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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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65回目で得た成長。

「お爺ちゃんは昔から心配性だったし、確かに昨日の夜からのお爺ちゃんはいつも以上に私を心配してくれているけど、それの全部がキヨロスくんの所為なんかじゃないわ」


フィルさんは優しい。

今も不満気な事など無かったかのように優しい言葉をかけてくれる。


「でもね。私は確かに無理をしてしまうし、キヨロスくんの言う前の時間では無理をしすぎて命を落としてしまっている。

だから信用がないのもわかるのだけど、少しは頼ってね。

私の方がお姉さんなのに、なんだかキヨロスくんの方が年上みたいに見えちゃうから」


フィルさんはフィルさんなりに何かをしたいのだろう。

昨日も僕の服を洗濯してくれたし、本当に命の恩人に何かをしたいと思ってくれているのかも知れない。

僕はその気持ちをありがたいと思おうと思い、フィルさんの気持ちに応えようと思った。


「うん。わかりました。

それなら1つ頼んでも良いかな?」


「うん!何?」


「こっち側はせっかく似合っている綺麗な紫色の服が汚れると嫌だから頼めないけど、洗浄に使う水がもう濁ってしまっているんだ。

水を汲んできて貰えるかな?」


「お水ね!すぐ汲んでくるわ!」

「走らなくていいからねー」


「大丈夫ー!!」

そう言うとフィルさんは元気に走って行ってしまった。


勝手に美人はあんな顔で走らないと思っていたのだが、フィルさんはフィルさんなんだなと思った。


「おやおやおや〜。随分とお楽しみじゃないの〜?お姉さん妬けちゃうなぁ」


ジチさんが出てきてそう言った。


「ジチさん…。どうしたんですか?」

「いやね、フィルが料理を教わりたいって言っていたから呼びに来たんだけど、2人が何やら話していたからお姉さんは気を利かせて待っていたのよ」


「何、僕の事までからかって居るんですか?

フィルさんだってそろそろ迷惑に感じますからやめた方がいいですよ」


「いや、お姉さんは見たままに感想を述べただけで、別にからかってる訳じゃないのよ?」


「フィルさん、さっきも耳まで真っ赤にしていたし、あまりからかわないであげてくださいね」


「はぁ〜…」

ジチさんが大きなため息をついた。


「そうだったよ、お姉さん忘れてたよ。

キヨロスくんが大人びているし、毒竜なんて魔物も倒しちゃうんだけどまだまだ15歳のお子様だって事を…」


間違っては居ないのだけど、お子様と言うのはなんかモヤモヤしてしまう。


「まだキヨロスくんにはわからないかも知れないけど、君はフィルの命の恩人で、彼女を無駄に女神扱いしない頼れる男の子だって事。

だからフィルもキヨロスくんの側であれこれしたいって言っているんだからね。

そこら辺、よく見てあげなさいよ」


なんか妙に説得力がある。

あの年上そうな痩せたメガネの人ですらフィルさんを女神様って呼んでいたし…


フィルさんは年の近い友達とか居ないのかもしれないな。


「そうだね。

ジチさんありがとう!

フィルさんは僕たちと友達になりたいのかもしれないね。

変な距離を感じさせないように仲良く接してみるよ!」


「ふぇ?え?…はぁ〜…。

まあ今はまだ一晩しか経ってないんだし、それで良いんじゃないかしらね?

お姉さんはそう思う事にするよ」


「お待たせー!」

フィルさんが息を切らせながら水を持ってきてくれた。


「おかえりなさい。ありがとうフィルさん」


「次は何かある?」

フィルさんが嬉しそうにそう聞いてくれる。


「フィルはこっち」

ジチさんがフィルさんの手を取る。


「え?ジチ?」

「お姉さんから料理を教わりたいんでしょ?今からハンバーグを仕込むから着いておいでよ。

後は元々作ろうとしていた料理も作っちゃいなよ。そっちは見てるだけにしてあげるからさ」


そう言われるとフィルさんは「でも」とか「キヨロスくんのお手伝い…」と言っていたが。


「キヨロスくんがやる事終わってからご飯作っていたらお腹空かせて倒れちゃうでしょ?ほらほら、ご飯作るの!」

そう言うとジチさんはフィルさんを引っ張って行った。


「キヨロスくん、ごめんね。行ってくるね」

「ううん、フィルさん。お水ありがとうね」


さて、僕も残りを終わらせてしまおう。

実はお水も残りのもので間に合ったのだが、フィルさんに何かを頼みたくて言ってしまったのだ。


僕自身、昨晩の戦いで力が付いたのか、刃物の扱いが少しうまくなったのか、今までよりも解体をスムーズにやれている。


この分ならお昼までに終われるだろう。


そうだ…1つ思い出した。


「トキタマ!」

「はーい、何ですかー?


トキタマは無用な騒ぎを避けたいから村では話さないように言っているのを守っている。

今も木々の枝や屋根の上で自由気ままにしている。


「僕が跳んだ回数が67回と言っていたよね?」

「そうですー」


「聞いて居なかった60回目と65回目の変化を教えてくれる?」


「そうでしたね。お父さんは60回目で着地が上手になったので大体狙ったタイミングに跳べるようになりました。

65回目で更にアイテムを持って跳べるようになったんです」


ん?


「え?それって、毒竜との戦いがなかったら角をあの時にフィルさんに飲ませることが出来なかったの?」

「そうですよー」


何となくやれる気がしていたからやっていたが、言われてみればアイテムを持って跳ぶ事はした事が無かった…


「お父さん、たくさん跳んでいて良かったですねー。僕がいつも跳ぶようにお話ししている意味が分かりましたかー?」


…今回に限ってはそうかもしれないが、個人的には朝のムラサキさんの発言が気になっていた。


ただ、ここで反論をしても何も好転しないこともわかっている。

「そうだね」


「お父さんが認めましたー!」

トキタマは大喜びで飛んで行ってしまった。

まあ、聞きたいことは聞けたのでいいとする。

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