表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/47

第十二話 ドラゴンからの依頼

 俺はまたレイテアちゃんと一緒に出身高校の教室にいる。

 ドラゴンの見せる夢空間だ。 


「おじさま、ここは」

「前と同じだね」


 改めて見るとレイテアちゃんは十四歳なのに、母校の制服が似合いすぎてビビる。

 顔立ちからするとスラブ系っぽい美少女。そのせいで発育も早いのかな。身長も百六十ぐらいはあるし。


「あなた方はそのスライムに与える糧が欲しいのですね」


 髪、肌、眉毛にまつ毛、瞳、全てが白い美女。ドラゴンだ。


「ずっと見てた?」

「ええ。そしてあなた方が我らに感謝を捧げたことも見てました」

「本当に感謝しています。おかげで立派な骨格が出来そうです」


 レイテアちゃんが貴族の礼をする。 

 あれだ、スカートの端を摘んでお辞儀するやつ。


「あなた達にお願いしたい事があります。その対価として私の右腕と精神感応の魔導を授けましょう」


 何だって? 右腕だと?


「我らの身体はそのスライムにとっては最良の糧、それに見合う頼みごとをしますから」

「何をすればよろしいのですか」

「我が同胞が帝国の謀により苦しんでいます」


 ドラゴンの話はこうだ。

 帝国は優れた特性を持つハルミヤ鋼を独占しようと、ドラゴンに手を出したらしい。

 ある日一頭のドラゴンへ楔のような形をした器具を打ち込んだ。


 打ち込まれたドラゴンは同族と精神感応も出来なくなり、まるで別人に変わったようになり、他のドラゴンもその器具が放つ呪いのような波動のため近づけない。


 依頼としてはその器具を抜くか破壊。それが叶わなければそのドラゴンを死なせて欲しいとのことだ。


「難易度高いが、俺たちのゴーレムなら可能かもしれない」

「おじさま! やりましょう」


 目覚めるとレイテアちゃんの工房の中だった。

 うたた寝してたらしい。 


「お嬢様、お茶をお持ちしました」


 侍女のカシアが入ってくる。


「随分とお疲れのご様子。寝室へ行かれます?」

「大丈夫よ、カシア。少しうとうとしただけ」


 カシアは十五歳。乳母の娘さんだ。母親似のブラウンヘアをポニーテールにまとめて、利発そうな顔つき。姉妹同然に育ったからレイテアちゃんにとっては姉だな。

 そんなカシアが心配そうにレイテアちゃんを気遣う。


 大魔導士ポーシェの講義と魔導の訓練を受け始めて三日目。

 レイテアちゃんの希望もあって連日深夜に及ぶ。

 そろそろ疲れもするさ。


「お休みなさった方がよろしいですよ。カシアは寝室の支度をしてまいります」


 そう言い残してカシアが工房の外へ出た時。


「きゃあぁぁっ!」


 まさに絹を裂くような悲鳴。


「カシアっ! どうしましたの」


 外へ出てみたらびっくりした。


 長い長い胴体。ふさふさの白い毛で覆われている。十メートルはくだらない。

 二対の羽は天女の羽衣を連想させる美しさ。生物感がない。

 馬のような長い顔。

 立て髪みたいな毛の中から二本の赤い角が後ろに流れるようにのびている。

 優しげな白い瞳。

 短めの脚で地面に立っている姿は神々しささえ感じる。


 あ、ドラゴンだ。本能でわかった。爬虫類っぽくなくて哺乳類って印象だ。カシアは腰を抜かして尻餅をついてる。


 ドラゴンはいきなり右の前脚を俺たちの方へ差し出す。 

 すると音もなく地面に落ちた。

 前脚がだ!

 切断面は綺麗なものだが……一体どうやったんだろう。


 そのままドラゴンは羽ばたき空へと消えていく。

「お、お、お、お嬢様! はっ早く避難を」

「大丈夫よ、カシア。もうドラゴンは帰ったわ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