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詩のようなものたち

路地裏のベイダー卿

作者: 暮 勇

 路地裏には

 ベイダー卿が居る

 黒いマントを靡かせて、両手を広げた

 威風堂々たる姿

 しかしダンボールの上に置かれた彼は

 酷く佗しい佇まいだった


 日照りの日

 彼は右腕を失った

 野良猫にでも悪戯されたのか

 ねじ切られた右腕は

 映画の中の

 彼の息子を思い出させた


 ひどく雨が降った日

 彼の頭は

 流された

 頭部を失い

 只の棒の頭になったその姿に

 もはや威厳は何処にもなかった


 強い風が吹いた日

 彼はとうとう

 壇上から転げ落ちた

 踏まれ、粉々になるのはいつのことか

 とうとう、只の塵となってしまった


 日々の通勤の中

 毎日彼を見ていた

 それでも

 道路に突っ伏す彼を

 私は拾わなかった

 家の外の

 ダンボールの上に捨てられた

 ベイダー卿

 ごみ収集車に放り込まれて

 この道からいなくなるのも

 そう遠い先の事ではない

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