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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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作戦会議。

「行ったか?」

「うん。戻ってくる感じはしないわ」

「お姉さん、頑張って騒いだけどうまく行ったかなぁ?」

キヨロスの居なくなったガミガミ爺さんの家では3人がため息まじりに話している。


「フィル、ドフ、ジチ。よくやってくれました。ありがとう」


「ムラサキさん、これで良いのかしら?」

「はぁぁぁっ…、きっと小僧に悪く思われただろうなぁ。今になって冷静に考えると随分と変な事を言っていたしな…」


「仕方がありません。今はこうする他に手が無いのです」


ガミガミ爺さんは余程キヨロスを気に入っているのだろう。

理不尽に怒った事で嫌われたと思い込んで落ち込んでいる。


「山小屋でムラサキに言われた通り、なるべく戦闘やアーティファクトから遠ざけたけど倒れたな」


「何々、どういう事?お姉さんにも教えてよ」

ガミガミ爺さんがジチに山小屋での夜の話をする。


1回目の戦闘で角を手に入れたキヨロスが2回目の時間に跳び、フィルに角を飲ませてキヨロスが再度毒竜の退治の為に山小屋を出た後、ガミガミ爺さんはムラサキとフィルに1回目の時間でムラサキと話した事、[キヨロスが戻った時に万一戦闘の記憶が曖昧だった時には「時のタマゴ」の介入で本人は無意識に戦わされている可能性がある]と言っていた事、案の定キヨロスがムラサキの言う通り記憶が曖昧だった事を伝えてどうすべきかの指示を仰いだ。

ムラサキは出来る限り戦闘などから遠ざけて心を落ち着かせることが大事だと言い、全員が起きて待っていて話をしている時にキヨロスが「跳んでやり直した方がいいかも知れない」と思わないように、フィルを残して寝てしまおうと言う事になった。

フィルはフィルの考えでキヨロスと話したりする事で気を紛らわせる事に成功した。


「そんな事があったんだねぇ、お姉さんもなるべく気にしないように努めてはいたんだけどねぇ、それでもお風呂場で倒れちゃったからねぇ」

ジチは困ったなと言った顔でしみじみと話す。


「私はその場には居なかったので確かな事は言えませんが、おそらく跳ぶ事や跳んだ事に深く疑問を持つのもダメなのでしょう。今回は跳んで傷を負っていない事にしたのに怪我をした箇所がおかしくなっていたことに疑問を抱いてしまったのが原因だと思います」

ムラサキがその言葉に反応をする。


「そんな、もしも戦っている時にそんな事になったら…」

フィルは泣きそうな顔でムラサキに問う。


「仮にそれで命を落としても、死ぬ前に勝手に跳ぶだけです。それこそ無我夢中で気付いたら命を落としたと言えば済みます」


「それじゃあ、あの鳥がいる限りどうする事も出来ないのかよ?」

ガミガミ爺さんが憎らしそうにそう呟く。


「それもあの鳥に都合のいい所まで記憶が抜け落ちているのよね」

ジチもそう言って、昨日の午後に起きた出来事を2人に伝える。


「もしかして、ジチが今晩泊まりに来たかった理由って…」

「そう。お姉さんもキヨロスくんの事を何とかしてあげたくてさ、でも1人だと難しくて2人とムラサキさんに相談したくてね…、そうしたらアレでしょ?」


「そうだムラサキ、小僧のあの腕…あれは何なんだ?」

「そうよ!あの黒さは普通じゃない!」


「あれは、魂の傷が出てきてしまっている状態です」

「魂の傷?」


「そう、キヨロスは私達とは違って何回も跳ぶ事で物事をやり直せる。

跳んだ時、肉体の傷は元に戻ります。

ただ、キヨロスの魂には傷を負ったと言う事実は残る。それが治る際に身体に出てきたのがあの黒い状態です」


「身体に悪影響とかはあるの?」


「いいえ、あれはむしろ良い事です。フィルやドフ、それにジチが1日かけてキヨロスを戦いやアーティファクトから遠ざけたから魂の傷は癒え、最後に黒い色になって身体に浮かんできたのです。あの色が取れれば魂の傷は元どおりです」


ムラサキがそう伝えると3人とも安堵の声で「良かった」と言った。

ただ…と言ってムラサキが続ける。


「ただ、15歳で授かるには少々無理のあるアーティファクト、それなのに持って一週間も経たずに67回も跳んだ事が問題なのです。

おそらく、思考に関しては根本の考え方は変わらないものの、表面上は変化していて、一の村でも人が変わったと言われていたのではないかと思います。

身体…と言うか魂は気付かない間にボロボロになっている。多分軽傷や一度や二度跳んだ際の傷は早く治ります。ですが連続して跳べば魂への負担は相当なものでしょう…

あとは記憶の改ざん、それに意識への介入も問題です」


「そんな事に…」

フィルは泣いてしまった。


「なんとかならねえのか?」

ガミガミ爺さんは自分のことのように必死だ。


「王様がアーティファクトを求めているならあげちゃえば!」

ジチが名案とばかりに提案をする。


しかし「それは無理です」と即座に否定される。


「どうしてだいムラサキさん」

「多分、この国の王は私が思っているような存在ならば最早話し合いなどと言うものは通用しません。そして、アーティファクトを渡したとしても最後には殺されます」


「じゃあ、とりあえずは小僧がおかしくならないように見守る案で行くしかないってことだな」

「そうです。今はとりあえず他者がなるべく一緒に居る事で「時のタマゴ」の介入を防ぐことが今できる事でしょう。

その中でどうしたらいいかを考えましょう」


「それなら…」

「うん、お姉さん達に出来る事はそれしかないね」


「そうと決まれば俺は鎧を仕上げるとするか」

ガミガミ爺さんはさっさと部屋に戻って行った。


「私たちは先に寝ましょう」

「寝る前にー、お姉さんと楽しい話しようねー」


「ええ?何を話すの?」

「恋バナよ恋バナ」


「そんなのないわよ」

フィルはそう言いながら顔を真っ赤にする。


「最新のやつがあるんじゃないの?年下男の子との恋の話とかー」

「そんなモノはありません!」

そう言いながらフィルはベッドルームへ行ってしまった。

ジチはしまったという顔で後を追う。


「あ、そう言えばキヨロスくんが寝てたベッドは誰のベッドだったの?」

「私のベッド…お爺ちゃんのはお爺ちゃん臭くてキヨロスくんに悪いし、お客様用はジチに悪いから…」


「ふんふんふん、それは仕方ないねぇ。お姉さんも納得だよ~」

「もう、からかわないで」


「ふふーん。さ、明日も早いから寝ましょう!」

「うん、おやすみなさい」


「はい、おやすみなさい。

…で、どう?お姉さんに教えてよ~

キヨロスくんの匂いする?」


「え?…え?…わからないよそんなの」

「あら、そう?残念ね。お風呂に入っちゃったからかな?じゃあ、山小屋で2人で起きていた時に何をしてあげたの?」


「もう、教えません」

「残念、お姉さんには内緒の2人だけの秘密かー」


その後も、少しだけジチがひやかして、フィルが顔を赤くして反論をする会話が続いた。


「姉ちゃんはうるせえなぁ」

ガミガミ爺さんはそう言いながら鎧づくりに励んでいた。

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