鬼との戦い。
前回は雪道だった。
今回は猛吹雪だ。
前が見えない。
このチョイスは何なんだ?
とりあえず前回同様に前に進む。
最初の分かれ道。
僕は気になっていたので前回と同じ土で出来た上り坂を上る事にする。
しばらく行くと、後ろから足音が聞こえてきた。
…出た。
3匹の鬼だ。
僕の今回の狙いはこの鬼だった。
剣を抜いて鬼を見る。
見ても黒い影が見えるだけで口も何も見えない。
だがそこに居るのはわかる。
前回は逃げるだけだったが今回は違う。
剣を用意しているので僕は鬼に向かう。
箱庭の中でも能力は使えるのであろうか?
試してみよう。
「【アーティファクト】!」
能力は使えた。
そして当たった感触がした。
影のような姿なので実際に当たるかどうかは怪しかったが剣は当たる。
そして1匹の鬼が吹き飛んで苦しんでいる。
続けて剣を振る。
確実に2匹目の鬼の体を捉えていたが攻撃がすり抜けた。
…?
もう一度剣を振る。
…やはり当たらない。
もしかして能力で攻撃をしないと通用しないのかもしれない。
剣を見ると小さな石がうすぼんやりと光っている。
能力は使える。
「【アーティファクト】!」
僕の剣は鬼を捉えた。
やはりアーティファクトの一撃なら当たる。
2匹目の鬼も吹き飛んで苦しんでいる。
剣に火を纏わせてみた。
上手く剣に火が行きわたらない。
箱庭だからか?
分からないことだらけだ。
そして剣は剣でおかしい。
能力を使った後なのに光が消えない。
これは連発が出来ると言う事か?
試しにもう一度剣を振る。
「【アーティファクト】!」
剣撃は無事に出た。
3匹目の鬼も吹き飛び苦しんでいる。
勝てた。
これで何かアーティファクトになったりするんだろうか?
だが、何も起きない。
これは間違いだったのか?
そう思った時「オボエタ」と聞こえてきた。
声の先には先ほどの3匹の鬼がこちらを見ていた。
3匹の鬼は「キィィィィィッ」と鳴き声を上げる。
すると後ろの道から次々に鬼が出てきた。
1、2・・・、6・・・9。
全部で9匹の鬼がやってきた。
鬼たちは「タタカオウ」と言うと全て重なり混ざり合って一つになった。
その鬼の姿かたちは影ではあったが僕だった。
鬼の僕は僕と違うのは鬼らしく額に角があった事。
後は持っている剣が僕の「兵士の剣」とは姿かたちが違った事。
それ以外は手足の長さや仕草も何も僕だった。
「【あーてぃふぁくと】」
突然、鬼の僕が兵士の剣で放つ一撃と同じ攻撃をしてきた。
僕はかわせるかと思ったが、鬼僕の剣は思いのほか速くて回避しきれずに僕の鎧に斜めの切り傷が付いた。
「よくも僕の鎧を!【アーティファクト】!」
僕も兵士の剣で攻撃をする。
だが、僕の剣は鬼僕の身体には通用しなかった。
どういう事だ?
何か条件が変わってしまったのか?
わからない。
「ドンドンイクヨ」
そう言うと鬼僕は剣を構える。
「【あーてぃふぁくと】」
今回は何とかかわすことが出来た。
その後も何回か攻撃をしてみたがどの攻撃も通用しなかった。
火の攻撃も何もかも通り抜けてしまった。
困った。
そんな時鬼僕が口を開く。
「ソウジャナイ、ソウジャナイヨ。チャント真ッ向勝負ヲシヨウヨ」
真っ向勝負?
何だそれは?
「イクヨ!」
そう言うと鬼僕は剣を構える。
「【あーてぃふぁくと】」
…さっきから必殺の一撃以外を放ってこない。
真っ向勝負?
そう言えばまだ試していない攻撃がある事に僕は気が付いた。
「やってやる!来い!」
「イクヨ…」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
僕と鬼僕の剣が真正面からぶつかり合う。
当たった!
「モットヤロウ!イクヨ!」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
今回は僕の方が一瞬遅かった。
だが何とか反応することが出来た。
「スゴイ!スゴイ!!モットダ!!」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
今回はほぼ同時に発動した。
剣と剣がぶつかり嫌な音がする。
もしかすると剣を痛めてしまうかもしれない。
僕は思わず剣に目配せをする。
「ヘェ、優シイネ。剣ノ心配ヲスルンダ」
「長い間一緒に戦ってくれた剣だからね」
僕はそう言いながらも打ち込んでくる鬼僕の剣に反応をする。
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
また嫌な音がする。
「くそっ」
「ソノ子ハ満足シテイル。君ト戦エタ事ニ」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
剣が痛みそうと心配する僕を馬鹿にするように鬼僕が連続で切り込む。
「クソッ」
「ソシテ悔シガッテイル。君ノ役ニコレ以上立テナイ事ヲ」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
二連撃を撃ち合って剣がミシっと嫌な音を立てる。
「君モ、ソノ子モ悪クナイ。悪イトスレバ戦ウ相手ダ」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「だったら何だ!」
「ソノ子はワカッテ居ル。ダカラ最後マデ振ルッテ欲シイト願ッテイル」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
くそ、ここにきて四連撃。
影僕は剣を破壊するつもりなのかもしれない。
剣からは一撃受けるたびに嫌な音がする。
「僕タチニ後ヲ任セタイト言ッテイル」
「何を!?」
「モウ後少シ…」
「【あーてぃふぁくと】」
「【アーティファクト】」
「サヨナラヲ言ウトイイ」
「さよなら!?」
僕は「兵士の剣」を見た。
剣はかなり痛んでいて、もう折れる間近だと言う事が素人の僕にもわかった。
兵隊から奪い取った後もずっと一緒に戦ってくれてありがとう。
王に一撃が届かない事で悪く言ってしまってごめん。
今までありがとう。
この訳の分からない戦いで君を失う事になってしまって申し訳ない。
さようなら!!
「【アーティファクト】」
「【あーてぃふぁくと】」
物凄い轟音の後、僕の「兵士の剣」と鬼僕の剣は両方砕けて折れた。
「ありがとう。「兵士の剣」」
「コレデ、ソノ子ハ最後マデ戦イ切ッタ。剣トシテハ最高ノ最後ダ」
鬼僕が僕を見てそう言っている。
「ソノ子ニ後ヲ任サレタ。今カラ僕タチガ君ノ剣ダ」
そう言うと鬼僕の身体が光になる。
この光、トキタマを授かった時と一緒だ。
僕は手を伸ばして「アーティファクト」と唱えた。
「コレカラヨロシク、僕タチハ喋ルタイプノあーてぃふぁくとデハナイ。箱庭ノ力ヲ借リテイルダケダカラ。ソノ子ノ分マデ頑張ルカラ。ソノ子ノ技ハ覚エタカラ使エルカラ」




