熊とイノシシ狩り。
目を覚ます。
僕はいつのまにか寝てしまったようだ。
早く起きて三の村を目指さねばいけない。
「お父さん、起きましたかー?」
トキタマが胸に乗ってきた。
「ああ、どうしたんだろう?急に寝てしまったみたいだ」
「お姉さんも心配していましたけど僕が寝かせてあげましょうと言っておきました」
お姉さん…?
ああ、ジチさんの事だ。
ジチさんは何処だろう?
「おはよう、キヨロスくん」
僕の頭の上から声がする。
起きて驚いた。
僕はジチさんに膝枕をして貰っていた。
僕は慌てて起きてジチさんに謝る。
「いいのよぉ、別にこれくらい。それにしても急に寝ちゃうなんて大丈夫かい?
疲れているんじゃない?
もう少し休むかい?」
「いえ。僕はどのくらい寝てしまいましたか?」
「んー、15分ってところだね」
それならまだ取り返せる。
「疲れて休んだと思うことにしようよ」
「そうですね」
僕たちは再び歩き始める。
それにしてもジチさんは先程声を荒げてしまった僕にこんなに良くしてくれて申し訳ない気持ちになる。
「さっきは声を荒げてごめんなさい」
「おや、そこは覚えていたのかい?
いいっていいってお姉さんも言い過ぎたって言っただろ?
こちらこそごめんなさい。
弟が出来たみたいで嬉しくてはしゃいじゃったんだ。
キヨロスくんが怒ってすぐに倒れたから覚えてないと思ったよ」
ジチさんは優しく言葉をかけてくれる。
この人のこう言うところを見て10人の男の人たちはジチさんの事をボスと呼んでいるのかもしれないな。
しばらく歩くと空気が悪くなってきた。
三の村が近いのだろうか?
辺りは夕方で薄暗くなってきた。
時間的に言えばそろそろ村が見えてもいい頃だ。
グルルル…
「何か聞こえなかったかい?」
確かに聞こえた。
「はい。何かが居ます」
僕は辺りに気を回す。
右奥の茂みが動いた。
多分あそこに何かがいる。
「ジチさんは僕の後ろに、極力守りますが危なくなったら三の村を目指して走ってください」
あの茂みの辺りまでなら火球が投げられる。
僕は「火の指輪」を構えて火球を茂みに投げ入れる。
グオォォオッ
茂みから飛び出してきたのはビッグベアだった。
「ビッグベア!?何でこんなところに?」
ビッグベアは本来山に住む魔物だ。
こんな街道付近をウロウロとしていると言うのは異常なのだ。
迷子か何かだが、ビッグベアが危険な事には変わらない。
更には随分と痩せている気がする。
このビッグベアは空腹なのだ…
ここで倒さないと僕らが餌にされてしまう。
僕は火を纏わせた剣でビッグベアを倒す。
「やったのかい?流石だねえ」
ジチさんが少し離れたところから戻ってきてそう言った。
「この辺りはこんな魔物がウロウロとしているのかい?
危ないねぇ…10人と住むのは無理かしらねえ?」
そんな事を言っている。
「ところでキヨロスくんは息大丈夫?」
「息?毒か…、ええ平気です」
毒、そうか…
「おそらくビッグベアは山に住んで居たのですが、毒竜が住み始めて、毒を撒き散らすから山を降りるしか無かったんです」
「それなら毒竜さえ何とかなればこの辺りも平和になるって事かい?
そうなら助かるねえ、うまくいけば10人と住めるよ」
「さて、ジチさん。手伝ってください」
「え?何をだい?」
「このビッグベアを運ぶんですよ。今日の夕飯です」
「え…嘘でしょ?」
僕はニコリと笑ってロープを用意した。
「重い…」
それはこの巨体だから仕方がない。
2人で運んでいるのだからこれでも随分とマシなのだ。
少し歩いたところでようやく三の村が見えてきた。
「お姉さんが先に行ってビッグベアを運ぶの手伝ってくれるように頼んでくるよ!」
そう言うとジチさんはすごい速さで駆け出していた。
余程重かったんだな。
僕も休憩しよう。
そう思ったが残念だ、何かが遠くからこちらに向かって走ってくる。
僕は身構える。
高速イノシシだ。
高速イノシシも本来は山に住んでいて高速で野山を駆け回る厄介な魔物だ。
高速イノシシは罠も壊すし、普通のイノシシとかも跳ね殺す。
山で狩りをする者の敵だ。
高速イノシシには基本進路変更はない。
曲がる時はぶつかりながら曲がる。
おかげで頭部が発達していて硬いコブになっている。
高速イノシシの進路に僕はいる。
このままだとビッグベアは跳ね飛ばされて食べられたものではなくなる。
やるしかない。
斬り込むタイミングを間違えると大怪我だ。
この「兵士の剣」は突きで能力を使ったことがない。
初めて見たあの斬撃に合わせた方法でしか発動をさせていないのだ。
試してみるしかない。
アーティファクトを発動させて突きを放つ。
それが出来れば高速イノシシの突進力と合わせて威力は倍になる。
「【アーティファクト】!」
高速イノシシは何とか倒せた。
コブの下、眉間のあたりに「兵士の剣」が刺さっている。
アーティファクトは発動したのだが、剣の訓練を受けていない素人の僕が放った突きは思った程の威力が出なかった。
これで発動すらしなかったら危ないところだった。
まあ、これで晩御飯が増えた。
しばらくするとジチさんが男の人を2人連れてきた。




