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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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君が望む限り僕は跳ぶ。

81回目の時間。

「あれ?…アンタ?」

マリオンは驚きながら僕を見た。

そう、僕は跳んだ。

今回に至ってはリーンもフィルさんも連れてこなかった。

マリオンと僕だけで跳んだ。


「そう言うことか、ありがとう」

マリオンはそう言うと改めて村長を見据える。


「ひぃっ!!?やめてくれ!助けてくれ!」

村長の命乞い。


「お前が私の家族を滅茶苦茶にした」

「村の為にやったんだ…頼む…見逃してくれ」


「うるさい」

「……ゆ……ゆ…許してください…」

村長が涙を流して懇願してくる。


「【アーティファクト】」

マリオンは容赦なくアーティファクト砲を放つ。


「ぎぃぃやぁぁぁぁっ」

光の玉が村長に当たる。



「トキタマ」

「はい!」



82回目の時間。

「あれ?…また…」

マリオンがこちらを見る。


「なんだこれは?なんでまた!?」

村長が驚き怯える。


「アンタ…まさか…」


僕は多分悪い笑顔をしているのだろう。

マリオンに目配せをした。


「ありがとう」


「い…嫌だ、助けてくれ!」


僕は、今回はマリオンと村長を連れて跳んだ。

どうにも心が晴れない。

ペック爺さんの態度、マリオンの悲しげな顔、元凶の村長。

僕は晴れない心、怒りの全てを村長にぶつけることにした。


「夢か?これはなんだ?なんでまた」

村長は自分の身に起きたことに理解が追いついていない。


「【アーティファクト】」

そんな村長にマリオンはアーティファクト砲を放つ。


「いやだぁぁっ」


「トキタマ」

「はーい」



83回目の時間。

マリオンは何も言わずに僕を見る。

僕は目で「気が済むまでやろう」と言った。

それがマリオンに伝わったかはわからない。


「ま…また!?もう許してくれ!!」

もう何回も聞いている村長の鳴き声。


「また?キョロくん!跳んだの!?」

フィルさんが気づいて僕を見る。

僕はフィルさんの目を無視する。


「カムカ!マリオンちゃんを止めて!」

「キョロくん!やめて!!」


「も…もう嫌だ、助けてくれ!」

村長はこの世の終わりのような顔をしている。

多分なんとなくわかっているのだろう。この瞬間がまだまだ続くことを。


「やめろー!!」

「【アーティファクト】」

カムカがマリオンに跳びかかろうとしたがそれよりも早くマリオンは

村長にアーティファクト砲を放つ。


「助けてくれぇぇぇぇっ」


「トキタマ」

「はーい」

僕は言葉にも出さずにトキタマを使う。



84回目の時間。

85回目の時間。

86回目の時間。

この3回も異変に気づいたフィルさんが妨害を試みてきたが、マリオンはアーティファクト砲を放ち僕はマリオンと村長と跳んだ。

前にムラサキさんが言っていた事が本当なら短距離で少人数なら僕の魂はそんなに擦り減らないだろう。

それにしても僕は後何回跳べば気が晴れるのだろう?



87回目の時間。

「も…もうやめてください。お願いしますぅぅぅ」

村長の哀願から始まる。


「もう?」

今回もフィルさんが反応する。


「殺すならぁ…一思いにぃ…殺してぇ…くださいぃ。何回もぉ…殺されるのは嫌ですぅぅ」

村長が涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらそう言ってきた。


「何回も?キョロくん!!?跳んでいるの!?私の知らないところで跳んでいるの?」

「そうだよ、フィルさん」

何回も邪魔をされても僕は跳んだ。

その余裕からフィルさんに説明をする。


「1年半もマリーは鎧の中で生かされて手足の骨が折れた。マリオンは今日までマリーの代わりとして生かされて、マリーが帰ってきたらペック爺さんからは道具扱い。可哀想じゃないか。マリオンもたった一回で苦しみが晴れるとは僕は思っていない。だから跳んだんだ」


「それは命を削ってまで跳ぶ時じゃないでしょ?」

「やだなー、お姉さん。跳んでもお父さんは命を削ったりなんてしませんよー。ちょっと疲れちゃうだけですよー」

トキタマが割り込む。


「僕は今が僕の力の使いどころだと思っているよ」

「そんな」

フィルさんが泣きそうな顔で僕を見る。


「カムカも僕が良ければそれもいいって思っているだろ?」

「…」


カムカは返事に困っている。


「後で後悔する日がくるかもしれない」

フィルさんが泣きながら僕にそう言った。


「ごめんねフィルさん、僕は今後悔したくないんだ。マリオンの無念を晴らしてあげたい」


マリオンは僕たちの話を聞きながら発射を待っている。


「マリオン!気が済むまで跳ぼう!僕は付き合う!」

僕がそう言うとマリオンは腕をおろした。


「マリオン?」

「ありがとう。アンタは本当に優しいね。その優しさが私を救ってくれる」


そう言って村長に背を向ける。


「ふぇ…」

村長は泣きじゃくった顔でマリオンを見る。


「もう気が済んだ。後は生き恥さらして生きればいいさ」

そう言ってマリオンは僕たちの元に来て「帰ろう」と言った。

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