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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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四の村への道のり。

「よし!俺も行く!」

何となくそんな気がしていたので別に驚きはしなかった。


「え〜、キヨロスくんはいいの?」

ジチさんが僕に確認をしてきた。


確かに大所帯は無駄な足止めを食うこともあるので歓迎出来たものではないが、今は立ち止まりたくはない。


「日暮れまでに四の村に着かないといけないのにここで立ち止まるのは得策ではないので…」


「そう言うことね。お姉さんは納得」

それではと先に進む。

健脚の僕とジチさん2人のペースは早かったのだが、どうしてもフィルさんとガミガミ爺さんのペースが遅い。


カムカはずっと修行の身だったからか、人との触れ合いに飢えていてずっとアレコレみんなに話しかけている。



…そんなカムカを見ていて僕は1つ気になった。

「カムカさん」

「カムカでいいぜ」


「ではカムカ、修行中の衣食住ってどうしていたの?」

「んあ?ああ、住むところは師匠が見つけてくれた洞窟の中で、飯はランニングの修行中に師匠が用意してくれていたな」


「服は?10年前からその身体なの?」

「バカ言えよ、元々は細身の身体だったよ。師匠との修行の中でどんどん筋肉が付いてきて、今やこんな素晴らしい身体になったんだぜ!」


「え?服は?」

「ああ、服も小さくなってきたなとか、汚れたな、破れてきたなって思うと、ランニングの修行中に師匠が用意してくれていたな」


…怪しいと思わないのか?


「その師匠って何者?」

「俺も知らねえ!」


「え?そんな人のところに10年もいたの?」

フィルさんが思わず口を挟んできた。


「いや、俺だって何回か師匠に聞いたんだぜ?でも何べん聞いても「全ての真実は筋肉と共に」とか「俺の肉体が完成したら教える」ってそればかり言っているんだよ」


それで済ますカムカのおおらかさが凄いなと思った。


「あれ?そう言えばアンタお姉さんと同い年かい?」

「25か!」


「あらー、お姉さんも同い年と旅かぁ」

「新カップルかしら?」

日頃の仕返しと言わん顔でフィルさんがジチさんを冷やかす。


「やめておくれよ、お姉さんはもう少し物静かで常識的な男が好みだよ」

ジチさんはかなり手馴れたもので軽くあしらってしまった。



しばらく歩くと昼時になる。

僕達は木陰で休みながら昼食にする。

昼食は前日にジチさんが仕込んでおいてくれたパンとオカズだった。


カムカは一口食べて「師匠の味に近い」と喜んでジチさんにありがとうと言っている。

ガミガミ爺さんは「ああもう、うるせえなぁ」と肩を落としている。


「それにしても今日は少しだけ涼しいねぇ。風が冷たい気がするよ」

「涼しい?風が冷たい?マズい!急ぐぞ!!」

ジチさんの声にガミガミ爺さんが反応し始める。


「どうしたのガミガミ爺さん?」

「雨だよ。雨がくる」


「雨がどうしたんですか?俺なんて雨の日は風呂がわりって喜んじゃいますよ」

カムカがバカみたいな事を言っている。


「バカヤロウ!四の村の付近に近寄れなくなるのはなにも日暮れだけじゃねえ、太陽が隠れる事が問題なんだよ!」

そう言うとフィルさんとガミガミ爺さんはペースを上げる。


僕とジチさんは問題なく付いて行く。

「フィルさん、何が問題なの?」


「この2年、四の村の周りには太陽の光が届かない時間だけ亡霊騎士が現れると言われているの」


「亡霊騎士?」

「私も見た事は無いけど、何人も犠牲になったと聞くし、噂を聞いて若者達が興味本位で近寄らないように大人たちが秘密にしているわ」


「2年も?」

「ええ、多分お城の人たちは三の村と同じで後回しにしているんだと思う」


それか…それの退治に僕が使われたのだろう。


しばらく進むと、前方から土埃が巻き上がってきた。

よく見ると高速イノシシだ。


「また出た!キヨロスくん、この前みたいにやっちゃっておくれよ」

ジチさんはそう言うと僕の後ろに隠れる。


「ジチ!こっちに!」

フィルさんがジチさんとガミガミ爺さんを後ろに下げてムラサキさんを構えている。


よし、これで集中できる。

僕は「兵士の剣」を抜いて構える。


…ん?


なんと高速イノシシは一匹ではなくて三匹いた。


三匹同時に倒すのは難しい。


「よっしゃ!一匹は俺がやる」

カムカが張り切って前に出てきた。


「やれるの?」

「誰にものを言っているんだよ!この筋肉を見ろ!」


そう言うとカムカは腰を落として構えを取る。

僕も一匹に向かう。


「フィルさん、ごめん一匹はそっちに行ったら受け止めて」


「ええ!任せて!」



段々と近づいてきた高速イノシシは三匹横並びと言うわけではなく、僕の前を走る高速イノシシが一番先頭で次がフィルさん、最後がカムカの前だった。


初めはかわす事も考えたが、何処で何に当たって方向転換をして三の村に行くかもわからない。

高速イノシシが家屋に当たれば木の家は簡単に壊れる。

一の村は周りが森なので殆ど高速イノシシの被害は出ないが、開けた場所にある三の村はどうなるかわからない。


フィルさんもそのことを理解しているから構えてくれている。



僕の前に来た高速イノシシめがけて剣を振るう。

「【アーティファクト】!」


前回と同じように高速イノシシに剣を突き立てる。


「流石!!やるじゃねえか!次はフィルさんだな」

カムカはそう言いながらフィルさんを見る。


「任せて!【アーティファクト】!」


ガコン!と言う音がしたが、フィルさんはあの細身の体で後ずさる事もなく高速イノシシの突撃を受け止めた。

これがムラサキさんの盾としての能力なのだろう。


「キヨロスくん、お願い!!」

僕はフィルさんの所に駆け寄って高速イノシシの首に剣を突き立てる。


「ありがとう。集中していないと押し負けてしまいそうだったの」

「どういたしまして」


「よっしゃ!じゃあ今度は俺の番だな!」

そう言うとカムカは「行くぜ!筋肉!!」と叫ぶ。


これで見掛け倒しならカムカは見捨てて行こうと僕は思っていた。


「【アーティファクト】!」

カムカの右腕の「炎の腕輪」が発動して、カムカの右腕が炎に包まれた。

そしてそのまま高速イノシシの顔面めがけて真っ直ぐに殴る。


バゴン!!と言う音が辺りに響き、そのまま崩れ落ちる顔面の焦げた高速イノシシ。


カムカは見掛け倒しではなかった。

「筋肉万歳!!」

そう言いながら勝利のポーズを取っている。


だが、ある種の問題が発生した。

まだ先は長いのに高速イノシシが三匹も手に入ってしまった。

しかも四の村がある方角から来たと思われる高速イノシシは身体が濡れていた。

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