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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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毒竜戦再び。

厄介なのは尻尾だ、あの尻尾の一撃で、僕はこの2回をやられている。

トキタマには跳ばないと言ったが実は独りで跳べるのなら試したい戦法があったのだ。



とりあえず今回でケリを付ける気持ちで僕は毒竜に向かい再び剣を抜いて毒竜に先制攻撃を仕掛ける。

「【アーティファクト】!」

攻撃は毒竜の尻尾に向ける。


もう少し先端を狙えば切り落とせたかも知れないが、今の場所だと剣は骨に弾かれて尻尾を切り落とす迄にはならなかった。

だが、今までの中でダメージは一番大きいと思う。


毒竜の目の色が変わった。

あまりの痛みで我を忘れているようだ。


グギャイオオォォォン!

表現が難しい咆哮を上げて、180度身体を回転させてこちらに突っ込んできた。


突進!?


ギリギリかわせはしたがこの速度はマズイ。

少しでも油断をするとかわせない速度だ。

何で今更新しい攻撃を…


戦闘前にトキタマと話をしたからか?

それ以外だとしたら、過去二回は先制攻撃で前足と後ろ足にダメージを負わせて居た事、後は今みたいに激昂していない事が理由か?


何であれあの突進は危険だ。

よりによって後ろは例の壁だ…


毒竜は壁際に追い込んだと思っているようで毒霧の準備をしている。


今は「火の指輪」での相殺を試す。


……

………今!


「【アーティファクト】!」


火の玉が毒竜の目の前で消えた。

何とか相殺出来たようだ。


間髪入れずに毒竜が突っ込んでくる。


万一左側に飛んで尻尾が来たら困るので僕は右側に飛ぶ。


勢い余った毒竜が山肌にぶつかると、例の穴が2つ現れた。

1つは毒竜と僕の居る場所。

もう1つは通常時に毒竜の頭があるくらいの高さの場所だ。


この穴は何なのだろう?

とりあえず使い道があるかも知れないので覚えておくことにする。


その後は、かわす、相殺、斬撃、アーティファクトでの攻撃を適宜行なっていく。

もう1時間くらいすぎたかもしれない。


僕の剣は10回に6回くらいは毒竜を斬れるようになっていた。


やれる。

僕は確信を持ち始めていた。


だが、毒竜にもまだ奥の手があった。


それは翼による飛翔。

そうだ、アイツはノースからこのサウスに飛んできたのだ。


飛んだ毒竜は上空から滑空してきて巨体を押し付ける攻撃か毒霧を吐き出して翼でそれを拡散する攻撃をしてくる。

滑空はかわすことはできるが動きに合わせて反撃は難しく、毒霧は散ってしまい火球で相殺するのも難しい。


一気に手詰まりになってしまった。

この毒の中で長時間タイミングを伺うのは悪手だ。

ここは一度跳んで毒竜が飛ぶ前に仕留めるか?

いや…

それは難しい。

解決策もないままに跳ぶのはダメだ。

こうなれば今回は捨て回だ。

今できることをしよう。


とりあえず現状何かに使えそうなのはあの穴だ。


僕はひとまず穴に飛び込む。

この先に何もなかったら、疲労も溜まっているのでその時は跳ぶしかない。



僕は火球を作って松明がわりにする。

穴は奥に広がっていて洞窟と言った感じだ。


入って少し行くと道は二股に分かれている。

1つは上に向かっていてもう1つは下に向かっている。


僕は直感で上の道を目指す。

上に登ると光が見えてきた。

やはり山肌に空いたもう1つの穴に行き着いた。


穴から外を見る。

まだ毒竜は空を飛んでいて手出しはできそうにない。

腹立たしいのが毒竜は僕の入った穴に向かって毒霧を放っている。

だが、ちょうどいい機会なので毒竜を見ることにする。


毒竜が毒霧を吐いてから次の毒霧を吐く予備動作まで約20秒。

予備動作から毒霧を吐き出すまでが約10秒。


地上と空中の違いが無ければ約30秒の時間がかかる事がわかった。


これも収穫だが、まだ奴の飛翔を妨げるモノを見つけられていない。

僕はきた道を戻り、洞窟の更に奥を目指す。


洞窟はかなり入り組んでいて、大概正解はひとつで後は全て行き止まりになっていた。

中には同じ道に繋がることもあった。


僕の直感が正しければ、あの入口は出口で、今目指している方が入口なのだろう。


しばらく進むと一本道になった。

もうすぐ出口…いや、入口が出てくるだろう。


その先にはなにがあるのか?

