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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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女神とガミガミ爺さん。

解体処理が終わった僕はジチさんと合流した。

ジチさんは村にあった「愛のフライパン」をみて感激しながら料理を作っていた。


イノシシ肉と野菜の炒め物と熊のステーキが出てきた。野菜は毒の影響であまり育たないようで貴重らしい。

ジチさんの料理は確かに美味しい。

愛のフライパンのおかげと言う事もあるとは思うが、何よりジチさんの人柄が伺える味でしっかりと下処理を行っていて一口食べるごとに細かい気づかいが伝わってくる。

これじゃあ、あの10人は従うしかないなと思った。


「ご馳走さまでした。とても美味しかったです」

「あら、嬉しいこと言ってくれちゃって。お姉さんも貴方が残さずたべてくれてうれしいわ」

ジチさんは本当に嬉しそうにそう言った。

僕はジチさんに2人分のお弁当を用意してもらい山に行く準備をする。


「僕、今から山に行きますので、ジチさんはおじさんの家で待っているか、僕との旅はここまでにして1人で先に行くかを決めて行動してください」

「あら意地悪。お姉さん、貴方のことを待っているわよ。だからキチンと帰ってきてね」


不思議だ、そう言われると帰ってこなければならない気になる。

ああ、トキタマには話がこじれるからと言う事で僕の周りをつかず離れずの距離に居て貰っている。


鳥って夜がダメだと思うのだが、トキタマには関係ないようで器用に飛んでいる。



村を出てしばらく行くと山の入り口に着いた。

山は物凄く静かで虫の声も聞こえない。

おそらく毒の影響だろう。


この毒は長時間吸っていると倦怠感や頭痛、微熱に苦しめられると言った症状と、もう一つ別で疲労が回復しなくなると言う。

そうして体力の衰えた人は動けなくなって死んでしまうらしい。

今の少し空気が汚い程度の村では命にかかわる事はないそうだが山の入り口まで来ると多少濃いので何日も山に居るのは危険だと思う。

この山の中の2人には食べて元気になってくださいとは言えない。


これなら魔物や獣に遭う事もなく中腹に行けるだろう。

これだけは良かったことかも知れない。


僕は夜の山道を進む。

静寂の中で僕だけしか存在していない気になってしまう。

しばらく進むと明かりが見えてきた。

これが山小屋なのだろう。


僕は山小屋に近付き、扉をノックする。

「誰だ!?」

しわがれた声がする。

ガミガミ爺さんだろうか?


「僕は三の村から来ました」

そう言うと扉が開いて中から背の低いガッシリとしたお爺さんが出てきた。


「なんだお前は、見ねえ顔だな。

本当に三の村から来たのか?」

僕を警戒しているのかお爺さんが僕の足元から頭の先まで見ている。


「中に入ってもらいましょうよ」

奥から女性の声が聞こえて来た。

きっと村の人の言う女神様なのだろう。


「ちっ、入んな。まあお前みたいな小僧が1人で何が出来る訳でもないだろうしな。

だが、おかしな真似をしたら叩き殺すからな!」

女性の申し入れが気に入らなかったのか、ガミガミ爺さんは不機嫌そうに僕を小屋に入れてくれた。

小屋と言ってもそこそこ大きい。

6人くらいが生活できそうなスペースはある。


そう言えば、この山は何なのだろう?

村のおじさんに聞いて来なかった。

案外、ジチさんは既に聞いていて知っているかも知れない。


中を見回すと奥のベッドで1人寝ている人がいる。

僕が来た事でその人が起き上がろうとしている。


「おい、寝てろって!」

ガミガミ爺さんが慌てて止めに行く。


「でも、お爺ちゃん、お客様よ?」

「そんなのはどうでもいい、寝てろって!」

物凄く心配そうな声を出して女の人を止めている。


「じゃあ、寝ながらでもお話しはさせて?」

「まあ、それくらいならな。

おい小僧、こっち来て話しろ、そんで何の用で来たかも言え」

そこまで僕と孫娘で声色を変える必要は無いと思うのだが…


とりあえず僕は言われた通りにベッドに向かう。

ベッドには綺麗な金髪の絶世の美女と呼ぶのに相応しい女の人が横になっていた。


「はじめまして、私はフィル。こっちは私のお爺ちゃんのドフって言います。あなたは?」

凄い、絶世の美女は声も綺麗だ。


「はじめまして、僕は一の村のキヨロスです。ここには毒竜退治で三の村から来ました。これは三の村で用意したお弁当です」


「お前が毒竜退治だと!?笑わせる!」

ガミガミ爺さんが僕を見て呆れている。


「お爺ちゃん!」

フィルさんがガミガミ爺さんを注意する。


「だがよう、いくら待っても兵隊は来ない、ようやっと来たらこんな小僧。呆れて何も言えないぜ…」


確かに同じ状況ならば僕も同じ気持ちになったと思う。


「お話をしなければならない事がありますが、今はこれをどうぞ」

僕はジチさんのお弁当を2人に差し出した。


「何だこりゃ?」

「高速イノシシと野菜の炒め物にビッグベアのステーキです」


「こんな肉を何処で…」

「僕がこの剣で仕留めました」

僕はガミガミ爺さんに剣を見せながらにこりと笑う。


「こりゃあ「兵士の剣」だな、小僧…お前が授かったアーティファクトか?

「兵士の剣」を授かったからって兵隊になりたくて城に向かっているのか?」

驚いた、本当に「兵士の剣」だったんだ…


「話はおいおい、今は折角なのでお弁当を食べてください」

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