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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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制御球回収。

「さ、次は私の番だね」

「え?何でだよ、俺とフィルさんで村長、キヨロスが亡霊騎士で問題ないだろ?」


「ん~、さっきまではそれでも良かったんだけど、アイツのアーティファクトが凄くってさ。

だからお爺ちゃんは私について行くように言ったんだなってわかったんだ」


マリーが流暢に喋った事でフィルさんが怪訝そうな顔をしている。

「そんな顔しなくて大丈夫よ…お姉ちゃん。全部うまくいくから」


そして僕の方を見て「次の次もアンタなら勝てるんでしょ?」と聞いていた。


「次も勝てるよ」僕がそういうとマリーはニコッと笑った。


「それならやっぱりこの方法がいいと思う。

アンタさ…暴れてる姿、ちょっとおっかないけどなかなか格好良かったよ」


そう言って青いブローチを僕に渡してきた。

「これ、必ずおじいちゃんに渡してね。

渡せばわかるから。

もしお爺ちゃんにもう少し持っていてって言われたらその通りにして」


「どうして?」


「いいの、どうしても。多分お爺ちゃんが言わなくてもアンタならすぐにわかると思う。

そして万一お姉ちゃんやカムカに何も無くて私にもしもの事があったときには跳ばないでお爺ちゃんのところに行って」


「それって…」

死ぬ前提なのか?と聞けなかった。


「それが一番いい方法だから。

ただ、私が居なくても私も跳ばしてね。

いい?約束よ」

マリーはずっと笑顔だ。

清清しい、晴れやかな笑顔。


「ああ、わかったよ」

それを前に僕は言われる通りにする事しか出来なかった。


「ありがとう。あ、忘れてた。後はお爺ちゃん達を怒らないでね。悪いのは全部村長だからさ」


勘繰れば勘繰れない事も無いが、今は言われた通りにしよう。


「もし、結果が気に入らなかったら僕は勝手に跳ぶからね」

「それでもいいよ。でも一回はさ、辛くてもお願いね」


僕が「わかった」と返事をすると、マリーは「ありがとう」と言ってはにかんだ。


「じゃあ、行こう!ほらお姉ちゃんもカムカもそんな顔しないの!私なら大丈夫だからさ」



亡霊騎士が佇む。

もう僕は怖いとは思わなくなった。

未だにフィルさんはマリーに考え直すように言っている。


「さ、行って」

マリーはケロッとした感じで僕達を見送る。


「すぐ戻ってくるからね!」

「無理すんなよ!」


「はいはい。わかってるよ」

マリーは「仕方ないなあ」と言いながら困り笑顔で答える。


「後のこと頼んだからね」

「わかってる。大丈夫だよ」


「そうだね、アンタならやってくれるね。私しっかり見てたからさ、わかるよ」


「さ、行って」

もう一度マリーはそう言って僕達を見送った。


「絶対、絶対に…すぐに戻ってくるから」

そう言ってフィルさんは走り始めた。


そのすぐ後ろをカムカが追う。


「さ、お待たせ」

そう亡霊騎士に話しかけるマリーを見ながら僕は山に入っていく。



「早く登らねえと亡霊騎士が来ちまうな」

カムカはそう言ったが僕はそうならない気がしていた。


「キョロくん?」

「多分、多分だけど亡霊騎士は来ないと思う」


「何でだよ?」

「まだわかった訳じゃないから説明は控えるけど、多分亡霊騎士は餌、マリー目当てでここに来たんだと思う、ただ…だからってゆっくり行っていい理由にはならないから急ごう」


そう言って僕は山道を駆け登る。


村長の家は最早何の問題にもならない。

門はカムカが破壊したし、毒の部屋はフィルさんが綺麗にしてくれた。

カムカは「この顔見てるとイライラする」と言いながら像をまた壊していた。


僕は毒の部屋を綺麗にしたフィルさんを心配したが、この程度の毒なら一晩休めば問題無いとムラサキさんが教えてくれた。


毒の部屋の先、廊下に村長は居た。

今回はマリーが居ない事に対して村長が反応していた。


「村の協力者からはお前達と餌が出たと聞いたが餌はどうした!!

あれか!途中で奴が出て襲われたか!?」


僕はマリーを餌と呼ぶ村長のこの顔がどうにも気にくわない。


「ペックの奴め、私に餌を差し向けるなんてとんでもない奴だ。

目をかけてやった恩を忘れやがって!!」


恩?

僕の想像通りならコイツのやった事は到底許されるものではない。


「まあいい、このボウガンを受けてみろ!このボウガンにはな…」

言い終わる前にカムカが動いた。


「毒だろ?知ってるよ。

お前はすぐ制御球を壊すからその前に殴る」

「ふべっ!?」

普段のカムカからは想像もつかない怖い顔、怖い声で瞬く間に村長の前に立って顔面を殴りつける。


「おっと…、行かせねえよ」

そう言い、吹き飛びそうな村長の足の甲を踏みつけて押さえつける。


「小さな女の子を餌って呼ぶな…ってさっきも言っただろ?」

「小さな女の子を人質に取るんじゃねえ」

「村長が村人を脅迫するな」


多分村長は聞こえていない。

速さを優先したカムカの連続攻撃が右や左から繰り広げられ話している最中も村長の顔面に叩き込まれて行く。


多分、村長は意識を失って倒れようとしているが、カムカの連続攻撃で倒れることすら許されない。


村長の頭を鷲掴みしたカムカ。

「制御球は俺たちが貰う」


慣れた手つきで胸元から制御球を取り出し僕に渡してきた。

「キヨロス。お前が持っててくれ」

「うん」


カムカを弱いとは思わなかったが、この事で見る目が変わってしまう。

格好いい。

兄とはこんな存在だろうか?


「カムカ、後はお願いね」

フィルさんがそう言う。


「わかってる。もうあんなのはゴメンだ。フィルさんもよろしく頼むぜ」

そう言うとカムカは村長を奥の部屋に向かって投げつける。


村長は部屋の扉を壊しながら奥の部屋に入って行く。

それに合わせてフィルさんが僕とカムカの前に立ちムラサキさんを構えた。

「【アーティファクト】」

ムラサキさんから光が発せられて僕達三人を守る壁が出来た。


奥の部屋が光の壁を通してもわかるくらいに光った。


そして赤い色、青い色、見覚えのある光、三色の玉が飛んできた。


「アーティファクト砲?」

「そう、村の協力者がペックお爺さんのアーティファクト砲を調べて村長に教えたんだろうってマリーちゃんが言っていたわ」


「赤は火、青は水、光は雷だ」

「4回目かしらね、村長が命乞いをしてきたから助けたら部屋を開けて攻撃してきたの」

「部屋を開けると発動するように改造していたんだろうってマリーが言っていたよ」


ここまで清々しい悪党も居ない。


この展開を見るとまともに跳んだ分だけフィルさん達は嫌な思いをしたのだろう。


制御球も手に入れた。

さあ、マリーのところに戻ろう。

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