実験。
しばらくするとナックが息を切らせながら戻ってきた。
「ダメだ!村長に見つかった!!」
「えー?」
リーンがガッカリとしている。
「全部はダメだったけど、2個だけなら持ってこれたんだぜ?」
「なんだ、そうなら言ってよ!さすがナックね」
ナックが持ってこれたのは指輪と弓だった。
「これがアーティファクト?」
「大変だったんだぜ!兵隊の荷物とか全部ひとまとめに倉庫の中だったから一つ一つ確かめたんだ!」
「え?…ナック…それって?」
「おう!全部1つずつ使って見た!さっきの静電気より痛くて声が出ちゃってさ、それで村長にバレちゃったよ」
「嘘…」
「本当だよ、すげえ痛くてさ。まだ手がジンジンしてるよ!」
何という気合い、何というガッツ…
確かめる方法は一つしかないとはいえ、痛いのがわかっていてやるのは勇気がいる。
それを平気でこなしてきて笑っている…
これだからナックは凄い。
「じゃあ、一個目使ってみるよ。」
「おう、よろしく頼むぜ!」
赤い宝石の付いた指輪を握りしめた。
指にはめるのが正解かも知れないが、万一注意点が「死ぬまで指から離れなくなる」とかだと困るので握ることにした。
それに静電気が起きた時に装着しているのは怖い。
僕はナックではない。
「【アーティファクト】!」
僕の目の前に握りこぶしくらいの火の玉が出てきた。
「お!出来た!!」
「凄い!!」
「これは、やはり火の指輪か…」
赤い宝石だったので火だと思っていたがその通りだった。
昨日の火のアーティファクト使いが持っていた指輪、僕が使えると言う事はどうやら未成長だったようだ。
取れなくなると言う事もなく普通に僕の手を離れた。
恐らくB級だと思うけど、能力と注意点がわからないのは怖いな。
そう言えば、僕は何も気にせずに剣のアーティファクトを使っている。
注意点は何だったんだろう?もう使ってしまっているし成長もさせてしまった。
今のところ僕の身体に違和感はない。本当何だったんだろう?
神の使いに会いたいな。
続いて弓を手に取る。
「キョロ、気を付けてくれよ。そいつは指輪の時より痛かったからさ!!」
ナックが今更怖いことを言い出した。
しかし、ここで辞めたらせっかく持ってきてくれたナックに申し訳が立たなくなる。
僕は弓を構えてみる。
そう言えば矢筒がない。
倒した兵隊も矢を持っている兵隊と持っていない兵隊が居た。
…見分け方はそこだったのか。
これで矢がないと発動できないアーティファクトだったら諦めよう。
万一矢が出て怪我でもさせたら危ないので2人の居ない方向に弓を向ける。
「【アーティファクト】!」
バチッ!!!
さっきの比ではない光り方をして物凄い衝撃が僕の手を襲う。
「うわっ!!?」
「大丈夫?」
「平気か?」
2人が駆け寄ってきてくれた。
「うん、これは成長済みのアーティファクトだったみたいだ。僕には扱えない」
「そうなると今使えるのは指輪ね…」
「もしかしたら倉庫の他のアーティファクトなら未成長のものもあるかもしれないけど、行くのはマズいよな。」
「うん、ありがとう。僕自身使い道はわからないけど用心の為に持っておくことにするよ。」
空を見ると陽が傾き始めていた。
「2人とも今日はありがとう。もう、今日は帰ろう」
僕は帰路についた。
弓のアーティファクトは明日こっそり返しておこうという話になった。




