表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
despair  作者: 十六夜
3/6

第二章 不良少年と毒舌少女

結果を言おう、俺達6人は授業までに間に合わなかった。

本当ならギリギリ間に合ったはずだった。しかし途中で邪魔が入った。



++++++++++++


情報室は三階にある、俺達の教室は二階にあるので、階段を駆け上がっていた時にあいつと出会った。あいつは三階の階段の前に立っていた。


「おいおい、こんなに遅い時間まで何をやってたんだ?」


「喋っていたら遅れたんだよ、悪いけど通らしてくれないか?」


「何で俺様がここを退かなくちゃいけないだ?嫌だよ、俺様より遅く来るやつは俺様を倒していけ。」


俺と今会話しているのは、荒川(あらかわ) 龍太(りゅうた)学園で暴れ回っているいわゆる不良というやつだ。学力は俺達よりも遥かに下の位で、この学園に入れるレベルでは無い。何故そんなやつが居るのかと言うと、この学園の理事長と校長がやつの叔父と父親だからだ。自分達の面子の為に無理矢理入れたらしい。

本人はそんな風にして入ったので好き勝手にしている、大抵授業は受けないしタバコは吸うしピアスもしてくる、周りの先生も理事長と校長を恐れて手を出さないでいる。

そしてあいつは自分の気に入らないやつをいじめて来る。大抵一週間から二週間で相手を変えるのでそこまで被害を受けた生徒は居なかった。

一番酷い被害を受けた人は荒川に嘘の噂を流されて彼女と別れたという生徒だ。しかし、今被害を受けている生徒はもう約五週間ににもなる、その生徒とは前原、つまり俺なのだ。

なぜそんなにも俺に対してのいじめが長いのかは、荒川本人以外誰も分からない。



「倒すって……どうやってだ?」


「もちろん暴力でだよ。」


とニヤニヤしながら言ってきた。

当然だか体格のいい荒川に小柄な俺が勝てるわけがない。それを知っていて言っているのだ。



「荒川なんかに勝てるわけ無いだろ。」


そんなやり取りを俺と荒川がしている間5人はどうすればこの場を逃げ切れるかを考えていた。ただしその中で風見は話し合いに参加せず、荒川の事を見ていた。そんな様子を西沢だけが知っていたが風見がどんな感情を持って見ているかは分からなかった。


「そこ、何をやっている。」


「あ、先生、すいませんちょっと荒川君と話をしていて……。」


中林が嘘を言ったがもちろん先生はどうして遅れたかは分かっている。しかし俺達の担任の先生は「お前ら6人は後で反省文だ、早く教室にいけ。」と言われた。


その中に荒川が含まれていないのは当たり前だ、しかし先生は俺達が荒川から逃げれるようにしてくれた。これが先生の精一杯のサポートだった。



「わかりました。」



そう俺は言って俺達は情報室に向かった。

荒川は「ちぇ」と舌打ちをしていた。

風見はそんなやり取りをしている間もずっと荒川を見ていた。

西沢はどうして荒川を見ているのかを不思議に思っていた。



++++++++++++


パソコンのカタカタという音だけが鳴っている中、突然放送がかかり先生の名前が呼ばれた。


「僕がいない間もしっかりとやっているように。」


そう言って先生は出て行った。無論言うことを聞く生徒などほとんどおらずほぼ全員が立ち上がり、友達の下へ行き雑談話を始めた。俺達もいつも授業が始まる前に集まるいつもの場所へ集まった。

