僕が求める明日。
3回目の時間。
結論で言えば今回も失敗であった。
今回も1人目を倒して少しすると村の人が槍で殺されていた。
殺された人も先ほどの人ではない別の人だった。
わからなくなったがその場で跳ぶのは間違いだと思い可能な限り倒した。今回は何人かには逃げられた。例の弓兵は真っ先に倒したので矢の雨は降らなかった。
ただ今回は火のアーティファクト使いが苦し紛れに火を放って母さんが火傷をした。
4回目の時間。
今回も失敗。
どうしても南から飛んでくる槍で誰かしらが傷つく。
もしかすると例の火のアーティファクト使いか別の兵隊が槍を何処かに隠しているのかもしれない。
奴らを真っ先に殺すのが正解かも知れないが、ナックに3人の兵隊を任せるのは心配だ。
5回目の時間。
成果はまずまずだが、成功ではない。
手詰まり感が出てきた。
敵の配置も動きも前回もその前も変わらなかったのだ、手数だ、圧倒的に手数が足りない。
「お父さん、お困りですか?」
トキタマが話しかけてきた。
「手数が足りない。何かあるか?それともまた隠し事?」
「いやだなーお父さん。僕はお父さんの迷惑になることはしないですよー」
「何か方法があるんだね?」
「人間はお父さんしか時を跳ぶ事は出来ません。でも他に跳ばせるものがあります!」
トキタマがいきなりとんでもない事を言い出した。
「なぜ今までそれを言わなかった!?知っていれば僕は!」
「僕が言わないのは今まではそれが出来なかったからです」
「今までは出来ない?」
「はい、お父さんはさっきので5回跳びました。5回跳んでお父さんは成長しました。だから僕が跳ぶ時に持っていけるものが増えました」
5回…
イノシシのシチューの時と兵隊との戦闘で5回か…もうそんなに跳んだのか。
「それで、何を跳ばせる事が出来る?」
「道具が跳ばせるようになりました!お父さんが手に持ったアーティファクトとかを持って行くと思いながら跳べば一緒に跳べます」
アーティファクトを…
それならばこの剣を持って跳べば初めに弓兵と火のアーティファクト使いを倒してから北側の兵隊に立ち向かう事も出来るかも知れない。
僕は剣を持って跳んでみる事にした。
6回目の時間。
ナックには隠れて3人の兵隊を奇襲する事を任せた。僕は周りに配置された弓兵の排除に向かう。
居た。
僕の考え通り、南には槍を持った火のアーティファクト使いが待ち控えていた。
おそらくこの槍を投げる事が開始の合図のつもりなのだろう。
槍の後に矢を放ち、皆を混乱させる。
混乱している間にフードの男が北から村に来る。みんながフードの男を見ている間に準備をし、フードの男の合図で村を襲う。そんな作戦だと思う。
今までは火のアーティファクト使いだけを優先して倒してから弓兵を倒していたが今回はナックが心配なので一度に3人を倒す事にした。
結果は散々だった。
ナックは殺され、弓兵も最後の2人に取り掛かる前に2人ともが弓のアーティファクト使いだったようで広場に矢の雨を降らせて村のみんなは傷だらけになった。
火のアーティファクト使いも苦し紛れの火による攻撃で人が傷ついた。
「トキタマ!」
「なんですかー?」
トキタマが悪びれる事なく現れた。
「さっきより酷い結果だ!どういう事だ!!」
「それは僕のせいではないです」
「それなら何故なんだ!」
「お父さんのせいです」
「え?」
「今までは丸腰のお父さんがお友達のお姉さんのアーティファクトで戦っていて、倒す順番も違いました、今回は最初から剣も持っていました。それが原因です」
何という事だ、剣の所持と倒す順番と言う今までと違う要素で結果が変わるのか?
「何で言わなかった?」
「お父さんが聞かなかったからです」
くそ、コイツは何処まで知っている!?
だが、段々とわかってきた気がする。
トキタマは僕にアーティファクトの力を使わせるように仕向けている。
その為に聞かれない限りは有益な情報を開示しないつもりなんだ…
「それなら前回までのけがをした人が毎回違っていた理由はわかるのか?」
「お父さん…人間には見る事の出来ない時の流れは、様々な事柄の積み重ねです。
跳んでからの行動、何処を歩いたのか、葉っぱを何枚踏んだのか、踏んだ土の場所、息をした回数。そう言うもので結果が多少変わります。毎回怪我する人や怪我の内容が違かったのはそう言う事が理由です」
そうなると手の出し用がない範囲になってくる。
毎回行動の全てを一緒にするなんて言うのは不可能に近い話だ。
「だから僕はお父さんに解決策が見つかってから跳ぶことをオススメしました」
トキタマがえっへんと胸を張っている。
そうか…、シチューの時はリーンが転ぶまでに片付けてしまえば僕がどう歩こうが結果は1つなのか。
そう言う事か…
「それならば僕はどうしたらいい?」
「何回も何回もお父さんが納得するまで跳べばいいと思います!」
それしかないか…
それにしてもまたこの顔だ…、トキタマがニヤリと笑った気がした。




