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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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これからの話。

夕方、ナックのお父さんが帰ってきた。

村長の所に行っていた父さんが教えてくれた。


やはり二の村は焼かれていたそうだ。

そうなると、次はまたこの村に兵隊がアーティファクトを奪いに来るだろう。

夕飯の後で男性陣は村長の所に行って今後の話をするらしい。


僕も行こうかと父さんに聞いたが父さんは「子供たちにばかり任せられない」と言ってくれた。


夜遅くに父さんが帰宅した。

あまり進展が無かったようで困った顔をしていた。

母さんが「私たちの事をあまり考えすぎないでください。ちゃんとどんな決断でも従いますから」と父さんに言っていた。



[3日目]

翌朝、朝早くに村長が家まできた。

僕はてっきり弓と指輪のアーティファクトの事で怒られるのだと思い、怒られる前に指輪と弓のアーティファクトを出して謝った。

持ち出した経緯を話すと指輪は僕に預けてくれて、弓だけは村長が持って帰る事になった。

話はその事ではなかったらしく、改めて村長が「キヨロスと話がしたい」と言った。

父さんと母さんが村長に同席を求めた。

村長は無論親なのだからと許可をしてくれた。


テーブルに村長と父さん。その向かいに僕と母さんが座っている。

トキタマは僕の肩に止まっている。


「キヨロス、話と言うのはな…」

「兵隊の事ですよね?」


「わかるのか?またアーティファクトの力を使ったのか?」

「いえ、昨日少しだけ父さんから話を聞きました。二の村が焼け落とされていたそうですね」


「そうなんだ、昨日の夜男性陣で話し合ったんだがあまりいい話にはならなかったんだ」

「どんな話ですか?父さんも教えてくれなかったんです」


「そうか、多分逃げたというフードの男はまた兵隊を引き連れて村に来るだろう。今度は無事に済む保証はない。それで話し合ったのだ。まず一つ目[村を放棄して家庭単位で逃げて新しい土地を探す]まだ無事な三の村や四の村、王都なんかに行ってもいいだろう。フードの男は我々1人ひとりの顔までは知らないのだから何とか逃げられるだろう」


「はい、顔が知られているのは主に僕ですね。北側の兵隊を倒すときにフードの男に見られている可能性がある。後はもしかしたらナックが見られている恐れがありますね」

「そうなった場合、キヨロスが居てはバレる可能性が高い。キヨロスには八の村か皆の行かない場所に行ってもらう事になる。ナックはキヨロスと一緒に居なければバレないのではないかと言う話になった」


「そんな!!」

母さんが村長に詰め寄る。


「この子は村を救ったんです。それなのに、それなのに…あんまりです」

「母さん、村長が言ったことではない。男性陣の中でそういう声が少し出ているだけだ。みんなが可能性を考えた中で出てきたことなんだ」

父さんが母さんをなだめている。


「二つ目は?」

「うむ、二つ目「村を放棄して全員で国境付近の山に移り住んで一から生活をやり直す」これならキヨロスだけを追い出すこともなく全員で避難をすることができる。ただ、国境の辺りは15年間王のアーティファクトが結界のように国全体を覆っている。いつ流れ弾が跳んでくるかわからない。後は土地が良くないから農作物があまり採れない事や、人里離れた場所なので魔物が出るという問題もある」

「山の暮らしは難しいですね。それに農作物があまり採れない土地ではナックのアーティファクトが力を発揮できません」


「私たちならいいのよ、キヨロスと一緒に居られるのだから魔物も食べ物が豊かではないのも我慢できるわ」

母さんが必死になってくれている。


「そして三つ目じゃ…。[このまま村総出で兵隊をと戦う]仮に前と同じ規模の兵隊が来ても何とか戦えるのではないか?そう言うものも現れてはいる。それはキヨロス、お前のアーティファクトの力があっての話なのだがな」

「それも想像していました」


「そんな…」

母さんは泣き出してしまった。


「キヨロス、お前はどう思う?」

父さんが僕に聞いてきた。


「この村を一度救ったのはお前だ、私はお前には決める権利があると思う。別にお前の責任云々にしたい訳ではない、決断をお前に押し付ける訳でもない。だが、私は村を救ったお前が決めればいいと思っている」

父さんの言葉に村長は黙っている。


「いいのよ、無理しなくていいの。怖い思いをして戦うなんてしないでもいいの。ずっと一緒に居ましょう?あなたは私の子なんですもの、親子はずっと一緒に居ていいのよ。母さんはどんな土地でもお父さんとあなたがいてくれたから大丈夫だから。ね?」

母さんは泣きながら僕を見て微笑んでくれている。


確かにこのまま父さんと母さんと3人で生きていくのもいいと思う。

村の全員で逃げ延びて山でひっそりと暮らすのもいいと思う。

全員バラバラになって新しい人生を歩むのもいいと思う。


だが、僕は呪われている。

フードの男の言う通りならば僕は死ねないらしい。


逃げ延びた所で家族を村の人たちを看取って僕は1人ぼっちになる。

それならば別の道を探したい。


せめて家族には幸せになってもらいたい。

村の人たちも兵隊に怯えるような暮らしはしてほしくない。


「僕はお父さんの考えが正しいと思いますよー」

トキタマが口をはさんできた。


「トキタマ様、それは一体?」

村長はトキタマに様を付けているのか…


「お父さんは一度、兵隊たちと戦ってみてダメだったら戻ってきて逃げる指示を出す事を考えているんですー」

トキタマは心が読めるのか?僕の考えをまた察している。


「おお…戦ってくれるのか?キヨロス」

「うん、それで勝てれば父さんも母さんもみんなも今の暮らしを捨てないで生きていけるよね?」


「キヨロス…」

父さんが涙を浮かべて僕を見ている。


「また全員が無事に生き残れるように頑張ってみるよ」

「あなたって子は…」

母さんが抱き着いてきた。


「わかった。皆には説明をしておく。何か準備や気になることがあれば言ってくれ」

「多分、王都までは早くて三日半かかります。今日中にはフードの男は城に到着して準備が済み次第攻め込んでくるでしょう。準備を含めて往復で8日からかかると思います。その間に村の守りを固めて食料などの用意をしましょう」


「そうだな。それでは今日から準備に取り掛かろう」

村長は足早に帰って行った。

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