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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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龍の顎。

その日の夕飯はマリーもマリオンも喜んで食べてくれた。

マリオンは多少なら食べ物も食べられるようになっているらしい。

僕にはわからない話だし、あまり興味はない。

マリオンはマリオンだ。


子供たちの前でするのは少し気になったが、明日以降の話をした。

ジチさんはやはり三の村を安住の地にしたいらしい。ただ、擬似アーティファクトの事があるので四の村にはこれからも顔を出すと言う。


「お姉さんはここでフィルとドフ爺さんを待って、一緒に三の村に帰ってから10人を迎えに行くよ」

と言うので明日はペック爺さんの家にいるらしい。


ガミガミ爺さんは付いて来たそうにしていたが、戦力としては無理があるのでジチさんと一緒にここで待つことになった。

ちなみに待つことはペック爺さんも了解している。


カムカとフィルさんと3人で城に行く話に纏まった時、「私も行く」とマリオンが言い出した。

「戦いになるなら私が居た方がいいでしょ?もう兜の機能は取ってあるから私一人で鎧の力も引き出せるし、それにお城なら「大地の核」の力も届くよね?」

ペック爺さんは「確かにそうだが」と言いながら反対をする。


「もしや、僕の発言を気にして?」

ペック爺さんが「あれは気が動転していただけで本心じゃない」とマリオンに謝るが、マリオンは「そういう事じゃなくて、私は恩人の役に立ちたいんだよ」と言って僕たちの横に立つ。


しばらくの問答の後、諦めたペック爺さんが「孫をよろしく頼みます」と僕達に言ってきた。



その後は明日の準備としてガミガミ爺さんが夜通しで再度僕たちの装備をメンテナンスして、溜まった雷の力をマリオンに渡していた。



[8日目]

「じゃあ、行ってきます」

「お爺ちゃん、行ってくるね」

僕は城に向かって進み始める。

フィルさんもガミガミ爺さんに別れを告げる。


「小僧、小童、フィルとマリオンを頼んだぜ!」

ガミガミ爺さんに手を振る。


「これ、持って行って。お姉さんのお手製お弁当」

ジチさんが追いかけてきて僕にお弁当を渡してくる。


「ちゃんと帰っておいでよ」

「はい」


そう言って僕は村を出る。

マリオンもマリーやペック爺さん達と何かを話していたようだ。

マリオンに聞くと「お爺ちゃんをよろしくねって話をしていただけよ」と素っ気なく答えられた。


今日、いよいよ城に着く。

そして全てを終わらせて一の村に帰るんだ。


僕達は足取り軽く城に向かう。


「なあ、城って夜でもいいのか?」

カムカが聞いてくる。

そう言えばどうなんだろう?四の村から城までは約一日かかる。城に着く頃には辺りは夜になる。


「ダメなら王都で宿を探して一晩経ってからだけど…」

「とりあえず城に行ってみてからじゃないかな?」


「そうするか」

カムカは豪快に笑いながら歩く。


途中、ジチさんのお弁当を食べる。

ちゃんとマリオンの分は小ぶりのお弁当になっている。

この気遣いにマリオンが大喜びをしてほのぼのとしてしまう。

これから戦いにいくのだけど、こんなのでいいのかな?と思ってしまう。



辺りが暗くなったころ、ようやく城に着く。

門番が居たので「一の村から来た」と告げると1人の兵隊が奥へ入っていき、フードの男が現れた。


「遅かったな」

「10日のうちまだ半分ですが?」


「いや、遅かった」

フードの男が自嘲まじりにそう言う。


「どういう事ですか?」

「私の読みが外れていただけだ。もう少しもつものと思っていただけだ」


そう言うとフードの男はポケットから赤いモノを出してきた。

それは見間違えるはずがない「万能の柄」だった。


「それは「万能の柄」!どうしてお前が!!」

僕はフードの男に殺気を向ける。


「王が、アーティファクトを欲していて、それが今朝足りなくなった。それで貰ってきたんだ」


よく見ると「万能の柄」には赤いシミが付いている。

これはリーンの血ではないのか?


「よくもリーンを!!」

僕は剣を抜く。

今にも斬りかかろうとしたが、カムカとマリオンに止められる。

「待てって、話を聞こうぜ。駄目だったらその時跳べばいいんだから!」


「仲間が居て良かったな」

フードの男がそう言うと城の中に入っていく。


「着いてこい。王がお待ちだ」


僕達はフードの男の後を着いていく。

普通なら謁見の間とかそう言う所に通されると思ったのだが、庭のように天井の無い広場のような場所に出た。


広場には無数の死体があった。

装備から兵隊だと言う事がすぐにわかる。


「アーティファクトが足りなくてな。王に捧げた」

フードの男が驚くこともないと行った顔でそう言うと、広場の真ん中で空を眺める男に声をかける。


「王よ、ようやくS級のアーティファクトが来ました」

「S級…力か?」


「はい」

「あの女の言っていた力だな。これで我は国を守れるのだな?」


「はい、王がいらっしゃれば国は安泰でございます」

「ならば寄越せ!その力を我に寄越せ!!」


王の目は赤く光り、声も震えていて人間のモノとはとても思えない。


「王、客を招くのに周りが少々散らかっております」

フードの男がそう言うと、王は「お前が居ないと我もまだまだだな」と言いながら笑い「【アーティファクト】」と続ける。

王の右腕が巨大な口になり兵隊の死体を飲み込んでしまった。


「S級アーティファクト「龍の顎」。その能力は飲み込んだモノを全て取り込む」

フードの男が解説をする。


「やはり、あの王は人間ではなくなっている」

ムラサキさんだ。

ムラサキさんの見立て通り、国王は人間を辞めてしまっているらしい。


「恐らくはあのアーティファクトを授かった事で複数のアーティファクトを取り込んでしまい人間を辞めたのでしょう。しかし妙です。あのアーティファクトは外法、そう容易く人の世に顕現するものではありません」

そう説明をするムラサキさんを見て


「あれも力だ!」

「はい、あれもS級にございます!!」

王が歓喜している。


ひとしきり喜んだ王が「寄越せぇぇぇ!!」と叫びながら僕とフィルさんに向かって走ってきた。

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