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九十八





 「久しぶりですね」

 柔らかな声の女性は頭を下げる。

 「聖女? 様?」

 リアは女性のことをそう呼んだ。

 「神聖グラシア国にいるはずでは!? どうやってここに来たのです!?」


 すると、聖女様の後ろから一人の男が進み出た。ヴィンランド国の魔法使団長であるレナードだった。

 「私の魔法で連れてきました」

 「師匠!?」


 「それより、あの方を治療しなければ」

 聖女様は、シングに近寄っていき、傍らに座る。

 するとミレイは。「お願いだから······助けて······」と懇願する。


 聖女ソフィーは早速、両手をかざす。

 シングの体が輝きに包まれていく。

 ミレイは、目をつむり祈っていた。


 シングに変化が現れる。深い切り傷がみるみる治っていく。




 完全に傷が無くなった時。


 「治ったの······? じゃあ······!」

 ミレイは涙を溜めたまま、表情を明るくした。

 だが、まだ、聖女ソフィーは治療を止めていなかった。それに、シングは目を覚まさない。


 「なんで、目を覚まさないのよ······ねぇ······」

 ミレイは、地面に両手をついてシングの顔を見る。

 「お願いだから······目を覚ましてよ······!」

 ミレイの瞳から、涙の粒がシングの顔へ落ちた。


 その時······。


 「うっ······」

 シングは目を開けたのだった。

 「ミレイ······? 良かった、戻ったんだね」

 「何が『良かった』よ······! あんたが、遠くへ行っちゃうんじゃないかって、思ったんだから!」

 「心配かけてごめん」

 シングは謝りつつ、彼女の瞳に溜まった涙を指で拭ってあげる。


 それから。


 「じゃあ、戻るわよ」

 ミレイはいつもの調子に戻っていた。

 「ミレイ、その前に」

 「何よ、シング?」

 「今の内に、神聖具で厄災の呪いを解いておこう。又、ミノタウロスになられても困るしさ」

 「そうね、頼むわ。リア」


 リアは、ミレイに近付くかと思ったが、何故かシングの元へ寄る。

 「シングさん、この役目は任せたのです」


 シングは、リアから救済の杯を受け取る。ミレイへ近寄ると、片膝をついた。


 神聖具・救済の杯を掲げ、一言。

 「救済の杯よ」


 次の瞬間、神聖具から眩い光が発せられ、彼女の身体を包む。

 すると、牛の両角と尻尾が無くなっていった。


 ミレイは不思議な表情をしながら。

 「戻ったの······?」

 「うん、元に戻ってるよ」

 彼の言葉を聞き、ミレイは自身の頭と臀部を触って確かめた。

 次にミレイは、笑顔を見せる。

 「やったわ、戻ったのね」



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