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授業が始まる。
セシリアは裁縫は繕い物をした事があるだけで、
刺繍の経験はほとんどなし。
ダンスも町で踊るような物だけで、
貴族がホールで踊るようなダンスの経験は少ない。
それもあって、入学試験は30人中26位と、
順位は決して高くはない。
ゲームでは、どの授業に出るか、
それぞれパロメータ―の伸びを見ながら入力していく。
恋愛イベントもあるが、
この授業のカリキュラムの組み方が重要で、
これを間違えるとグッドエンドには辿りつけない。
恋愛イベントと、能力を伸ばす事、
この二つを同時に上手にこなしていく必要がある。
でも、まあ、この辺はお姉さんにお任せなさい。
前世は態度がでかくて、うっとおしい兄しかいず、
転生後は一人っ子だったので、
妹ができたみたいで、嬉しいのだ。
常にセシリアと共に行動し、
カリキュラムはセシリアのパロメーターを、
一番伸ばせるように授業に出て、
思ったように伸びなかった時は、すぐさま修正する。
セシリアは寮生だが、
時には自宅に招いて、刺繍の復習をしたり、
ゲームとしてはずる(?)みたいな事もして、
確実にセシリアの能力を上げていった。
「キャサリン様は凄いですね」
「そうかしら?」
「刺繍なんて、授業に出る必要ないんじゃないですか?」
幼い頃から、母親に教えられ、
家庭教師からも教わっているので、
正直、学園のレベルはとうに超えている。
そもそもそうじゃないと、ヒロイン教える立場にならないし。
「ほら、おしゃべりしていると、間違っているわよ」
「あ、申し訳ありません」
「まずはチェーンステッチを覚えてしまいましょう、
文字を刺す時に使う方法で、一番使うから」
「はい」
真剣に針を刺すセシリアを見る。
私もチクチクと針を刺すが、
ハンカチにイニシャルを入れるぐらいなら、
セシリアが1枚を縫う間、5枚は縫えてしまうので、
私は難しい絵柄の刺繍をしてる。
「本当に凄いです、キャサリン様」
「あら、褒めてくれてありがとう、
休憩の時、お菓子増やしてもらうようお願い
しないといけないかしら」
おどけて言うと、セシリアが笑う。
今の所、セシリアの能力を伸ばす事は順調だ。
休憩のお菓子の時も、さりげなくマナーを教え、
この先王子とサロンで食事をしても、
上手くいくよう誘導している。
攻略対象は、
王子 ウィリアム・グローリアス
護衛騎士 アーサー・ウィルソン
公爵 フレデリック・エバンス
大商人の子息 エドワード・ジョーンズ
神官 ジョゼフ・デイル
の5人。
しかし、神官のジョゼフは、上の4人の攻略が失敗したり、
パロメータ―を上手く上げれなかった時に、
強制的に結ばれるキャラなので、
実質狙うのは4人になる。
今の所、セシリアは誰かに恋している感じはなく、
意外な事に王子に憧れているとかもないようだ。
まあ、恋愛イベントはこれからだし、
今の所5人と接点はないので、こんな所なのだろうか?
王子の魅力とかについて、
セシリアの恋バナを聞きたかった私としては、
物足りないものを感じていたが、
これから上手く誘導したら、
きっと恋に落ちるわよねと考えていた。