穏やかな時間。
「ふう」
僕はようやく自分のベッドに入れた。
「お父さん、今日はお疲れさまでした。一日で沢山跳びましたね!!」
トキタマが明るくはしゃいでいる。
家に入るときに僕はトキタマを家に招き入れた。
そして父さんと母さんに紹介をした。
父さんと母さんは綺麗な小鳥だとトキタマを褒めちぎっていて、会話が成立した事で更に感動をしていた。
そして2人とも僕に優しく微笑んでから、僕の想像通りに喜んでくれた。
僕は僕がやった事が間違いではなかったと思えて嬉しかった。
そう言えばあの剣を持って帰ることにした。鞘は倒した兵隊から拝借して自分のモノにしてしまった。
せっかく育てたアーティファクトなので出来る事ならこのまま使いたいと思う。
そう言えば名前が無いな。
「トキタマ」
「はいです!」
「この剣の名前って何?」
「こんな剣の名前なんて知らないです。お父さんが勝手に名前を付けちゃえばいいんじゃないですか?」
まあ無くても不便はない。
変な名前を付けて後で剣を知っている人に「それ違いますよ?」なんて言われたら格好悪いし、今のところは「兵士の剣」とかで良いのかもしれない。
段々と眠くなってきた。
それにしても惜しいのはフードの男を取り逃がした事だと思うが、あの男は丸腰だったので今すぐ何かをしてくる事もないだろう。
だが、やはり取りこぼしがあると言うのは落ち着かない。
「跳びますか!?」
僕の心を読んだのか、顔に出ていたのかトキタマが不穏な事を言ってきた。
僕はそれを断って布団に入った。
ああ、トキタマはタマゴの殻をうまい事使って寝ている。
「そう言えばあの殻もよく割れたり無くなったりしなかった…な………」
[2日目]
僕は気づかない間に相当疲れていたみたいだ。
起きた時はもう昼近い時間だった。
普段なら午前中は水汲みや父さんの道具の整理や調整に付き合って居るのだが今日は起きられなかった。
トキタマの姿が見えなかった。
「まあ、呼べばくるか…」
僕は母さんたちの所に顔を出した。
「お父さん、おはようございます!」
トキタマが僕のところに飛んできた。
「キヨロスがなかなか起きないからお母さんが心配で顔を見に行ったの。そうしたらトキタマちゃんは起きていたのよ。それでうるさくしたらキヨロスが起きてしまうでしょ?お母さんとこっちで待ちましょって誘ったのよ」
確かにトキタマなら僕を起こしていたかもしれない。
「ありがとう母さん、父さんは?」
「お父さんはいつもの日課と村長の所に集まっているわよ」
そうか、あの兵隊の亡骸の埋葬とこれからの話をしに行っているのか…
「所でキヨロス?」
「何?母さん」
「トキタマちゃんは何を食べるのかしら?トキタマちゃんが大丈夫って言うから朝はお母さん達と一緒のご飯をあげたんだけど、虫とか捕まえてきた方がいいのかしら?」
「大丈夫、なんでも食べるけど何も食べなくて平気だって本人が言っていたから僕たちと一緒のご飯で平気だよ」
「そう?それなら安心ね。所で午後の予定はあるの?」
「ああ、それならナックとリーンと少しアーティファクトの事で話をしてくるよ」
「わかったわ、午後はお母さんも広場の片付けに行ってくるわね」
助かる為とは言え広場に近い家の人のテーブルや椅子を盾がわりに使ったのだ、滅茶苦茶になっているはずだ。
「あ、もう父さん帰ってきたよ」
僕は母さんに告げる。
「ただいま」
父さんが帰ってきた。
「おかえりなさい!お父さんのお父さん!」
トキタマが変な呼び方をしている。
父さんはそれだとお爺ちゃんになるのか…
なんか嫌なので「お父さんのお父さん」でいいやと思った。
僕は家族で昼食を食べた。
食後に父さんから村長との話し合いの内容を教えてもらった。
一度目の時間で僕がフードの男から聞いた王様の話についてまずは話したらしい。
王様が何を思ってアーティファクトを求めたのかはわからないが、この15年近く他のガーデンとの交流が断たれていて、戦争が近いと言う噂が現実味を帯びてきたのかも知れないと言う事。
C級のアーティファクトが戦争で一体なんの役に立つのだろうか?
「愛のフライパン」ならご飯が美味しくて兵隊はヤル気になるかも知れないが…
昨日の戦いではないが兵隊にとても太刀打ち出来ない。
もう1つの命を回すと言うのは多分命の絶対数の事を言っているのだろう。
アーティファクト使いを殺して15〜16年くらい待てばどこかで生まれた新しい命は成人の儀を迎えるだろう。そこでB級やA級が出ればよし。でなければまた回す。
そう言う話だろう。
次の議題の方が問題だ。
朝、ナックのお父さんが二の村に向けて出発した。
二の村までは大人の足で半日、多分今頃二の村に着いているだろう。
そこで二の村がどうなっているか、まだ何も起きていなければ事情を話して対策を考えるように話してくる事になっているらしい。
僕は望みが薄い事を薄々感じていた。
この村は国の一番東に位置している。
そこから西に向かって、二の村、三の村、四の村が並んで城がある。
城を超えると五の村、六の村、七の村が集まって出来た都がある。みんな王都と言っている。
そして一番西に八の村がある。
この一の村に攻め込むと言うことは二の村ももうやられているかもしれない。
フードの男は1回目の時間の時に三の村と四の村の名前を出して居た。
多分この二か所は無事なんだろう。
そう言えばまだその話をして居なかった。
僕は父さんに伝える。
「三の村と四の村は健在か…何故かは聞いたのかい?」
「ううん、聞いてない。と言うかあの時は一方的に言うだけ言って去って行ったんだ」
「そうか、よし…村長にはお父さんから話しておこう。お前はナックとリーンちゃんと会うのだろう?」
「うん、少し話しておきたい事もあるし。あ、もう来るみたいだ。行ってきます」
「行ってらっしゃい。夕飯には帰ってきなさいよ」
「わかっているよ母さん。トキタマ、君はどうする?」
「僕も行きますー」
外に出るとナックとリーンが丁度きた。




