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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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同時装備の理由。

焚火からパチパチと言う音が聞こえる。

フィルさんは僕の頭をなでながら「大丈夫だから落ち着いて」と何回も言ってくれている。


「キヨロス、ごめんな。俺さっきまでお前は特別なアーティファクトを授かって使命に燃えて調子に乗っている子供だと思っていたんだよ。それが違うってさっきボスさんとフィルさんに教えて貰ってさ、どんな顔をしていいのかわからなくなっちゃってよ」

「あの時にバレたら水の泡だからね、だからお姉さんが薪で頭をコツンとやったんだよ」

カムカが突然話し始めてきて、ジチさんが合わせて話をする。

そうだったのか、あのカムカの暗い顔は僕の事を気にかけてくれていたのか。


「俺、何かしてやりたくて空回りしそうだったけど、いつもの感じで場を盛り上げて何とかトキタマに飯を食わせる事が出来て良かったと思っている」

「あれは良かったよな」

ガミガミ爺さんもカムカを褒めている。


「俺、こんなだけどお前の仲間とか兄貴みたいな感じで助けてやっからよ!

一緒に城に行って二の村の皆の仇と一の村の皆の為に頑張ろうぜ!」

とても嬉しい申し出だけど僕は依然フィルさんの胸の中に居て口を開けられない。


「おやおやおや~。フィルってば随分と情熱的ね~。キヨロスくんが固まっちゃっているわよ?」

ようやく状況に気付いたジチさんがフィルさんに言ってくれた。


「え?やだ!違う、そうじゃないの!!」

「フィル!お前いつまで小僧をそうしてんだ!!嫁入り前の娘が何やってやがる!」


ガミガミ爺さんの声でハッとなったフィルさんが僕を放す。

フィルさんの胸元は、確かに僕がそこに居たと言う証のように僕の涙で濡れて居た。


「キヨロス、「時のタマゴ」が目覚めるまで後少しの時間がありますので、大事な事を先に伝えます。アーティファクトの同時装備の話です」


それは僕も気になっていた。

どうして僕は3つのアーティファクトを装備できるのか…


「人を器として説明をします。

ドフ…そのカップを空にして私の目の前に置いてください」


「このカップが人間だと思って見てください。

そこに、才能や能力に将来の可能性など色々なもの、魂を水だとします。

ドフ、半分くらいまでカップに水を注いでください」

ガミガミ爺さんが言われた通りに半分くらいまで水を注ぐ。


「フィル、大きさの異なる小石を4つ用意してください」

フィルさんがガミガミ爺さんの前に小石を置く。


「この小石がアーティファクト。

ドフ、1つカップに入れてください」


ガミガミ爺さんは下から2番目の大きさのものをカップに入れた。

カップにはまだ余裕があるが水かさは増した。


「どうでしょう?

水が溢れる大きさのアーティファクトは授かれない事が何となくわかりますか?」


何となく概要は掴めた。

個人差があるのは人間、器の大きさによるのか。

中の水が魂や可能性、才能。


「S級アーティファクトを授かれる人間は器の大きさが他の人間より大きいのです」


そうなると個人差は出るが、フィルさんもC級のアーティファクトを装備できるのか?


「ただ、キヨロス…あなたの場合は少し話が違います。ドフ…カップの水を減らして、そこに他の小石を入れてください」


ガミガミ爺さんが戸惑いながらカップの水を減らし、そこに他の小石を入れる。

水が減っているので当然小石を入れても溢れる事はない。

「これがあなたです。キヨロス」


何となくわかっていた。

跳ぶ度に魂をすり減らすと言っていた事とこのカップの話。


「今のあなたに水がどれほど残っているのかを私は知る事が出来ません。

ですが、決して潤沢では無いという事は心しておいてください」


「はい」


「俺が筋肉でなるべく跳ばないで済むようにするから安心しておけ!」

カムカが腕を見せて笑いかけてくれる。


「お姉さん達も頑張るからさ!」

「みんな、ありがとう」


ここで話を終わらせる事も出来るのだが、僕は1つの事を気にしていた。


「ムラサキさん、もしカップの中の水が無くなったら人はどうなるの?」

「それは死です」


「僕の場合は?」

「…」


「知らない?

それとも言えない?

大丈夫。もう覚悟は出来ているから」

僕は努めて明るくそう言って笑う。


「小僧…。だからよお、こんな時に笑う必要なんてねえんだよ!」

ガミガミ爺さんが耐えきれずにまた泣く。


「…ただ「時のタマゴ」の思惑通りに跳ぶだけの存在に成り果てます」


大体想像通りだった。


「しかし跳ぶ為には魂を使う。

身体に残った最後の魂まで使い果たすと、あなたは他の人とは異なるのですが、ある種の死を迎えます」


「人と違うというのはあの世にも行けなくなるという事ですね」

「そんな…」と言いながらフィルさんが悲しそうな顔で僕を見てくる。

しかしムラサキさんは止まらない。


「そうです。

そしてあと2つ、話をさせてください。

カップの限界を超えた水の話です」

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