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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
42/307

リーンのお願い(本音編)。

46回目の時間。

目の前にリーンのお父さんがいる。

ここは何処のタイミングだろう…話の内容がわからない。

しまった。

タイミングが良くない。


「おや?また跳んでくれたのかい?」

「あ、はい」


「リーンが迷惑をかけているのかな?すまないね」

「いえ、話が沢山ありすぎて時間が足りないだけですから」


「それならいいのだけど、リーンもお願い事をする時なんかはそうなのだが、一番話したいことは最後にする癖があるから中々終わらないよね…。明日もあるのにごめんね」

「いえ、大丈夫です」


「君がきちんと帰ってくるかを心配しているのだろうね。

また2人の時間が減ってしまうね。

ちょっと呼んでくるよ」


リーンのお父さんが家に戻っていく。

「そろそろ準備は出来たかな?」


少しバタバタした気がしたが、先ほどのような掛け合いもなくしばらくするとリーンが出てきた。


「お待たせ」

「うん。タイミングしくじってしまったよ」


「どうしたの?」

「リーンのお父さんに何回目?って聞かれちゃったよ」


「お父さん、こういう時には鋭いんだから」

そんな話をしながら笑いあって広場へ向かう。


「ん?」

今回はリーンからさっきしなかったいい匂いがした。


「あ、気づいた?香水をお母さんがつけてくれたの。多分…お母さんにも何回も跳んでいるのがバレてるみたい「今度は香水もつけてみなさいよ」って言われちゃったの」

「ああ、バレてるね…」

僕たちが何回も跳んでいる事実がバレてしまった事にすこし照れてしまい。

2人で赤くなってしまった。


「さあ、二つ目の納得するための話をしてよ」

今度は僕から話をする。


「うん、お願いなんだけど、無理なら仕方ないけど…それでも出来たらお願いしたいの」

一緒に行く以上のお願いって何だろう?

僕は相槌を打ちながらリーンがきちんと言い終わるのを待つ。


「帰ってくるまでの間、跳ぶときは全部私の記憶も一緒に跳ばして欲しいの。お願い、ダメかな?」

正直保証は出来ない…それこそ、何か戦闘のタイミングで何回も跳ぶ時にリーンの心が耐えられるのかわからない。


「あまりに連続した時とかは跳ばしたくない」

「なんで?」


「酷いときは10分に1回とか跳ぶんだ、そういう時に一緒に跳んでいたらリーンが耐えられなくなると思うんだ」

「大丈夫!私耐えるから、耐えるから置き去りにしないで?」


「耐えられないリーンが居ると思うと跳ぶに跳べなくなる」

「お願い!!」

リーンは泣いてしまった。

嘘をつくのは嫌だ、だがこのままでは収拾がつかないのも確かだ…


「僕もなるべく跳ばないようにはする。どうしても連続する時は置いていく事は受け入れて欲しい」

「それなら連れて跳んでくれる?」


しばらくの沈黙の後、僕は返事をする。

「うん、約束はする。でもナックや父さん母さんには言わないでくれるかな?」

「うん、約束する。」

ようやくリーンが泣き止んでくれた。


これで納得してくれただろうか?

「もうお願い事は全部かな?」

「まだ、もう一つあるの」


…「リーンも一番話したいことは最後にする癖があるから」と言ったリーンのお父さんの顔が思い出された。

これが一番大事なのだろう。


「何?聞ける事なら叶えるから言って?」


「本当に聞いてくれる?」

「うん」


「…」

「…」


沈黙だ。

僕が跳ぶ時に記憶を一緒に跳ばす以上のお願いがあるのか?

リーンが難しい顔をして僕を覗き込んでいる。


考えられるものはある程度考えてみたがわからない。

これが他の村でかわいい服とか化粧品を買ってきてならマシなんだけど、きっとそう言う類のものではない。


僕にはわからないからリーンの言葉を待つしかない。

ないのだが、また時間が遅くなってしまった。

「遅くなってきたけど、もう一回跳びなおす?」

僕はそうリーンに聞いた。


「このままで、今跳ぶと決心が揺らぐから、このままで待っていて」


決心?

何をするつもりだろう


「うん、よし!」

リーンが小さく気合を入れる。


「キョロ、私の事好き?」

突然の質問に僕は言葉を失ってしまった。


「いきなりどうしたの?」

「いいから答えて!好きだったら帰ってきてくれるでしょ!?」


正直、好き嫌いはよくわからない。嫌いではない。でもリーンは将来別の村に嫁ぐか、ナックと結婚をすると思っていたのでこの質問には驚いた。


答えに困る僕に「嫌い?」と聞いてくる。


「嫌いだったら約束を守って記憶を連れて跳んだりしないよ。こうした一緒に長い時間も過ごさない」


「じゃあ、好き?」


「それもいきなりで良くわからない。リーン、君が僕にそういう事を聞いてくるとか思ってくれているとか考えたこともなかったから今はよくわからないんだよ」


「うん、嫌いではないと…」

リーンは何か自分に言い聞かせている。


「じゃあ、キスして」

「えぇ?」


「嫌?」

「嫌ではない」


「ならして」

「…」

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