2-12
そうして、セシリアの魔力の調整、
学園での授業
代り映えのない日常のはずなのに、
なぜか王子に良く会う。
軽い言葉を交わすだけだが、
こんなにも頻繁に会うものだろうか?
特に、メアリーは王子を見つけるのが上手く、
王子を見つけては報告してくれる、
他にも、王子はこれが好きだとか、
意外にも人参が嫌いだとか、
様々な情報をもたらしてくれる。
それらを、さりげなくセシリアに伝えながら、
これも順調にセシリアが王子ルートに入っているって
事かなと考えていると、ある日事件が起こった。
「貴女、いいかげん目障りなのよ!」
甲高い声。
入学式以来ご登場、悪役令嬢。
エリザベス・ペンバートン嬢。
後で知った話だが、
セシリアは26位、エリザベス嬢は27位で、
完全な逆恨み。
しかも最近は、目に見えてセシリアの能力が上がって、
王子とも良く会っているとあって、
余計面白くなかったのだろう。
あ、いけない!と思う。
このシーンはゲームにもあった。
このままだと、エリザベス嬢にセシリアが、
後ろにある噴水に突き落とされてしまう!
ゲームの通りなら、噴水に突き落とされるのが、
正しい流れなのだが、無意識に体が動いていた。
セシリアを庇い・・・
ドン!
と体が大きく揺らぐ感覚。
そして、
バシャーン!!!
と大きな音を立てて、私は噴水に尻もちをついていた。
幸い噴水は浅く、
おしりが少し痛いかな程度で、
大きな怪我を負うような事はない。
私を突き飛ばしたエリザベス嬢は、
「私は知らないわよ!」
と叫んでいる。
あーびしょびしょ。
私は冷静に顔にかかった髪をよける。
着替えなかったなぁ、どうしよう?
そう思って立ち上がろうとすると、
「大丈夫か!」
と王子とアーサー様が駆け寄ってきた。
ああ、ゲームと同じ展開ねと思う。
手を差し伸べてくれる王子の手を、
あえて取らず、自力で立ち上がる。
「私は大丈夫です、王子、濡れてしまいますわ」
何でもない風に微笑む。
すると、あせった風の王子が、
自分のベストを脱いで、自分にかけてくれる。
あら?紳士ね。
「怪我はなさそうだな、
詳しい事は後で調べる、
とりあえずサロンへ行こう」
王子はさっと私を抱きあげる、
え?
これお姫様だっこってやつ?
いやいや歩けます!
「王子!濡れてしまいますわ」
王子は無言で速足でサロンに向かう。
サロンに着くと、
アーサーがさっとタオルを出してくれて、
王子とアーサーとが話をはじめ、
なにやら服らしき物を持って来てくれた。
「濡れたままでは風邪をひく、
申し訳ないが、着替えになりそうなのが、
私の替えの服しかない、とりあえずこれを着てくれ」
えええ~王子の制服?
いいんですか?
声にならないでいると、
サロンの衝立の後ろに誘導され、
メアリーによって強引に着替えさせられる。
うわーぶかぶか。
袖口を折って、ウエストはベルトをして、
なんとか着たものの、体格の違いは歴然だ。
「ありがとうございます」
衝立から出た私を、王子は顔を赤らめて見る。
うう、そんな顔で見られると、
こちらも照れてしまうわ。
アーサーが話しかける。
「今、伯爵家に使いを出しました、
着替えを持って来てくれます、
それまでここでお待ち下さい」
「何から何まで申し訳ありません」
「キャサリン様が謝られる事ありません、
その姿、似合ってますよ」
アーサー様の軽口に、思わず笑みがもれる。
「王子、本当にありがとうございます」
「ああ・・・うん」
王子は口数が少ない。
あまり突っ込まない事にして、温かい紅茶を頂く。
そうしていると、伯爵家からサラが来て、
半泣きだったので、サラを宥めるのが大変だった。
「キャサリン様は皆に愛されているのですね」
アーサー様に言われ、本当にそうだと、
転生して良かったと心から思ったのだった。




