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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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新しい力。

39回目の時間。

僕の焦りがあったからか、今回は南の山側に着いたところに跳んでしまった。


「あれはおかしいぞ、絶対に変だ!」

ナックが詰め寄る。

「4回目の時間の時に言っただろ?何か違和感があるって」

そうなのだ、感じたことのない違和感が今のリーンにはある。

僕の違和感は先程のリーンの姿で確信に変わる。

「トキタマ!」

「はいはーい。お父さん、跳びますか?」


コイツ、白々しい。

「何が起きている?僕に何が起きた?また成長したのか?」

「はい!そうですよー」


またコイツは…

「で、何がどうなった!?」

「お父さんはお友達のお姉さんを何回も跳んで見た時に35回目を迎えて成長しました。

今回は、跳ぶ時に記憶を連れて行かなくても相手の深い気持ちを何となく連れて行けるようになりました」


…どういう事だ。

「これが戦いで、お父さんとの戦いが2回目なら相手の兵隊はお父さんに初めて会うけど、1回目に殺された恐怖はなんとなくあるから怖くなってしまうのです」


心の深い部分の気持ちを連れて行くということか?

「今回、お姉さんはお風呂を見られたのが嫌だったのでその気持ちだけが跳んでいたんです」


「跳んだ時全員が気持ちを持って跳ぶのか?」

「いいえ、僕が気持ちを連れて跳びました!

成長した力をお父さんに説明できるように、僕がお姉さんの気持ちを連れて跳びました!」


「この野郎!」

ナックがもの凄い形相でトキタマを捕まえている。

僕もトキタマが勝手にやった事にいら立って、心の中でナックを応援してしまう。


「僕はやりたくなかったですけど、お父さんに知ってもらうために仕方なかったんですー。

お父さんは僕にいつも成長を聞くからお父さんの為にやったんですー」


「口で言えよ!」

ナックが僕の気持ちを言ってくれる。


ガツン!

トキタマを捕まえていたナックが「ぐぇ」と言いながら沈んだ。

リーンが湯気を立ててナックの後ろに立ち、ナックに鞭を振り落ろしていた。


「少しは聞こえていたけど、どういうことかしら?」

またあの怖い笑顔を見せている。


「お早いお帰りで…」

ナックがまた余計な事を言っている。





「サイテー!」

リーンが怒っている。

まあ、未遂も含めれば何回も風呂を覗かれているのだから怒りもするだろう。


「だからな、俺はキョロにだな?帰ってきてもらいたい気持ちからだな?」

ナックが見苦しい言い訳をしている。


「うるさい!」

リーンの鞭がナックの頭を叩く

「痛っ!それで叩くのやめてくれよ」


「うるさい!」

リーンはヒュンヒュン鞭を鳴らしながらナックに怒っている。


ちなみに僕たち2人は地面に正座させられている。


「俺は楽しい思い出をキョロに持ってもらって村に帰って…」


ピシッ!


「痛っ!」


もうリーンは何も言わずに鞭を振るっている。

「なんで俺ばかり殴るんだよ、キョロだって見ていたんだぜ?」


「はぁ!?」


ピシッ

「痛っ、もう勘弁してくれよ〜」


「トキタマちゃんから聞いたから、わかっているんだからね。

ナック、あんたが記憶を持って跳んだ事。

それに私もわかっているんだからね」


「な…何をだよ」

「私は跳ばれた時のことは覚えてないけど、ナックが気持ち悪かったのは何となくわかっているの。

気持ち悪いモヤモヤした気持ちがあったから、お風呂にのんびり入るか悩んでいたんだけど、今はのんびりお風呂に入るよりもナックを鞭で打たなきゃって気持ちが強かったからさっさとお風呂から出てあんたを見つけてぶったの」


数を数え忘れていた事、跳ぶ都度トキタマに成長を聞き忘れた事が今回の問題点なので反省をしなければ明日以降どんな目に遭うかわからない。

とりあえずトキタマにはこの力は勝手に使うなと言っておいた。

本当は他の力も勝手に使わないように指示するべきなのだが、万一必要な力の時に「お父さんから言われましたー」とか言って使われなかった為に大変な事になるのは困る。

なのでこの力だけと限定して制限をした。


「さて、キョロ?」

リーンがこちらを見てる。


「はい」

怒らせないように返事をする。


「この後はどうするつもり?」

「家に帰って猛省します」


「それじゃダメ、わからない?」

僕はナックを見る。

リーンはその僕を見て頷く。


「何だよ?どうすんだよ2人とも?」

ナックはリーンに驚いている。


「キョロ?」

「はい、僕はこれから跳びます。跳ぶのはナックが家に迎えに来る前で、ナックの記憶は連れて行きません」


「そんな!?酷いぞキョロッ!?」

ピシッ


ナックはまた鞭で叩かれている。


「それだけじゃダメ」

リーンがまだ納得していない。

多分あの事だろう。


「リーンの気持ちも連れて跳びません」

これでリーンの湯浴み姿を知るのは僕だけになるし、リーンもナックへの気持ち悪さや恥ずかしさの気持ちも残らないで済む。


「本当ならキョロもダメなんだからね!」

「はい」


「でも、ナックが言う通り、お風呂を覗くのが楽しくて、またバカしたくて帰ってきてくれるなら我慢する」


「リーン…」

「今の無し、さっさと跳んで」


「トキタマ!」

「はいはーい」


40回目の時間。


丁度家にナックがやってきたところだった。

さっきと同じで思い切り走ってきて、かなり息を切らしている。


「お前、今大丈夫か!?」

「やめたほうが良いよ」


「は?お前何を言って」

「やめようよ」


「お前もしかして」

「大丈夫、ナックの言う楽しい思い出は僕の中には刻まれたよ。だから大丈夫。ありがとう」

僕は極めて冷静に、感情を殺してそう言った。


「お前ばっかりずるいぞ!!」

「鞭で滅多打ち」


「は?」

「ナックはリーンにバレて鞭で滅多打ち」


「それはお前が記憶を…」

「持って跳ばなくてもトキタマが成長してリーンの不信感も一緒に跳んだことでバレて、鞭で滅多打ち」


「え?…え?」

「ナック、だからもうやめよう」


「ちくしょぉぉぉぉう!!」

ナックは来た時と同じ速度で帰って行った。


後ろで聞いていた母さんが僕にポツリと漏らした。

「キヨロス、女の子を泣かせちゃダメなのよ?」

振り返って僕は恐怖した。


リーンと同じ鬼の笑顔の母さんが僕をジッと見ていた。


母さんには、一応未遂になったことを告げて納得してもらった。

「まあ、今回はナックちゃんもキヨロスとの思い出作りだったようだし、お母さんも今回は許します」


やはり風呂を覗くとかはやらないほうが良いんだよナック。

今度、僕の居ない間にやったら村の女性陣に半殺しにされるんじゃないだろうか?

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