出来ることなら毒消し草みたいな便利道具が落ちていて剣に塗ってから毒竜に斬りつけると大ダメージみたいなのが良いのだが、そんなに都合よく行かないだろう。


先に進むと行き止まりになってしまった。

道を誤ったのか、はたまた上と同じで塞がっているのか…


僕は出口だと信じて剣の柄で壁を殴ると音の違う箇所があった。


「【アーティファクト】!」

僕は剣で音の違う壁を斬りつけてみた。


ドンと言う音を立てて壁は壊れた。

眩しい光が射し込んで僕は一瞬前が見えなくなった。

目が治る頃…「なんだなんだ!?」と声が聞こえてきた。


「小僧、どうした一体!?」

僕の目の前にはガミガミ爺さんが居た。



「ここは何なんですか?」

僕がガミガミ爺さんに聞く。


「ここは昔、金だの宝石が何回か採れてな。それで採掘に使っていた洞窟よ。

まあ、結局は言うほど採れなくて廃れてしまったんだけどな。

俺たちが使っている山小屋は昔の採掘夫達の寝床よな。

それでどうしてここに居るんだ?毒竜は?」


成る程、この洞窟も山小屋もこの山で採掘していた時の名残か…

僕はガミガミ爺さんに今までの経緯を話した。

「ふむ…、飛ぶまで追い詰めたけど空への攻撃が出来なくて困ったので、戦闘で空いた道を試してみたと…、何か良い手があれば良いんだけどな…」


「それはもしかしたら何とかなりそうです。それよりもお願いが2つあります」


「お?なんだ?」


「ひとつ目は剣のメンテナンスをしてください。今は10回に6回くらいは刃が通りますが、それまで弾かれていましたから多分一度見てもらった方がいいと思いました」


「そう言うことなら任せておけ」

そう言うとガミガミ爺さんは僕から剣を受け取ってマジマジと見ている。


「小僧、おめぇ…この短時間で100回近く毒竜に斬り込んだな。もう刃こぼれが始まってやがる。おそらく今は無意識でやれて居るだろうが切りつける瞬間に手首に力を入れて降り落とせ。

剣筋がブレると刃が通らなくなる」


「ありがとうございます。わかりました!」

まさか剣の指南をして貰えるとは思わなかった。


「で、もう1つのお願いってのは何だ?言ってみろ?」


「ここが元々採掘夫の寝床ならツルハシ、杭にトンカチとやや長めのロープって有りませんか?」


「多分あるにはあるが…おめぇ…そんなもんどうすんだよ?」


「毒竜退治の秘策です」

僕はこれで勝てる算段がついた気がした。


「とりあえず今は剣からだな…【アーティファクト】!」


ガミガミ爺さんが右手に「混沌の槌」、左手に「兵士の剣」を持ってアーティファクトを使った。

ガミガミ爺さんの身体が発光して高速で動き始める。目に見えない速さで剣を叩いているのだ。

速すぎて見えない手の動きと細かく聞こえる剣を叩く音が剣を直している事を伝えてくる。


いくら高速とは言っても15分程かかって「兵士の剣」は直った。


「これで大丈夫だ。次は杭にロープにツルハシとトンカチだったな。着いてきな」

そう言うとガミガミ爺さんは僕を小屋の横にある物置に連れてきた。


「ツルハシ…トンカチ…と…」

ガミガミ爺さんは僕が頼んだ品を出してくる。


「揃ったぞ、これでいいか?」

僕の目の前に、ツルハシ、トンカチ、杭、ロープが置かれた。

「ありがとうございます。それではこれを覚えておいてくださいね?」


「んあ?」

ガミガミ爺さんは素っ頓狂な声を上げた。


「トキタマ!」

「はーい!」


僕は61回目の時間に飛ぶ。

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