集まる場所は柊の席だ。柊の席は一番後ろにあり、その周りの人たちは別の場所に行ってしまうのでそこだけ椅子が大量に余るからだ。その椅子に俺達は適当に座り話を始めた。

話の話題を作るのは大抵俺だ、今回は3日前に発売された漫画の話をした。



「でさー、その内容が俺はいまいち気に入らないだよ。」


「え…そうか、俺はなかなかいいと思うけど。」


「私も園町君と同じだよ。」


「嘘だろー、…西沢さんはどうなんだ?」


彰太と浅倉さんと意見が食い違ったのがショックだったが西沢さんはこっちの意見の味方だと願いながら声をかけた。


「えーと…私は……………ごめん分からない、柊君はどう?」


西沢さんは逃げ柊にバトンをパスした。



「……………………」


しかし柊から返事は返って来なかった。俺達とは違う方向を見ている。

俺は柊が見ている方を見てみた。他の皆もそちらの方向を見た。

そこにいたのは村井(むらい) (がく)瀬戸(せと) (いつき)だった。

俺が知る限り柊はあの2人とそこまで親しくは無かったはずなんだけれどもなーと思っていたら2人の話が聞こえてきた。



「それでさー、そこにいた警察はもうかんかんだったよ。」


「そりゃそうだろ、元々警察が捜査をて犯人のいる場所まで特定したのに、その後を全部ANTS(アンツ)が勝手に犯人逮捕して身柄を持っていかれたんだもの。」

「いや、でもあの状況は警察には………」



その会話を聞いて俺は柊に、「柊、お前ANTSの事が気になるのか?」

と聞いてみた。


「え……、いやそう言う訳では無くて…、えっと…、そんな凄い組織に入ってみたいなと思って。」



俺は出鱈目だと分かっていたが、本当の事を言いたくなさそうだったので、その話を繋げる事にした。



「何言ってんだよ、柊じゃANTSには入れないよ。」



「そうそう、あそこに入るなら頭が凄くいいか運動がめちゃくちゃ良くないときっと入れないぞ。」


と彰太が俺に同意して来た。


「それなら中林だったら入れるかもな。」


「優香も入れるんじゃあない?」


藤原と浅倉さんの言葉に2人は



「そ、そんな所に入れる訳ないよ。」



と2人は必死で否定した。


「でもさ柊、もし入れたら何をするんだ?」


中林の質問に柊は


「えっと…戦闘のサポートかな……。」


と答えたが彰太に


「どじって周りに迷惑かけそうだ。」


と言われていた。


「そんな事ないよ!!」


と柊は言ったが俺は


「いや、有りそうだな。」

と言ってやった。


「「「うん、うん。」」」


他の3人も頷いてくれた。


「そんなーーー。」




説明した方が良いだろう。ANTSとは4年前に出来た警察の様な組織である。しかし、名前は分かっているものの詳しい内部の事は分からず、漫画に出て来そうな裏の組織である。そこへの入り方も分かっていない、時々テレビに出てくるANTSの人達も教えてはくれないらしい。

最近はよく警察が捜査している事件を勝手に解決して処理したりという事が多いらしく、警察の方では公務執行妨害で内部調査をしようとしているらしい。この事に対して政府は黙認している。

しかし国民からの反発は強いようだ。

実際ANTSが出来てから迷宮入りする事件が40%から15%に減り、犯罪発生率も低くなったからだ。

とにかく謎の組織で将来警察よりも入りたいと言っている人も増えてきた。


廊下から足音が聞こえて来た。

「先生が帰って来たぞ!!」と誰かが言った。



俺達は元の席に戻った。


++++++++++++


火曜日の最後の授業は古典なのだか今日は授業変更で体育になり男女共にサッカーだった。

本来なら二チームに分かれて同時に試合をするのだがグラウンドを男女で半分にして使っている為今回は片方が試合をしてもう片方は見学となった。

俺達D組はC組の男子と試合をしていた。人数の関係でAチームとBチームの2つに分かれたのだが今回は運が悪かったらしく、俺だけがBチームになり柊、彰太、藤原、中林はAチームになってしまった。

話し相手もいず暇だったので試合をボーと見ていた。今回のAチームは彰太と藤原が主になって攻めて行っている。彰太は今は部活に入っていない。理由は中学の時は色々な部活をやっていたらしく、どのスポーツもめちゃくちゃ上手い、その為良く助っ人として呼ばれるので入部はしていないが殆どの部活に日替わりで出ているからである。藤原は元々運動神経が良いらしく彰太ほどでは無いが上手い。


