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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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真の注意点。

「まず、何から話せば良いでしょう…。時間は限られています。落ち着いて聞いてください」

ムラサキさんはそう言うと、神の使いが教えてくれなかったトキタマの注意点を話してくれた」


・「時のタマゴ」を授かった者や手に入れた者は不死の呪いにかかる。不死と言うのは死ぬ度に時を跳ばされて死ぬ前に戻されるもので決して不老不死ではない。寿命が尽きた時は若い頃に強制的に跳ばされる。

・「時のタマゴ」は使う度に使用者の「人間性の欠如」が酷くなる。

・「時のタマゴ」はその場でのみ記憶の改ざんや意識操作、意思への介入が行える。

・跳ぶ度に使用者の魂はすり減っていく。

・跳ぶ距離や時間によって負担の内容は変わっていく。

・一緒に跳ばすものがあればあるだけ魂への負担が増えていく。


そう言う事だった。


「いきなりで考えが追いつかないよね?

怖くなっちゃうよね?」

フィルさんが優しい声で僕を安心させようとしている。


これで僕が昨日跳ぼうとした時に3人が怒った理由がわかった。

「ガミガミ爺さん達が昨日僕を怒ってくれた理由がわかったよ。ありがとう」

そう言うとフィルさんは泣いてしまった。

ガミガミ爺さんは「バカヤロウ!お前が一番大変なんだろうが!謝んな!」と言って大泣きしている。


「キヨロスくん。お姉さんからもいいかな?」

「何?」


「キヨロスくんがお姉さんと会ってすぐに倒れて膝枕をされたの覚えている?」

「あ…うん。ごめんなさい」


「謝らなくていいのよ。あの時お姉さんとキヨロスくんはある事について話していたの」

「それは何?」


「キヨロスくんは一の村の為なら死んでもいいって思ってる?」

「それしかないのなら仕方ないとは思ってるよ。そうしないと父さんや母さんが死んでしまうし…」


「そう。でもキヨロスくんが死んじゃったらキヨロスくんのお父さんやお母さんはどう思うかしら?」

「それは悲しむよ。もう見ていられないほどに悲しむよ」


「あの時のキヨロスくんはその話が出来なかったの」

「え?」


「昨日の話だ」

次はガミガミ爺さんが話し始めた。


「風呂場での事は覚えているな?」

「うん、のぼせて倒れてしまった奴だよね」


「本当はそんなんじゃねえ」

「え?」


「昨日、キヨロスくんの左腕が真っ黒になったの。覚えていないと思うし、気づくことも無かったと思うの」

フィルさんが途中から話を引き継ぐ。


僕の左腕が黒くなった?

そんな事を僕は知らない。


「左腕、肩から肘にかけて大怪我した事ないかな?」

フィルさんの言葉を聞いて思い起こして行くと、確かに毒竜との戦いで尻尾を何とかしたくて何回か左腕に尻尾の一撃を食らった覚えがある。

「前の時間で毒竜の攻撃を受けた場所だ…」


「そうだ。だがお前はその話ができなかった」

「え?」


何だ?僕の知らない間に僕の知らない事が起きている?

どう言う事だ?

僕は愕然とした。


「キヨロスくん大丈夫?」

フィルさんがそんな僕を見て心配そうに聞いてくれる。


「うん、僕は大丈夫。つづけて」


「「時のタマゴ」です。キヨロス、あなたが跳ぶ事を疑問に思ったり、跳びにくくなる話の流れの時には意識操作で倒れるように仕向けているのです。そして倒れている間に記憶の操作をしてしまい倒れる直前の出来事を曖昧にしてしまう」


「仮に倒れて打ち所が悪かったり、戦闘中で命を落としてもその前に跳べば誤魔化せるんだって…」

「そして「時のタマゴ」はあなたにこう言うでしょう「無我夢中だった」と…」


!!?

それはまさしく毒竜との戦闘中の事を指している。


「それじゃあ、毒竜との戦闘で僕が無我夢中になったのも…、倒した毒竜が剣の練習台にしたみたいに切り刻まれていたのも…」


「「時のタマゴ」が意識操作や意思への介入を行ったのでしょう」


……

「段々と思い出してきた。

毒竜と戦っていて、倒す事より戦う事を楽しいって思うようになって行って、そのうち思い通りの倒し方をしたくて何回もやり直したんだ。

でも跳んでいる時に村の幼馴染の声が聞こえた気がして、それでこんな戦い方をやめようと思ったら、頭が痛くなって…気づいたら毒竜を倒していた」

僕は気づいたら泣いていた。


「あの後、トキタマに聞いたんだ。

村の幼馴染のことを…トキタマは大丈夫だと、トキタマが良いようにしたって言っていて、僕はそれを信じていた…」


「幼馴染って言うのは膝枕の時、倒れる直前に話していた子の事だね?」

「はい。

…僕が変わってしまった気がすると言って心配してくれていて、この旅にもついてきたいって言ってくれたけど、人質だから無理だって断ったんです。

そうしたら旅の間跳ぶ時に一緒に跳ばして欲しいって頼まれて、僕は約束を守って跳ぶ時は全部一緒に跳んでいたんです」


「毒竜との戦いでも?」

「最初は約束を守っていたけど、早いときには10分も間が空かないで跳ぶ羽目になるからそういう時は一緒に跳ばなくていいって約束をしたけど、それも跳んでいる時に思い出して…」


どうしよう。

リーンは無事だろうか?

僕は自分がとんでもない事をしてしまったのではないかとどうしようもない不安に駆られた。

涙が止まらない。

リーンが心配でたまらない。


「それでトキタマに聞いたら、トキタマの意志で無我夢中になっている間は跳ばさないようにしたって…。僕は今までトキタマを信じていたけど大丈夫かな?

確認しないと…今から3日前に跳んで会ってこないと…」


「キヨロスくん…」


僕は殻で寝ているトキタマの方を見た。

トキタマはまだ寝てしまっている。

「トキタマ!」


「落ち着きなさい、キヨロス。「時のタマゴ」はまだ目覚めません」


「え?」

僕はその声に驚いて振り返る。

ムラサキさんはフィルさんからガミガミ爺さんに手渡されていた。

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