれがそう言って自転車へ手を伸ばすと、

「ああ、こいつで行かないのか?」

とVT250スパーダを親爺は指さした。

「いや、まずいでしょ?バイクは・・・」

「TN高校だろ?けっこう遠いだろ?」

「いや、バイクを乗り入れるわけにはいかんでしょ?」

親爺はしばし考えこむ。

「ま、そうか・・・じゃ、気をつけて」

「うん。」


自転車をこぐこと、約一時間。

ようやくTN高校へ着いた。

土曜日なので、駐輪場もすいていた。

手近なところへ自転車を滑り込ませ、鍵を2重にする。

弓と矢は、顧問が車でまとめて運んでくれていたので、手ぶら。

えっと、弓道場は何処だろう。

きょろきょろしていると、校舎の近く、玄関口に立たずむ人影が目についた。遠目でも目立つ、ブラウスに白いベスト、セミロングの髪、凛としたたたずまい。


まちがいない・・・・・レナだ・・・・。


とっさに目をそらした。本当は、話しかけに行きたかったが、そんなところを他の部員たちに見られては大変だ。うちの高校で彼女の存在を知ってるのはカリナとゆうこの2人のみ。これ以上は増やしたくない。とりあえず、俺は、足早にその場を離れた。



「先輩、調子いいじゃなないですか?」

あっさり見つけられた弓道場。練習試合は俺が合流するとすぐに始まった。とはいえ、女子男子両方なので、待ち時間の方が長い。

「なんで3人立ちでやんだ?5人立ちでさっさと終わらせればいいのにさ・・・」

弓道場の裏で、愚痴を智にこぼす。

「しゃーねーべ、5人でやったら、男子すぐ終わっちまう。」

「そうだけどよぉ~」

「俺たちは、女子のおまけなんだから、大人しくしてるべ。」

そういって、智はスポーツ飲料のペットボトルをあおった。

「・・・・とりあえず、俺も飲み物買ってくる・・・・」

相手校の男子部員に自動販売機の場所を聞き、校舎に入った。土曜日ということで、校内は静かだ。吹奏楽部の練習の音がかすかに聞こえる。教わった場所へ向かう。知らない学校のせいか、なかなか見つけられない。

ようやく購買であろう場所(土曜なので閉まっていた)を見つけ、自動販売機へと歩み寄る。

ジャージのポケットから財布を出す。

小銭を取り出そうとしたときだった。

「おっと・・」

思わず、100円硬貨を落としてしまった。

転がる100円硬貨をあわてて追う。

バイクのタイヤのようスムーズに回転する100円硬貨は、やがて渦を巻くように転がり、ぱたりと床に倒れた。

俺が床に手をのばそうとした時だった。

誰かが100円硬貨を拾い上げた。

驚いて、顔を上げると・・・・。

俺は息をのんだ・・・。

白いべストが目に飛びこんできたのだ。


「はい、どうぞ」

拾い上げたのは・・・そう、レナだった。

「あ、うん。ありがとう・・・・」

いつも場所ではないせいだろう。他人行儀に答えてしまう。

レナはもう一人の女子と連れ立ってきていた。友人なのだろう。

「あ、お先にどうぞ?」

その、友だち女子の声に、はっとして、自販機へと向かった。

彼女たちの目線を感じながら、コインを入れる。

とりあえず、スポーツ飲料のペットボトルを選ぶ。

ガコン

取り出し口に落ちてきたペットボトルを引っ掴む。

「あ、ありがとう。れ、レナ・・・」

勇気を出して俺は彼女の方を見て、言った。

だが、レナは、え、という顔をした。そして、少し不安げな、いや、不審な面持ちで俺を見た。

うん?話しかけてはまずかったかのか・・・。

「え、なに、おかっちの知り合い?」

と件の友だち女子が興味津々の顔で、レナに声をかけた。

「え、あ、・・・うん。・・・そう・・・なんだ・・・」

「へぇ~、同中じゃないもんね、うち知らないし。」

どうやら中学時代からの友だちらしい。

「ふーん・・・他校の友人なんているんだ!意外!ねえ、どちら様?」

俺をしげしげと見た友だち女子は、さらに関心が高まったようだった。

反対にレナはかなり困り顔だ。

「あ、うんと、その・・・」

レナにしては歯切れが悪い。まるで、別人だ。その表情や話し方にかなり違和感がある。双子の別人だったか?でも、レナが彼女の名前であることに、友だち女子も肯定しているようだ。いずれにしろ、これ以上はレナに迷惑そうだ。

「いや、そんなたいそうな知り合いじゃないです。その、顔見知りって程度で・・・すいません、話しかけで・・じゃあ、試合があるので、失礼します。」

そう言って、俺は足早に彼女たちから離れていった。

その後行われた試合の結果は・・サンザンだった。

今どきは、硬貨で飲み物かわないか・・・。

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