まだ10分しかたってないがちょうど彰太がゴールを決め2ー0になった。


今度はC組のBチームが攻めてきた。どうやらC組は運が良かったらしくサッカー部が3人もいる。Aチームは運動が出来るのが彰太と勇大しかいないので、2人が抑えられてる間に残った1人が攻めて来た。DFにいたのは柊と中林だった。本当は後2人いた筈だが彰太と藤原の援護に行こうとしていたらしく慌てて戻って来ているが間に合いそうに無い。

柊と中林が2人がかりで止めようとしたがあっさりとかわされてゴールを決められた。まあ仕方ないだろうと俺は思った。


柊はテニス部に所属しているから体力はまあまああるがテニス以外の運動は全く出来ない。以前の体育でやったバスケやバレーでも下手だった。

中林は本当に勉強しか出来ない運動神経0の典型的な人だ。それでも頑張ってやろうという気持ちが有るだけ他の運動神経が無い人よりはましだ。

どうやらこっちのチームは一点のリードを守り切る為に全員でDFをするか、このままのやり方で続けていくかの二択を相談しているらしい。30秒ほど話し合ったあと試合が再開された。

彰太と藤原が攻めていった所をみると後者の方を選んだみたいだ。

そんな風に試合を眺めていると後ろから声をかけられた。


「随分と無謀な方を貴方達のチームは選択したみたいだね。」


後ろを振り向いて見るとそこにいたのはC組の川原(かわはら) 由季(ゆき)だった。

彼女は小中学校が俺と一緒なのだが何故か一度も同じクラスにはなった事がなく、全てお互いが隣のクラス同士と言う奇妙な腐れ縁である。中1の時にその事に川原が気付いて声をかけて来たのがきっかけで、体育の授業位でしか会わないのに親しくなった。

高校になってからもその関係は途絶えず、彼女はまた俺の隣のクラスのC組に入ってきた。

中学の時と違うのは部活が同じ吹奏楽部なので体育以外でも部室で話す様になった位だ。体育と部室以外ではお互いに話しはしないので俺の友達も藤原以外は川原さんと親しいとは知らない。

因みに川原さんは毒舌だ。


「川原さんもBチームなのか?」


「僕はBチームだよ。まあ僕達のAチームはお互いに良い試合をしているけどそっちのAチームはもう決着がついちゃったみたいだね。」


俺は女子の試合の方を見てみた。確かにお互いに互角の試合をしていた。C組もD組も攻撃と防御にそれぞれ指示する人がいるみたいでボールを取ったり取られたりを繰り返している。

相手のチームは分からないがD組の攻撃の指示を出しているのは西沢さんだった。西沢さんも藤原と同じでどんなスポーツでもそこそこ出来るみたいだ。

防御の指示は浅倉さんがしていた。浅倉さん自身は運動は得意では無いみたいだか指示は結構上手いらしい。

そんな様子を見た後俺はさっきの川原さんの言葉に疑問を感じたので尋ねてみた。


「どういう事だ?まだ時間はあるぞ。」


「そっちの試合を見てたけど最初の方C組は様子見をしていたからゴールを決めれたけど、その間にC組はD組のチームは園町君と藤原君以外は余り上手く無い事を見抜いている。だからもうD組はゴールを取れなくて取られると思うよ。」



Dクラスの方の応援からの声が聞こえた。どうやらボールを取られたらしい。

俺は振り向いて見てみるとその時にはもうC組はDF陣を抜き去ってゴール前まで来ていた。GKもシュートを防ごうとしたがフェイントをかけられてあっさりとゴールをされてしまった。


「ほら、あんな風に。」


「…………………」

俺は言葉を返す事が出来なかった。


結果は川原さんが言った様にあれ以降点数は取れずに2ー6で試合は終わった………


因みに俺達Bチームは3ー1で勝った。










第二章 不良少年と毒舌少女 了

感想アドバイス、良かったら下さい。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