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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
113/307

そしてまた1日目へ。

90回目の時間。

[8日目朝]


「え?ここって…」

「ペック爺さんの家じゃねえか」


僕が最初に跳んだのは今朝ペック爺さんの家を発つ時。

ガミガミ爺さん、ペック爺さんとマリー、そしてジチさんに事情を話した。


「…悪魔ねぇ…、それでキヨロスくんが1日目に戻ってやり直してくると…」

「うん。その為に持てるだけ持って跳べるだけ跳ぶつもりだから寄ったよ」


「?何するつもりだい?」

ジチさんが訝しむ。


「ジチさん、一つ謝りたいんだけどいい?」

「何だい?」


「多分、僕が跳べる中に三の村のおじさんとおばさんは含めないと思うから…また最初からになっちゃうんだ…」

「なんだそんな事かい?」

ジチさんは笑い飛ばした。


「また最初から仲良くなるから大丈夫だよ。それにフィルやドフ爺さんも居るんだろ?何の問題にもならないよ。それよりお姉さんはキヨロスくんが心配だよ。何でもかんでも背負って跳ぶなんて無理しなくて良いんだよ?」


「やれるだけやりたいから」


「そう言うと思ったよ。で、ここにはそれだけの為に来たのかい?」


僕はここには、マリオンのブローチと制御球を貰いに来た事を告げる。

「マリオン、これで君とはまた会える」

「そうだね。よろしく頼むよ」


ペック爺さんから二つを受け取る。


「みんな、僕は跳ぶよ。そしてまたこの皆で会えるように頑張る」

みんなも口々に頑張ると言ってくれた。


「トキタマ!」

「はーい!」


91回目の時間。

[5日目昼過ぎ]

「ここは…」

フィルさんが僕を見る。


「皆でお昼ご飯を食べた後だよ」

「なんで?」


「ガミガミ爺さん、毒竜の角を僕に」


「お…おう」

そう言いながらガミガミ爺さんは僕に角を渡してくれる。

まだお風呂に使っていない角。

僕はそれを折った。


「小僧…何を?」

折った角の半分をフィルさんに渡す。


「僕の力でどこまで出来るかわからないけど、フィルさんに渡した角も一緒に跳べるように頑張る。跳んだら身体が辛いはずだから、もし手元にあればすぐに飲んで」

「キョロくん…」

フィルさんが泣いてしまう。


「もしダメならゴメンね。僕がこの残りを持って行くまで待っていて」

「だから、何でも背追い込まないでいいのに」

フィルさんが泣きじゃくる。


「ガミガミ爺さん、ゴメンね。後の事お願いするね」


「おう。小僧…無理すんな。誰もお前を憎んだりしねえからよ」

「ありがとう。フィルさんが泣き止んだら僕跳ぶよ」


「キョロくん…」

フィルさんが僕を呼ぶ。

「何?」と振り返った僕の前にフィルさんの顔があった。

美人は間近で見てもやはり美人だ…。

と思った時に僕の口にフィルさんの唇が当たっていた。

数秒だと思う。フィルさんの唇が僕から離れる。


「キョロくん大好きよ。私はそうやって頑張る優しいキョロくんが好き。私はキョロくんが来てくれるの待っているから」


僕はどんな顔をしていただろう。

フィルさんがまさか僕にそんな事を思うなんて…

ガミガミ爺さんの視線が怖い。


「あららー、いいのかなー。これから一の村に跳ぶのにそんな緩んだ顔をして」

ジチさんだ…ジチさんが嬉しそうに僕を見る。


「フィルはキヨロスくんとのキスで頑張るぞって感じだけど、キヨロスくんはその顔で一の村に帰るのかー、しかも<成人の儀>ってその子も居るんじゃないかしら?」


…冷たい汗が背中を流れる。

「おう、姉ちゃん。

そんなに冷やかすもんじゃねえ?

フィルだって一の村に小僧のいい子が居たって構わないって思ったからしただけで、小僧だって別に誰と仲良くなるなんて決まって居る訳でもねえ」


「そうだねぇ。それもそうだね。じゃあ、キヨロスくんがお姉さんといい仲になっても問題はないわけだ」

そう言いながらジチさんが僕の頭に腕を回して僕の顔を覗き込む。


「前にも言ったけど、お姉さんはキヨロスくんがどうしてもって3回くらい頼み込んできたらOKしちゃうかもよ」

大人の色気という奴だろうか?僕は身動きが取れなくなる。


「ちょっとジチ、やめなさいよ」

フィルさんが止めに入ってくれる。


「それよりジチさんは今までどうしていたんですか?」

僕が話を逸らす。


「んー、おじさんとおかみさんに挨拶をね。また初めましてからになるけど迎え入れてねって言ってきたんだよ」


ジチさんは悲しい気持ちを出さないように努めている様子だ。


「ジチさん、ごめ…」


「フィル!キス!!!」

「え?ええ?」

ジチさんが突然フィルさんにキスをしろと言い出した。


「キヨロスくんが変な事を言ったら、フィルにキスさせるからね!

あ、それともー、お姉さんの方が嬉しいかな?」

ジチさんがニヤリと笑う。

…このままここに居たら良からぬことが起きそうだ。


ガミガミ爺さんにもう一度声をかける。

「じゃあ、また」

「おう、また昨日な」


「変な言い方ですね」

「だな、普通じゃないな」

そう言って僕たちは笑う。

年の差なんて関係ない。

僕にはこんなにも沢山の仲間や友達が出来た。

それを失わない為にも僕は跳ぶ。


「フィルさん、ジチさん。僕跳ぶよ」

そう言うとじゃれ合っている2人はこちらを向く。


「待ってるね」とほほ笑むフィルさんと「追いかけるね」と笑うジチさん。


「トキタマ!」

「はーい!!」

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