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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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最後の成人の儀。

今度は夜明けだった。

朝日がとても綺麗で、吹雪は止んでいたが雪が石畳に深く積もっていてとても歩きにくかった。


分かれ道まできた。

今度は石畳の方に進む。

ここでふと思ったのが、もう一回坂道を登ったらどうなっていたのだろう?

終点まで行かされて何も授かれないで帰る羽目になっていたのかな?

神様ならありそうだと思った。


石畳はとても歩きにくい。

何度も足を取られる。

先ほど水に落ちたせいで身体は濡れていてとても寒い。

足がかじかんできた。


どこまで歩けば祭壇があるのだろう?

まあ、今のうちに出来る事を考えておこう。


5日ぶりに会ったリーンを見て僕はとても安らいだ気持ちになった。


………違う、リーンの事じゃない!

王との戦いの事を考えなきゃ…。


僕はまだまだ続く道を進む。


この先の予定は立った。

まず、リーンに説得と言うかお願いをされるだろうから風呂に入って服を乾かす。

父さんと母さんに会うと長くなるから全てをリーンに任せて僕は早速旅立とう。

三の村でフィルさんを助ける。

カムカが何処までやれているかが肝だな。

そして四の村で皆がそろうのをマリオンを助けながら待つ。


フィルさんと言えば毒竜の角は持てたかな?

無事だと良いな。


……フィルさんを思い出した時に最後に会った時のキスを思い出した。

…嬉しいけど、どうしたらいいんだろう。

リーンにはなんて説明しよう。


…そんな不届きな事を考えていたらようやく祭壇が見えた。


もう足の感覚はなくなっていた。

僕の靴はカチカチに凍ってしまっている。


何か、散歩道と言うより全部試練だったな…

僕は光に手をかざし「アーティファクト」と唱えた。


光が収まると目の前にはリーンと神の使いが居た。

「キョロお帰り。顔色が悪いよ」

「物凄く寒いんだよね」

僕はガチガチと震えている。


「お帰りなさいキヨロス」

「はい。戻りました」


「今回はそれでしたか」

そう言われて僕は手を見るとそこには銀色の靴があった。


「綺麗な靴!」

靴を見てリーンがはしゃいでいる。


「これは?」

「それはS級アーティファクト「瞬きの靴」ですね。高速移動、瞬間移動が出来るようになります」


「瞬き…」

「キョロ?どうしたの?」


「村を襲うフードの男も「瞬きのローブ」って言うA級アーティファクトを持っていた」

「そうですね。彼の持っているものの上位版がキヨロスの靴です」


「効果は…?」


「先ほど言った瞬間移動、高速移動です。ローブとの違いは武器の使用も可能な点、後はキヨロスが一緒に居る同行者も一緒に運ぶことが出来ます」


A級とS級でこんなに能力が違うのか…

僕は単純に性能に驚いた。

これなら歩きながら考えていた予定が思い通りに進められる。


僕は早速凍った靴を脱いで新しい靴に履き替える。

靴と言うから足に合うか心配だったが、履いてみると僕の為の靴と言った感じだ。


「さあ、お別れです。リーン、ナックを呼んできてください」

「はい。ナックはあっちでしたね」


そう言うとリーンはナックの所に向かって行った。


「キヨロス。あなたの話を聞く限り、今この国には何か恐ろしい危機が迫っているものと思います。

私も他の神の使いに連絡を取り対策を講じます。

ただし、権限の範疇での事になります。

申し訳ありませんがあなた方に頼る事になるでしょう」

神の使いは申し訳なさそうにそう言った。


「はい。出来る限りはやってみます」

「頼みます。さあ、2人が戻ってきましたよ。」


2人が息を切らせながら走って帰ってきた。

「キョロ!遅いから戻ろうとしたらリーンが迎えに来てさ!

聞いてくれよ。俺のアーティファクト凄いんだぜ!

木々をバッタバッタと切り倒してさ!!」

「もう、その話は後にして、神の使い様が帰られるんだから」


「ナック、キヨロス、リーン。今日あなた達に会えてよかった。新しく成人になるあなた達に神より与えられしアーティファクトが幸せを運びますように。それではさようなら」


神の使いはそう言うと祭壇の光を使って天に帰っていった。

二度目でもいう事は同じなんだな。

決まりでもあるのかもしれない。


「さ!遅くなっちゃったから早く帰ろうぜ」

ナックが言う。


久しぶりに見るナックも元気そうだ。と言うか…勝手に久しぶりになっているだけで、ナックからすれば昨日もその前も僕に会っているんだった。


「そうだね。早く帰ってお父さんたちにアーティファクトを見せなきゃ」

リーンが僕の手を引く。



「ごめん。僕もう行かなきゃ」

「え?もう行くの?」


「うん、時間が少しでも惜しいんだ」

「おい、どこか行くのかよ?何でだよ?」

何も知らないナックが困惑する。

あー…一から説明する時間も惜しい。


「わかった」

リーンがそう言うと僕とナックを見た。


「ナック、後で全部話すから先に帰って村長やお父さんたちに遅くなるって伝えて。いい?」

リーンが思い切り言うのでナックは「わかった」としか言えなかった。


「キョロはせめてずぶ濡れをどうにかして!家には帰りたくないの?」

「うん、今帰ると長くなるから…」


「じゃあこっちに来て!ナック!後はお願いね!!」

そう言うとリーンが僕の身体を引っ張って行った。


ナックが何もわからずにポツンと取り残された。

ごめんナック。帰ってきたら説明する。

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