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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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亡霊騎士。

[7日目]

起きると空はあいにくの曇り空だ。

ガミガミ爺さんは四の村に入れるかを心配している。

「多少でもお天道様が射し込んでくれれば、そのうちに村に入っちまえるんだがな…」

とりあえずこの場で待つのも得策ではないので四の村を目指すことにする。


トキタマだが、朝から大激怒であった。

「お父さん!僕はババアに毒を盛られました!」

「私が飲めないお酒で潰れた時に喜んで居たのは誰ですか?その仕返しです」


「ムキーーー!」


「まあまあ、そこは俺の筋肉に免じてだな」


「筋肉の人はうるさいです!そもそも筋肉の人が食べさせなければ僕は寝ませんでした!」


「お前だって食べる時に貸しだの何だのって言ってただろ!」

それで昨晩カムカは一瞬固まったのか…


「え?そんな事を言っていたの?」

僕はトキタマのその発言に引いてしまった。


「え?僕はそんな事言っていませんよー。所でお父さんは僕が寝ている時に何をしていたんですか?跳びたくならなかったですか?」


「え…、特に跳びたくなるような事件は無かったよ…ははは」

「トキタマくん、それはねぇ…知りたい?」


「知りたいですー」

「全部終わったらお姉さん達が一の村に遊びに行こうって話で盛り上がったんだよー。

キヨロスくんの故郷の人達によろしく挨拶をするって話になったんだー!」


「あー、お父さんはその場になったら跳んで逃げたくなるかも知れないですねー」

トキタマはその事に気を良くした。


更に僕とガミガミ爺さんとの会話で、これから四の村の近くに行って亡霊騎士が現れて危ない時にはここに跳んで戻ろうと相談をしていたら「それはいい考えですねー」と上機嫌になっていた。



温泉を後にして歩いていると所々雲間から光が射してくるので、この分なら問題なく四の村に行けるかもしれない。


「あれが四の村だ」

遠くに村が見え始めた辺りでガミガミ爺さんが指差して教えてくれた。

だが、まだ所々は雲が出ていて太陽が射し込まない。


ガミガミ爺さんの緊張が伝わってくる。

亡霊騎士とはそんなに危険な存在なのか?


徐々に四の村が近付いてくる。

もう少しといった所でガミガミ爺さんの足が止まる。


視線の先には濃紺色の全身鎧の人が佇んでいた。


「亡霊騎士…」

ガミガミ爺さんが憎々しくそう言っている。


あれが亡霊騎士…。

初めて見る気のしない姿だ。

ただそこに存在していないかのような雰囲気についつい見入ってしまう。


「見るな!目を合わせるんじゃねえ!!」

ガミガミ爺さんが慌てて僕達に言う。


「奴は目を合わせた相手が目を逸らした瞬間に襲いかかってくる。

額の制御球が今は緑色だから多分さっきまで陽の光があったんだ、制御球が緑色のおかげで今はまだ待機中だが、あれが夜になったり陽の光が無くなって…光の力が力尽きて赤色に変わると戦闘状態になる。そうなったら近くに居るもの全てに襲いかかってくる…」


ガミガミ爺さんはなんでこんなに詳しいんだ?


「小僧、剣はまだ抜くな。

攻撃の気配を察知したら奴は昼間でも戦闘状態になる。

フィルはいつでもムラサキを使えるようにして、奴の動きに注意しておけ。

小童、お前は気を抜くな。奴の動きは早い、動き始めたら真っ先に姉ちゃん担いで村まで走れ。

姉ちゃん、今はフィルの後ろにいろ、奴が動いたら小童にしがみつけ。


全員、奴は村の中までは追ってこない。

万一の場合は村まで走れ。

そして奴を見るな、だが意識は奴に向けて集中しておけ。


小僧、もしもの時は頼む」


僕はわかりましたと返事をしてガミガミ爺さんの言う通りにした。



四の村まであと少し、走れば何とかなるかもしれないと言うところまでやってきた。


「無理だ、奴は高速イノシシよりも速く走る。しかも徐々に速くなるんじゃねえ、一歩目から最高速だ…」

僕の気持ちを察したのかガミガミ爺さんがそう言った。


だが、亡霊騎士は騎士とは言っているが、武器は何も持っていない。


「ガミガミ爺さん、亡霊騎士は丸腰だよ」

「いや、奴は全身が武器だから油断するな」


「ちょっとアレ!」

ジチさんが慌てた声を上げる。

額の制御球が緑色から黒色に変わっていく。


「マズい!陽の光が足りなかったんだ…戦闘状態になるぞ!走れ!!」

ガミガミ爺さんの声で全員が走り始める。

カムカは真っ先にジチさんを担いで走り始めた。


「小僧、フィル、奴から目を離さずに走れ。勝ち目はない。村にたどり着く事だけを優先しろ!」


俯いていた亡霊騎士が顔を上げる。

額にあった緑色の美しい球は血のような赤い色に変わっていた。

亡霊騎士は鎖から解き放たれた獣のように全身を身震いさせてこちらを睨みつけている。

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