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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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アリバイ工作。

「カップの限界…、分不相応のアーティファクトを装備した場合ですか?」


「ええ、後は複数のアーティファクトを無理矢理装備した状態の話です。」


「でも、それは電気が走って痛みと衝撃で持っていられない…」


「アーティファクトはそれすらも耐えれば持ててしまうのです。

ただ持てれば限界を突破して全てを克服したと言う訳ではない。

人の理を、人としての枠組みを超えてしまった存在になる。

最早人ではなくなる。

おそらく今の王がその存在。

だから国中のアーティファクトを求めているのでしょう。

元々、何のためにアーティファクトを求めたのかもわからないままに…」


「それで昨日お姉さんが、王様にアーティファクトをあげてしまおうって言った時にダメだって言ったのね」


「そうです」


「でもそんな事を簡単に出来るの?」


「方法は無いわけではありません。ただどうやってその方法を手に入れたのかは想像もつきません」


王様との話し合いが難しい事がわかり、みんなの顔が暗くなる。


「俺とキヨロス、それにフィルさんが居ればどうって事ないってばよ!」

しかしカムカが元気づけてくれる。

みんな難しいと思いながらも「そうだね」と口々に言う。


「さて、最後はこれから先の話をしましょう」

ムラサキさんは僕達が落ち着いたのを見計らって話しかけてくれた。


「今晩の出来事を「時のタマゴ」に悟られてはなりません。

きっと、強制的にこの時より前に戻されて、更に意思介入をしてでもこの時間にならないようにされてしまいます」


確かに重ねて行動をすれば可能だ…

「今晩の事は、私しか知らないイタズラを「時のタマゴ」に仕掛けたことにします。

おそらく明朝、何があったのかを聞かれます。その時は…」

「お姉さん達がうまくやるから安心して、恋の話をしたことにするからさ!」


「だそうです。良いですね」

「はい、ただ…トキタマは僕の考えを読むみたいだからバレてしまうんじゃないかと思うんです。」


「それなら大丈夫です。私の力で今あった事を読み取られないようにしますから」

「あ、昨日の夜に言っていた事、あれは本当だったんですね」


「はい。色々手の内は隠しておきたいので「時のタマゴ」には内緒にしておいてくださいね」

「わかりました」


「フィル」

「はい」

そう言うと、フィルさんはムラサキさんを手に取る。


「キヨロスの頭に私を向けてください」

「はい」


「記憶を守るイメージをして私を使ってください。」

「はい。【アーティファクト】!」


ムラサキさんが光る。

僕はあまりの眩しさに一瞬目がくらんだ。


「これで大丈夫です」

「ありがとうムラサキさん、フィルさん」


「いいえ、邪魔のない中であなたと話ができて良かったです。キヨロス。フィルの事を助けてくれてありがとう。私はキチンとお礼も言いたかったのです。

さあ、話はおしまいです。


これからも跳ぶ事は避けられないと思います。

それでも、魂を削ってまで跳ぶ価値があるのかを意識しながら跳んでくださいね」


「はい」


僕の返事を聞くとムラサキさんは顔をしまった。



「それでは聞かれた時用の恋バナかな?」

ジチさんが悪い顔をしてフィルさんと僕を見ている。


「あの情熱的な抱擁をどう思いますか?」

カムカに話を振るジチさん


「おい、姉ちゃんよお」

「おーっと、お邪魔虫禁止!明日の朝困るから禁止。カムカはどう思った?」


「…羨ましかった。キヨロスばかりズリいと思いました。筋肉量では俺のが勝っているのに負けた気がします!」


「羨ましい宣言出ました!キヨロスくんはどうだった?」


「言えないですよ!!」


「それは良かったーって事だね。良かったねフィルー」


「あれこそ無我夢中だったから…恥ずかしいから言わないで」


「良いねぇ、青春だね〜。


あ、キヨロスくん。お姉さんは優しいから一の村で待っている子にはこの事は内緒にしておいてあげるからね!!」


「!!!?」

まさかここでリーンの話題が出てくるとは思わなかった。


「この旅が終わったらみんなで一の村に遊びに行くのも良いかもね!」

「兄貴分としてはやはり大事だよな」

「俺も小僧の親御さんにあいさつくらいはしたいな」

「私もキヨロスくんの故郷を見てみたい」


確かにみんなが一の村に来るのは歓迎だが、この話の流れは良くない。


「あれ、何だったかな?キヨロスくん覚えてるかな?お姉さんには仲のいい子は「キョロ」って呼んでるって教えてくれたのよね」


…そう言えば倒れる前にそんな話をしていた気がする。

まさか今になって蒸し返されるとは思わなかった。


「もしその子がフィルとの事を知っちゃったら「キョロ、私跳ぶのは頑張って耐えたけど、そんな美人のお姉さんの胸に顔を埋めたなんて、耐えられない!」とか言いそうじゃない?」

何故だろう、ジチさんにリーンが乗り移った風に見える程に口ぶりが似ていた。


「キヨロスくんのお母さんの耳にも入っちゃったら「うちの子がそんな事をするなんて、お母さん信じられない」って泣いちゃうかもね」

こっちはそんなに似てない。


後は勝手に、友達だ友達の親だとジチさんが「国1番の美女と一の村のヒーローが…」と言うお題で盛り上がってカムカが合いの手を入れていた。

僕は半ば呆れながらそれを見守る。


「まあ、頑張ろうぜ」

ガミガミ爺さんがまとめと言わん感じで僕にそう言ってくれた。


「ガミガミ爺さん。色々ありがとう」

「へへへ、よせよ」


「キヨロスくん!」


「フィルさん?どうしたの?」

ちょっと怖い呼ばれ方をしたので僕はついつい身構えてしまう。

ジチさんの冷やかしを放っておいたから怒っているのかもしれない。


「ごめん、ジチさんを止めないのが嫌だったよね?やめるように言うね」

「違うの…」


何が違うのだろう?

「…私も…親しい呼び方…してもいいかな?」


フィルさんはそう言うと気恥ずかしさからか真っ赤になってしまった。

フィルさんは本当に友達が欲しいみたいだ。

別に遠慮なんてしなくていいのに…


「だめ?」


「小僧は小僧だろう?どんな呼び方したってこの小僧は嫌がりやしねえよ…」


「お爺ちゃんには聞いてないの!」


フィルさんはもう一度僕の方を向いて「ダメ?」と聞いてくる。


「別に、好きに呼んでくれていいよ」

「本当!!」


そう言うとフィルさんは笑顔に戻ってジチさんのところに行ってしまった。


「ウチのフィルもなぁ…やれやれだぜ」

ガミガミ爺さんが笑いながらそう言う。


「同年代の友達も居なくて、村では女神様なんて呼ばれていて特に友達もできにくかったんですよ。

今は僕やジチさんにカムカが居るから、フィルさんは頑張っているんです。

そう悪く言わないであげてくださいね」


「小僧…おめぇ…」

ガミガミ爺さんは僕をみてポカーンと口を開けてしまった。


しばらくすると「はぁぁぁっ…、小僧もまだまだお子様だって事か…」と言ってから。


「まあ、これからも気長によろしく頼むわ」

そう言ってガミガミ爺さんは立ち上がるとジチさんに「おい姉ちゃん、明日も早いんだから俺はもう寝るぜ?静かにしてくれや」と言って、この騒ぎをまとめてくれた。

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