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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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ティータイム。

三の村のお風呂は村人全員が使うのは一の村と同じだったが村の外れではなく村の中にあった。

大きな家を一軒建てて中に川から水を引いていた。玄関は一緒だが、その先は男の人用と女の人用に別れているのでお湯さえ用意できていれば何時でも入れるらしい。

家の中なので雨の日も問題なく入れる。


お風呂に屋根はいいかもしれない。

一の村では木々が屋根替わりではあったが完ぺきではない。帰ったら皆に家を作ろうと相談しようと思った。


お風呂場で掃除をするのかと思ったが、掃除はほかの人が済ませてくれていた。

僕は何をするのかガミガミ爺さんに聞くと「毒竜の角を細かく砕いて粉にしろ」と言われた。

村人も少なからず毒竜が出していた毒霧の影響があるのでお風呂に粉を入れる事で入浴した村人の体内から毒を追い出すことにするらしい。

僕が粉にしている間にガミガミ爺さんがお湯を沸かしている。

お湯は一か所で作っていて、そこには水門のように戸が付いていて外すと浴槽にお湯が入っていく仕組みになっていた。

誰も居ないとはいえ女性用の風呂場に行くのは気が引けてしまうのでこれには助かった。

粉にした量は角一本分で最初に僕が取った3本の角と今回跳んだことでもう一回取れた3本の角があるので残りは5本になった。

お湯に入れた量はフィルさんが3回に分けて飲んでいる量と同じくらいの量で残りの粉は村にまいて草木や田畑に撒いて解毒に使うらしい。


ガミガミ爺さんが僕に「小僧、お前ここに住まないか?」といきなり言い出した。

「どうしたの急に?」


「いやな、フィルも楽しそうだし、あの賑やかな姉ちゃんもこのまま行けばこの村に住むだろう?」

「でも、僕には一の村が、帰る所があるから…」


「そうだよな。すまねえな。急に自分が年寄りだからフィルより先に死んだ時の事とか考えちまってよ。フィルの為にどうにか何か出来ないかって思っちまってよ。

それに小僧は俺が認める人間だから、そういう奴が居てくれればフィルも安心だろうなって思ったんだ」

そういう事か、昨日の件でいろいろ不安になって考えてしまったのだろう。


「大丈夫、住むところは違っても僕たちはきっと友達になれるから。それにガミガミ爺さんはまだまだ死なないでしょ?」


「違いねぇな」

そう言ってガミガミ爺さんは笑った。


「色々と…ありがとうな」


「どういたしまして」


お風呂の用意が終わり、僕はガミガミ爺さんの家で過ごす事になった。

おじさんの家に居ても良かったのだが、ジチさんもあちらにいるし、また子供に来ないかと誘われても困るのでガミガミ爺さんから「ウチで過ごせ」と誘ってもらったのをこれ幸いについていく事にした。


