SS12 週末の悪い夢
好意って・・・重い気がするよ。
なんか、もっと気楽な相手が欲しいよね。
だべっていられる相手がさ。
「来週の土曜、練習試合を組みました。男子も女子もです。」
女子弓道部荒沢部長から発表された。俺たちには根耳に水である。
「え、木村部長、俺たち聞いてませんが・・・・」
「あ~・・・実は、もともと女子だけのつもりだったんだけど・・・、向こうは両方だとおもってて・・・。」
歯切れの悪い男子弓道部木村部長。まあ、男子はおまけみたいなもんだしな。女性上位がSK高校弓道部の伝統だ・・・。
「そういうわけで、土曜は朝9:30にTN高校に集合よ。いいわね?」
「え、TN高校・・・」
思わず声が出てしまった。
「・・・加古川くん、なにかあるの?」
訝しげな荒沢部長。
「あ・・・いえ・・・遠いなぁって・・・・」
「あ、まあ、まあ、遠いけど、バス一本だろ?大丈夫だって。」
わが部長が取りなしてくれた。
が、一ノ瀬カリナは俺が声をあげた理由を知っているせいか、少しジトっとした目で見つめてきた。
とりあえず素知らぬ顔をしておこう。
「へー・・・うちの学校に来るんだ。」
ストローでice珈琲をすすると、レナはさして興味なさそうに言った。
いつものフードコート。いつもの席。例の大時計は18時をまわろうとしていた。
「ああ、土曜だけど。」
「あら、残念。平日なら、見に行ったのに。」
「やめてくれ。恥ずかしいから。」
「あら。私は母校の応援を・・・」
「うそつけ。部活に打ち込むという、俺らしくない姿を見る気だろう?」
不貞腐れるように頬杖をついて、明後日の方向を見る。
うん?
ちょっと離れた席に座ている女性と
目が合った気がする。いや、合った。あわてて目線を外した感じだった・・・・。年のころは俺の母親と同年代くらいだ。40がらみの女性。見たことあるようなないような・・・・。
「・・・・え・・・ねえ、ねえってば!」
「あ、ごめん考え事してた。」
「なに、いい女でもいたのかしら?」
悪戯っぽい笑顔を浮かべるレナ。
「あ、いや、たまにはチキンでも食べようかなって・・・・・」
「ふーん・・・・共食いね。」
呆れたように言うレナ。
「ええ、ええ。俺はレナを口説けもしない、チキンですよ。」
「・・・・違うでしょ、好意から逃げ続けてるからチキンでしょ?」
う、突然痛い所をついてきた。
「ゆうこさんといい、カリナちゃんといい、こういちはきちんと向き合えないチキンよね・・・」
冷たい声色でズバリと真実をついてきた。こういうところが、レナの怖いけどいいところだ。俺に足りない所を教えてくれる。
「・・・だってさ・・・わかんねーんだもん・・・」
「なにが?恋と性欲の違いかしら?」
「あー、それな。それは永遠にわかりたくないかも・・・・・・」
「正直でよろしい。でも、それは、女の子に失礼かも。」
「うん。」
「嘘でも、区別しなきゃ。」
「嘘、苦手なんだよな・・・」
「だから、チキンなの?」
「あー、それな・・・」
『フフフ・・・・・』
禅問答みたいな会話に、彼女との距離が縮まったように感じた。
もう一つの連載が進まないよ・・・。




