表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
51/307

三の村の女神の噂。

「お待たせー…ってあれ?それは何かな?お姉さん知らないぞ」

男の人たちはビッグベアだけじゃないのかと言っている。

「それで、お姉さんは2人じゃビッグベアを食べられないから村の人に手伝ってくれたらお肉を分けてあげるって約束したの」

ジチさんはそう言っている。

元々そのつもりで、肉を材料に情報を貰うつもりだった。


僕はジチさんと男の人に待っている間に高速イノシシが現れた事を説明した。


「よく剣だけで高速イノシシを倒せたもんだな」

2人のうち年上と思う男の人が驚いている。

もう1人の男の人は眉間に刺さった剣を見て驚いている。


「近くに手頃な木と鋼鉄線があれば良かったんですが今はそのどちらも無かったですし、1人ではビッグベアも運べないのでこうするしか無くて、ギリギリでしたよ」

僕の返事に男の人は「その倒し方を知っているって事は、お前さん狩りができるのか?」と聞いてきた。


「はい、父が山で狩りをするので僕は子供の頃から手伝いでついて行っていました」

「そうか、じゃあ解体も手伝って貰えるか?」


「はい、勿論です」

「じゃあ、さっさと持って帰ろう!」

僕は男の人たちと協力をしてビッグベアを運ぶ。

「私がイノシシを運ぶわけ?」

ジチさんがせっかく重い思いをしないで済むと思ったのにと嘆いている。

それでも高速イノシシはビッグベアよりは軽いので大目に見て欲しい。


歩きながら男の人たちと話をする。

「すみません、僕は用事があってここに来ました。ビッグベアと高速イノシシの肉と必要な情報を交換させて貰えませんか?」

「ああ、その話ならあの姉ちゃんから聞いているよ。南に住み着いた毒竜を何とかしてくれるって話だろ?別に肉無しでも話すさ」

ジチさんのコミュニケーション能力には本当に救われる。

ではもう一つのお願いもしてしまおう。


「後はまだお願いをしたいのですが良いですか?」

「何だい?話にもよるが言ってみなよ!」


「僕には時間がないので夕飯を食べたらすぐにでも南に行こうと思っています。なので解体は最後まで出来なくて…」

「別に構わんよ。必要な分だけ取ったら後は明日俺がやっておくさ。だが夜は危なくないかい?」


「すみません。でも時間がないので…。もう一つなんですが僕は本来ひとり旅なのです。

今は成り行きでお姉さんと一緒にいるだけで危険に巻き込むつもりはないので、僕が南に行っている間、面倒を見て貰えませんか?」

「なんだそんな事かい?いいぜ!ウチの母ちゃんとも話が合いそうな姉ちゃんだから歓迎するよ!」


「ウチでも構わないですよ」

今まで聞き役だったもう1人の人も言ってくれた。

「ダメだ、お前は独身だろう?あんな美人と一緒にいて抱きつきたくでもなったらどうする?」

おじさんに独身の人が注意されてシュンとなっている。




これで問題は無くなった。


村に着くなり僕たちはビッグベアと高速イノシシの解体を始める。

僕もおじさんも慣れたもので手際よく解体をする。

若い、メガネをかけた痩せ型の男の人もおじさんのサポートがとにかく上手くて、おじさんが言う前に必要な道具を用意していたりする。


僕とおじさんは手を止めずに話をする。

「いつから毒竜が住み着いたんですか?」

「大体1ヶ月くらいだな、ノースの方から飛んできて、村の上を通って南の山に住み着きやがった。周りに紫色の煙みたいなのを纏っていたから毒竜ってすぐにわかったよ」


「それで、どうしたんですか?」

「城にすぐさま報告して今は兵隊がやって来るのを待っているのさ」


「もう1ヶ月になるんですよね?何故、無事なんですか?どうして三の村を放棄しないのですか?」

「そりゃあお前、ウチの村には女神様が居るからだな」


「女神様?」

「ああ」


「それとお付きのガミガミ爺さんですよね」

メガネの人が会話に割り込んできた。


「女神様とガミガミ爺さん?」

「そうだよ、ウチの村には女神様が居て、それのお付きでガミガミ爺さんがいるんだよ」


2人が交互に喋り出したので要点をまとめるとこうだ。

村には今年二十歳になる女性が居て、器量好しで優しくて、責任感が強くて村を愛している。

その人が授かったアーティファクトが物凄く珍しい盾で毒霧や砂埃などで汚れた空気を吸い込んで綺麗な空気に替えてくれるらしい。

毒霧で村がやられないように、山の中腹の小屋で今も毒霧を綺麗にしてくれていると言う。

何故山なのかと言うと、毒竜の毒霧は放出されて空気と混ざる事で毒性が強くなってしまうが徐々に毒性は弱まると言う。住み着いた場所が悪かったのだろう、一番毒性の強い距離がちょうど三の村に当たるそうだ。

山から吹く風のせいで余程の事がないと三の村の被害は免れないらしい。

わざわざそれを確かめにその人は三の村と山を行き来してアーティファクトを使い続けたそうだ。

本当なら一番毒性の弱い吐き出したタイミングで吸い込みたいのだが、毒竜は縄張りに入ると襲いかかってくるし、住み着いて数日の間に毒竜の周りが毒性の強い土地に変わってしまった為にそれ以上中に進むと毒の吸い込む量の限界を超えてしまうので今は中腹で兵隊が来てくれるのを待っているらしい。


ガミガミ爺さんに関しては、その人のお爺さんで、可愛い孫娘が心配でついて行ったと言うこと、お爺さん自身もすごい人で金槌のアーティファクトを授かった人で武器や防具を沢山作ってきたそうだ。

ただ、孫娘を溺愛するあまり、周りに近づく男どもには年齢も関係なくガミガミと怒るのでガミガミ爺さんと陰で言われているらしい。


話は長かったが、ようやく三の村がどうして未だに滅んでいないかはわかった。

そして、どうして兵隊が来ないのかもわかる。

放置しておけばいずれ王の言う命が回る状況になるし、アーティファクトはその後にでも回収してしまえばいいのだ。


「おじさん、どうもありがとうございます。僕、ご飯を食べたら山に行ってみようと思います」

「本当に行くのか?」


「はい、それが僕の目的ですから」

「そうか…それなら止めないが…ところでこの肉はどうしたいんだ?」


「今晩、僕とお姉さんが食べる分をください。後は僕が帰るまでのお姉さんの分、それと折角山に行くので2人の分もください。」

「ああ、持っていくのか?それもいいかもな。後はどうすんだ?こんなに貰っては申し訳ない」


「それでしたら、僕の次の目的地が四の村なのでそこまでの食料と交換してもらえませんか?」

「四の村か、ここから一日の距離だな。わかった。お前さんとあの姉ちゃんの分の食料を用意しておくよ」


「助かります」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