勉強会 その3。
「大丈夫だよ。見せて欲しいなリーンが考えて精製した武器を」
「うん、…笑わないでね?」
「平気だぜ、なあ!キョロ?」
「うん」
「【アーティファクト】!」
僕とナックはリーンの手元を見た。
手元には何と大きなミートフォークがあった。
「フォークぅ?」
ナックが驚いている。顔に「まさか」と書いてある。
「ほら、笑わないでって言ったのに、ナックおかしいって思ってる!」
「お…思ってねぇよ」
「ねえ、リーン。何でミートフォークなの?」
「え?戦う相手って骸骨とかお化けじゃない肉のある生き物だから、肉に刺さったら痛そうな武器を考えたの。」
僕にはその発想は無かったので驚いてしまった。
「ほら、キョロもおかしいって思ってる!」
「そんなんじゃないよ、驚いただけ、僕にはない発想だったから。リーンは凄いなぁ…」
本当、女の子の発想は恐ろしい。
「こ…これで13種類だよな?あと1種類は何を精製したんだよ」
「そう言ってナックはまた笑うでしょ?」
「笑わねぇよ、なあキョロ?」
「うん、笑わない。笑わないよ。」
「本当、笑わないでよね」
「笑わないって、だから俺たちに見せてくれよー」
「わかった、本当に笑わないでよね。」
「うんうん、それはもう」
リーンは何故か先を前に突き出した。
「じゃあ、ナックとキョロは危ないから離れて」
ん?
「危ないから離れて!」
二度言った。
え?リーンは万能の柄で何を精製したんだ?
危ないって、そんなものを僕だって精製しなかったぞ、リーンは何を精製したんだ?
「ナック、離れよう…」
僕たちは言われた通りリーンから離れた。
「行くわよ…、【アーティファクト】!」
僕は目を逸らすことなくリーンの手元を見た。
「おい、マジかよ…」
ナックが驚いている。
僕も驚いている。
そこには1メートルを超える長さの太くて大きな針があった。
確かにそのまま前に立っていたら僕たちは刺されていたかもしれない。
この針は何に使うのだろう?
僕は鎧を貫ける杭を精製したが、リーンは僕とは違う別の武器を思いついていた。
「長さは申し分ないけど、これだと兵隊の鎧は貫けないね」
思わず口から出てしまった。
「おいキョロ!」
ナックが僕を咎める。
しまったリーンの気を悪くしてしまったかもしれない。
リーンの顔を見てみると
「そういう武器じゃないのコレ」
あっけらかんとした顔でそう言った。
「え?」
「兵隊に近寄りたくなかったから長い武器を考えたのだけど、でもあまりいい武器が思いつかなくて、それで針を見て思いついたの」
「確かに針だね」
「これでどう戦うんだよ?」
「え?兵隊が来たら目つぶしするのよ」
自信たっぷりにリーンが言う。
「「え?」」
僕とナックがハモった。
肉を刺すフォークに目つぶしをする針…女性の考えることは恐ろしい…
僕は笑うとかよりも恐ろしくなって引いてしまっている。
人が変わったとリーンは昨日言っていたが、リーンも十分に変わったと思う。
「これで14種類か…、あと1種類精製したら成長か、何か考えちまえば?」
ナックが簡単に言ってくれる。
「いや、やめておいた方が良いいかも」
「なんでだよ?」
「リーンはまだアーティファクトを持って二日目だから急に成長をさせると「万能の柄」自体を持てなくなってしまうかもしれない」
「そんなことないかもしれないだろ?リーンはどうしたいんだよ?」
ナックはどうしても成長をするところを見てみたいのだろう。リーンの意見を聞いている。
「私は…持てなくなるのは嫌だけど成長はさせてあげたいかな?トキタマちゃん、私のアーティファクトは成長すると持てなくなるのかな?」
「多分大丈夫ですー。駄目だった時にはお父さんがちょっと前に跳んでやり直してくれますよー」
「お!そうか!その方法があったのか!じゃあリーンも失敗できるじゃないか」
ナックが軽々しく言ってくれる。
「…やっぱりやめておく。失敗してキョロに何とかしてもらうのも良くないと思うの」
「なんだよつまんないなー」
「つまんないですねー」
トキタマとナックがブーブー文句を言っているがリーンのアーティファクトなのだから周りがとやかく言うものではない。
話を戻すと昨日の成長で、僕は持って跳ぶ事はかなわないものの、今の時間の中で使えるアーティファクトが増えたと言う事らしい。ただし、それもB級の未成長のもので成長をすると今の僕には持てなくなるらしい。
「なあなあ、俺も「大地の槍斧」を使えば成長するのか?成長したらキョロみたいに二個持ちとか出来るようになるのか?」
「無理ですね」
トキタマが無情にも言い切った。
「複数持ちは特定の人や僕を授かったお父さんにしか出来ません」
そう、僕は昨日の夜、トキタマが未成長でもリーンの「万能の柄」を使えた。
「トキタマ、君は僕がアーティファクトを同時装備できる事も知っていたんだね?」
「はい!」
「何で言わないんだよ!」
ナックがトキタマに怒っている。
「聞かれなかったから」
「聞かれなかったからですー」
トキタマのタイミングに合わせて言ってみた。
「え?」
ナックが面食らった顔をしていて、リーンが笑い出した。
「何それ、キョロ面白い!」
「トキタマは基本的に聞かないと答えてくれないんだ」
コミュニケーションが取れるからたまに忘れてしまうが、トキタマはアーティファクトなのだ。
人とは違う考え方なのだ、多分トキタマの優先順位は一番がトキタマ自身の事、僕にアーティファクトを使わせること。二番が僕の身体、僕がアーティファクトを使えなくならないように気を付ける事なのだろう。




