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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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最後の安らぎ。

森を抜けて遠回りしながら僕が連れていかれたのは村の南、お風呂場だった。

リーンが「万能の柄」で火を起こす。

「お風呂に入って身体温めて。その間に私が服を乾かすから」


そう言って「万能の柄」でもう一つ火を起こそうとしている。

僕も「火の指輪」で火起こしを手伝う。


「そっか、キョロは指輪も使いこなしているんだよね。凄いね」

「そんな事ないよ。本当なら使いこなせない方が良かったのかも知れない」


「ねえ、お湯が沸くまで旅の話を聞かせて」

「いいけど、神の使いの所でも話したし、それ以外もずっと戦ってばかりだったから面白い話なんてないかもよ?」


「それでもいいの。キョロの話を聞きたいの」

「うん。リーンがそれでいいなら…」


「あ、その前に…」

そう言うとリーンが僕に唇を重ねてきた。


「一緒に跳ぶ約束を守ってくれてありがとう」

顔を赤くしたリーンが僕にそう言った後「ん?」と言った。

なんだろう?


僕は三日後の話だが、村を出てからの話をした。


二の村の跡地付近で昼食を取ってから殺された話。

殺し返した話はちょっと柔らかく伝えた。

その後もう一度跳んでその人たちと和解をしたら、ジチさんが着いてくることになった話。


ここまで「うん、うん」と聞いていたリーンの相槌が、ジチさんの所でちょっと怖くなった気がしたけど、気のせいかな?


三の村について毒竜を倒しに行った話。

毒竜の毒から村を守るために山小屋でS級アーティファクトのムラサキさんを振るっていたフィルさんの事、フィルさんは僕が着いた時には死の一歩前で翌日には毒竜の最後の毒霧を浄化して死んでしまった事。

それを僕が跳んで解決した話。


あれ?

毒竜の時とフィルさんの時で相槌の声色が違う気がする。


「キョロ…、お風呂沸いたよ」

「ありがとう」


…気のせいかな?


リーンは僕の脱いだ服を乾かしてくれている。

下着は恥ずかしいから断ったのに「絶対に私が乾かす」と言っていた。

ありがたいけど恥ずかしい。


僕は湯船の中からリーンに話を続ける。

フィルさんのお爺さんのガミガミ爺さんと仲良くなった話。

ガミガミ爺さんから三の村に住んで欲しいって言われた話や

三の村の猟師のおじさんに気に入られた話、

四の村を目指すときに二の村に住んでいた事のあるカムカが仲間になった話もした。


四の村には恐ろしい亡霊騎士が居て、太陽が出ていない時に村に近づくと襲われる話。

でもその亡霊騎士は10歳の時にガミガミ爺さんとペック爺さんが作った鎧を着させられたマリーと言う13歳の子で、マリーに似せて作られたマリオンと言う人形だった話。

悪い村長からマリーを取り戻した話をした。


そして城に行ったら王様が人間をやめていて悪魔になっていて勝ち目がなくて今こうして戻ってきた話をした所で僕は一つの事を思い出した。


「リーン!リーンの身体は大丈夫だったの!?」

「え?何?どうしたの?」


僕は8日目、城に着いた時にフードの男が見せてきた「万能の柄」の話をした。


「ああ、あれはアーティファクトが足りなくなったってあの朝急にフードの男が言い出して村中のアーティファクトを渡すように言ってきたの。

それで、私はそれが嫌だったからナックと戦ったの。

…あの長い針の武器で兵隊を刺したら沢山血が出てびっくりして手を離したらフードの男に取られちゃったの」

リーンが照れ臭そうに笑って「私ってダメね」と言った。


「え?取られたの?命は?」

「約束だからって皆アーティファクトを取り上げられただけで無事だったよ」


僕は脱力してしまう。


「良かった…。てっきりリーンに何かあったんじゃないかと思って、それこそ跳んで戻ろうとしたのを皆に止めて貰ったんだ」

僕は湯船の縁に身体を預けて何回も「良かった」と言ってしまう。


リーンがニコニコと僕を見て「私が無事で嬉しい?」「心配してくれた?」と聞いてきたので「したよ」と答えたら嬉しそうに「ありがとう」と言ってきた。


さて、身体も温まったし服も乾いたみたいだ。

僕は風呂から上がって着替える。


リーンが「着替えるの手伝う?」と聞いてきたが何の問題もないので断る。


「さ、僕行くよ。」

「うん、行っちゃうんだね。この前みたいに三日目まで一緒に居られればいいのにな」


「早い方が王も力をつけていないから…少しでも早く行って倒したいんだ」

「そっか、私も着いていきたいな」


「危ないよ!」

「わかって居る。キョロが一緒に旅をしている人たちは強いから一緒に居られるんだもんね。弱い私はここで待っているしかないね。」


「ごめんね」

「いいの。帰ってくるの待っているから」


リーンが目を閉じて僕を見る。

僕はリーンにキスをした。


「キョロ…?」

「何?」


「やっぱり誰かとキスした?」



!!?


「さっきも思ったけどこの前と何か違う気がするんだよね」


女の勘と言うものは怖い。

僕が答えに困っていると…

「まあ、今はいいや。全部終わったらちゃんと教えてね」

「…はい」


トキタマで戻れる限界でコレをしてしまっている以上後はどうすることもできない。

いや、そもそもそんな卑怯な真似は出来ない。


「今はとにかく行ってくるよ」

「うん。気を付けてね。ちゃんと私も一緒に跳ばしてね」


「わかってるよ。リーンもこの先の事をお願いするよ」

「うん、お父さんたちや村長にナックにはちゃんと説明しておく」


「後は、今できる事をしておくけど、兵隊の襲撃には備えておいてね」

「うん。わかった。でも出来る事って?」


「見ていて」

そう言って僕は「革命の剣」を構える。

頼むぞ、12匹の鬼たち。


「【アーティファクト】!」

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