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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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一度目の死。

僕は少し進んだ所で昼食を取ることにした。

干し肉やパンの日持ちをするものは明日以降にするが今日だけは母さんの持たせてくれた昨日の夕飯を使ったサンドウィッチを食べる。


当分食べられないおふくろの味か…僕は噛みしめるように食べる。



僕の不死の呪いとはどう言うものなのだろう?

ずっと考えてはいたが、川に身を沈める勇気も無ければイノシシの群れに飛び込む勇気もない。

ナックなら試すのかもしれないなと1人で笑ってしまった。


不死の呪いを知る機会にはすぐに恵まれた。


街道を歩く僕は突然の痛みに襲われた。

胸を見ると一本の矢が刺さっていた。


矢を抜く、周りを警戒する、様々な事を考えたが力が入らない。

口の中が鉄臭い。

目の前が暗くなる…

そう思いながら僕は倒れ込んだ。


遠くの方から「一発だぜ!」と聞こえてきたのを最後に僕の意識は遠のいた。



57回目の時間。

フッと気づくと昼食を済ませた場所だった。

だが僕の手にはまだ食べていないサンドウィッチがある。


「トキタマ」

「はいはい」


「僕はどうなった?」

「お父さんは胸に矢が刺さって死にました。死ぬと僕の能力で直近の安全な時間に跳ばされます。さあ、早くご飯を食べて先に進みましょう!」


不死の呪いとはよく言ったものだ。

厳密には死ぬが、死んだ瞬間に強制的に死ぬ前に跳ばされる。


確かに死ねない。


そう言うものか。

痛みもあるし苦しみもある。

だが、死ぬ瞬間には戻される。


食欲の無くなった僕は休憩もそこそこに歩く事にした。

街道をまた進む。

先程殺された場所が近づく。


確かに一度殺されて気がついたが、周りは少し高い丘や山になっていて、茂みや木など身を潜める場所が何箇所かあり、逆に街道は驚く程見晴らしが良くて無防備だ。


まるで狩場だな。

今回も殺されてやる気はない。

こちらが仕掛ける番だ。


「トキタマ!アーティファクトの位置はわかるか?」

「わかりません!」


「わからない?」

「わからない…と言うか、無いです」


「無い?」

どう言う事だ?とりあえずトキタマがわからない以上、何回跳んででも探し出して皆殺しにするしかない。


自身が狩りをするイメージになって左側にある茂みの一つに目を向ける。

矢は胸に刺さったから前からの射撃だが、恐らくは1人では無いだろう。


僕が後ろで、前が父さんで…

このパターンと同じなら前を向いている間に横や後ろからも攻撃をする。


それならこの茂みかもう一つの茂みに仲間が居るだろう。


居た。

不慣れなのか気配が消しきれて居ない。

向こうはこちらが街道から逸れたことに驚いて居たが、まだ隠れられていると思ったのだろう。必死に身を潜めている。


「あぶり出すか」

近寄ってから剣で斬るのも考えたが、万一弓で狙われて死んではたまったものではない。

あの力が抜けていく感覚は何度も味わいたいものではないのだ。

火の指輪を構えて火球を作り出す。

火球は手の届く範囲なら何処にでも精製できる事がこの前使った時にわかった。

成長していないからか、それともそう言うものなのかわからないが、飛ばすという事はイメージしても出来なかったが、投げると言うのはイメージ通りに出来た。

僕はその火の玉を茂みに向かって投げ入れる。


すぐさま「うわぁっ」と言う悲鳴と共に悪人顔の男が飛び出してきた。

話を聞いてみたかったがもう1人居るのは確定なので剣で殺してしまう。


もう1人はまだ身を隠すか、それとも弓で狙ってくるか…


万一を考えて矢が飛んできにくい位置に身をずらす。



身をずらしてすぐ裏の山から剣を持った人間が駆け降りてきた。


「よくも弟を!」

顔をよく見ると年をとった男なのがわかる。

弟?

義兄弟とかかな?

知ったことでは無いし、よくもって言う話で言えば僕は一度殺されている。

こちらこそよくもだ。


剣には剣でなんて言わない。

最近のマイブーム「顔面ファイヤー」を食らわす。


「ぐわぁぁぁっ!?」

顔の火をバタバタと叩くがアーティファクトで出来た火は中々消えない。

男は酸欠かなにかで倒れた。

ここで終わりにして後ろから殺されたのではたまったものではない。

僕は念入りにとどめを刺す。


「よし」

後は弓を使った敵だけだと思った僕は慎重に前に進もうとした。


「よくも仲間を!!」

また山から男どもが剣だの槍だのを持って襲いかかってきた。

中には槍を投げてくるのもいる。


しまった。

遠距離の攻撃方法はない。

槍はかわすことが出来るかな?

刺殺されるのはやだな…



乱戦になると槍は飛んでこなくなった。

同士討ちはしたくないだろうしそれもそうかと思った。

今までの経験が活きているのか敵の動きが見える。

こうやって動きながら考え事が出来るくらいの余裕がある。

そうなると逆に一般兵の強さが骨身にしみてわかる。

あの時は余裕なんてどこにも無かった…


男どもは数えたら6人程居た。

上から槍を放った奴を入れたら7人になる。

僕はまだ剣を抜いて居ない。

男どもも僕を「火の指輪」の使い手と思い込んでいるのか距離の取り方に気をつけているのがわかる。


「「火の指輪」なら同時に二発は撃てない!一発撃ったら次までの間に斬りこめ!」

ひとりの男がそう言っている。

成る程、同時に火の玉を出す事は考えて居なかった。


だが、村を襲った訓練兵は両手に火を持っていた。

二発は無理でも一発を分ける事は出来るのではないか?


試しに右手に作った火の玉を2つに割ってみた。


集中していないと左手に割った方の火が消えてしまいそうになる。

これか、これで訓練兵はモタついていたのか…


これは顔面ファイヤーには向かない技だ。

出来るなら左右から顔面ファイヤーをお見舞いしたかったのだが残念だ。

さっさと使ってしまおう。

2つに分かれた火球はそう大した火力もないので僕はすれ違いざまに男どもの襟に火を放つ。


「アチィィィッ!?」

男どもがどよめきながらこちらを見てくる。


「コイツ、まだガキなのに戦い慣れてやがる!」


そうか?

僕は戦い慣れているのか?

とても楽しい気分になってきた。


初めてトキタマを使った日とはまた違う高揚感に支配された僕はこの戦いを楽しむことにした。

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