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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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お説教。

お姉さんは僕に力強くそう言うと真っ直ぐ街道を進み始めた。

「最初の目的地はどこだい?」

「三の村です」

毒竜がいる三の村だ、お姉さんは及び腰になって諦めてくれるかも知れない。


「毒の中を行くなんてよっぽどだね!もしかしたら三の村もアイツらと住みやすいかもね!行ってみよう!!」


強いと言うか何と言うか…僕には到底真似ができないな…



僕は街道を進む。

理想は今日中に三の村に着いて毒竜の情報を集めたいのだ。


お姉さんは僕の速度に鼻歌交じりで着いてくる。

この分なら引き離すとか置いて行くと言うことは無さそうだ。


「あー、ところで何だがね」

「何ですか?」

まさか疲れたとかそう言う話になるのか?


「貴方の名前を私は知らないんだよ。

一緒に旅をする中だろう?教えておくれよ」

そう言えばそうだ、まあ名前くらいならいいと思う。


「一の村のキヨロスです」

「キヨロスくんね、私の名前はジチ。本名はジチーチェって言うんだけど長いだろ?だから皆にはジチで通している」


お姉さん、ジチさんはそう言うと笑った。

一の村には居ないタイプの人だ。

僕は少しだけこの人を信用し始めて居た。

「親しい人は僕の事を「キョロ」と呼びます」

「キョロくんね。どっちで呼ぶかは追い追い考えておくよ。所で年は幾つだい?」

ジチさんは年齢で人を判断しない人だとは思うが、未熟者と思われてナメられても困る。


「何だい?言いたくないのかい?

まだ信用出来てないのかな?

それとも、人に聞くのならまず自分からって奴かい?

女性に年を聞くのは失礼なんだからね?

まあいいや私は25歳だよ」

矢継ぎ早に言葉が飛んでくる。


「僕は15歳です」

「そうかい、しっかりしてるからもう少し上かと思って居たけど、15歳かい!

それじゃあ成人の儀をやってその不思議なアーティファクトを手に入れたんだね?」


そこから先は色々な話になった。

ジチさんのアーティファクトは「風の羽」と言う髪飾りで能力は移動速度の向上で、色々歩いているうちに健脚になったらしい。

注意点は3日後に疲労が一気に襲いかかってくるらしく、初めて使った時は3日後に足が痛くて布団から出られなくなったと言っていた。

何でも生まれた五の村から八の村まで往復してきたらしい。


その後は僕のこれまでの経緯を聞かれた。

話せる範囲でトキタマの事、王の話、村が人質に取られた事を話した。


「キヨロスくんも大変ねー。

偉いぞ!

村のみんなの為って言っても中々行動出来るもんじゃない。

それを決断できたのは貴方の心が素晴らしいのと、それだけ貴方がご両親や村の人に愛されて居たと言う事だよ」

やはり褒められるのは苦手だ。


「もし、この先…私と貴方が友と呼べる仲になって全てが片付いたら一の村に遊びに行ってみたいな」

「サウスの端ですが一の村はとてもいい所です」


「キチンと自分の生まれ故郷を愛せている。素敵だね。私は貴方に好意を抱いてしまうよ」

好意!?何を言いだすんだこの人は…


……


「おっ、照れているのかい?それとも沢山話してお姉さんの魅力に気付いて好きになっちゃったかな?」

そんな事はない。

綺麗な人だが、僕はこの短時間でそういう風に思ったりはしない。


「違います」

「じゃあ何かなこの間は…?それとも村の話が出たから村に残してきた彼女の事とか考えてしまったのかな?」


「違います。本当に褒められるのが苦手なだけです。僕は全てを使い切ってでも村の皆を助けるんです!」

「彼女の事は否定しない…と」

急にこの勢いが腹立たしくなった僕は「いい加減にしろ」と怒鳴ってしまった。


「言いすぎたね、ごめんなさい。つい弟みたいで楽しくなりすぎちゃったよ」

「…僕の方こそ言い過ぎました」


「良いって、私がしつこかったんだ。

ただね…」

そう言ってジチさんは僕を睨みつけた。

怒っているのがわかる。

僕が言い過ぎたことには怒って居ないと言っていたのになんだ?


ジチさんは大きく息を吸うと僕に向かってこう言った。


「たかだか15歳の若造が何を「全てを使い切る」なんて言ってるんだい!馬鹿言っているんじゃないよ!!」

何を怒っているんだ?


「あんたがそんなんで、あんたのご両親は何とも思わないと思わなかったのかい!?

泣かなかったのかい!?

泣かなかったとしたら我慢してくれて居たんだよ!

そんな事もわからない子供が、何が使い切るだ!そんなんで助かってもねえ、誰も嬉しくないんだよ!!」

僕の考えは間違っているのか?子が親のために命を使い切るのははダメなのか?

ちょっと前の僕ならジチさんの言っている言葉の意味が分かったはずなんだけど、どうしても考えがまとまらない。何がいけないのか、ピンと来ない。


「あんた、村に彼女がいるのかわからないけどさ、あんたがそんな事を言っていたのを知っていたら絶対に行かせなかっただろうよ!親友だってそうさ!逆の場合を考えてごらん!!」

リーン、ナック…僕が命を使いつぶすと知ったら行かせない?

逆にリーンとナックが命を使いつぶす?

それは駄目だ。命を使いつぶすのは僕だ…


ジチさんの言葉に僕はひどく混乱をした。

考えてはいけない。

そのうちそう思い始めた僕は「考えちゃいけない」とうわ言のように言いながら倒れてしまった。

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