ガミガミ爺さんの家に行くとフィルさんが窓辺で日向ぼっこをしていた。そんなフィルさんは僕を見て慌てている。


「え!?え?なんで?」


もしかすると家の中での寛いだ姿を見せるのは抵抗があったのかも知れない。


「やだ、お爺ちゃん。家に呼ぶなら一声かけてよ!」


「夕飯食いにくるんだから変わらねえだろう?ちょっと早いだけじゃねえかよ」


「1か月掃除してないのよ!」


そう言うとフィルさんはバタバタと掃除を始めた。

…悪い事をしてしまった。


「今更だけど僕が外に行くって言うのは…」

「キヨロスくんはそんな事しないで!」


「お爺ちゃん、お手伝いしてよ!」

「俺はこれから小僧の鎧作りだよ。別にそんなにウチは汚くはないし、小僧はそう言う事を言う奴じゃねえだろう?」

ガミガミ爺さんは呆れ顔でフィルさんに「そう慌てなさんな」と言っている。

フィルさんは「わかっていない」とか「これだからお爺ちゃんは」と言いながら掃除をしている。


「フィルさん、僕も手伝うよ」

「ダメよ!キヨロスくんはお客様なのに!」

やはり想像通りの答えが返ってきた。


「いいじゃねえかよ、小僧もやりたいって言っているんだからよ」

「いいわけないでしょ?わからない?わからないのお爺ちゃんは?」

おお…あのフィルさんが怒っている。


「フィル…。私は汚い部屋を見せるより、怒っているあなたを見せる方のが恥ずかしいと思いますよ?」

祭壇みたいな所に置かれたムラサキさんがフィルさんに声をかける。


「え?ヤダ!」

そう言うと顔を赤くしたフィルさんは泣きそうな顔をして大人しくなった。


「お前は怒ったり泣いたり忙しいなぁ」

「ドフ、あなたはもう少し女心と言うのを意識しなさい」


ガミガミ爺さんが「ぐう…」としか言えなくなっていた。


「キヨロス、もし良かったらフィルの手伝いをして貰えませんか?」

「はい、やります」


「ムラサキさん!」

「いいから、僕も手伝うから早く終わらせてのんびりしよう」


「俺はこれから鎧作りだから邪魔すんなよ」

ガミガミ爺さんはそう言うと左の部屋に行ってしまった。


「フィルさん、僕はどこを掃除しようか?左はガミガミ爺さんが邪魔するなって言っていたから真ん中の部屋か右の部屋かな?それともこの部屋にする?」

ガミガミ爺さんの家は、台所とテーブルのある部屋の他に3部屋ある。


「右の部屋はダメ!」

すごい勢いで断られた。


「そこ、私の部屋だから恥ずかしいの…」

危なかった女性の部屋に入るのは僕も抵抗がある


「じゃあ真ん中の部屋なら手伝えるかな?」

「うん。そこはベッドの置いてある部屋だから大丈夫だけど、本当に手伝ってくれるの?」


「うん。窓開けて空気を入れ替えしながら箒がけしてシーツを取り替えればいいかな?」

「それで大丈夫。お願いしちゃうね」


ベッドの部屋は本当にベッドしか無かった。

ベッドは3つ。恐らくフィルさんのご両親のものとガミガミ爺さんのものだろう。

4つ分のスペースはあるので4人で暮らす事も考えて家を作ったのだと思う。


ベッドしかない部屋はとても掃除が簡単であっという間に終わった。


台所のある部屋に戻るとフィルさんはお皿を洗っていた。


「え?もう掃除終わったの?」

「うん。ベッドの部屋は掃除しやすかったよ」


「次はどこを掃除しようか?」

「え?悪いよ」


「いいって、この部屋を掃除すればいいかな?フィルさんはフィルさんの部屋を掃除してくれば?」

僕の申し出にフィルさんは申し訳ないと言っていたものの、最後には「お願いしてもいいかな?」と言ってくれた。


僕は目につく埃を取ってから椅子とテーブルの水拭きをして床に箒をかけた。

そこでフィルさんが戻ってきた。


「うわぁ、綺麗になってる。キヨロスくん。ありがとう!」

「いいえ、もう後はないのかな?」


「うん。

お皿は夜ご飯の前まで乾かすから後はゆっくりして。

今、お茶淹れるね」


そう言って沢山のお湯でお茶を淹れてくれた。

ガミガミ爺さんの分を用意しないのかと聞いたら、作業中は話しかけてはいけないらしい。

相手がフィルさんでも怒鳴られることがあるそうだ。

本当はフィルさんの両親が生きていたらガミガミ爺さんは近くに1人で住む気だった事とかを聞いた。


僕の事を聞かれたので、両親と3人暮らしをしている事や、村には同時期に生まれた子供が後2人いる事、2人のアーティファクトは村で初めてのB級だった事を話した。


途中、ガミガミ爺さんが部屋から出て来て、毒竜の鱗で作ったカブトをフィルさんに渡していた。

カブトは顔を殆ど隠す作りのもので、確かにフィルさんの美貌を守るにはこれしかないかもなと思った。


フィルさんが僕の鎧はどうしたの?とガミガミ爺さんに聞いていたが「今は乾燥中だよ」「なんも出来ねえから空き時間でフィルのカブトも作っているんだよ」と言っていた。


ガミガミ爺さんは僕のお茶を勝手に飲むと「混沌の槌」で肩を叩きながら作業に戻っていった。


「ごめんね、お茶…お爺ちゃんが飲んじゃったね」

「ううん、いいよ」


「今もう一回淹れるね」

「ありがとう」


「今度、キヨロスくんのカップもウチに置こうか?」

「え?」

僕は驚いて聞き返してしまった。


「ほら、お爺ちゃんもキヨロスくんの事は気に入っているし、私も来てくれると助かるかなーって…」

そう照れながらフィルさんはポットにお湯を入れている。


そうか、これがジチさんの言っていた話だ。

フィルさんは僕と友達になろうとしてくれている。

僕はきちんと応える事にした。


「ありがとうフィルさん」

「え?置いていいの?」


「うん。迷惑じゃないならありがとう!」

そう言うとフィルさんは上機嫌で「どんなカップが好き?」「大きい方がいいかしら?」と色々と聞いてくれた。

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