表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志野ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
8/102





 「それにしても角が生えるなんて······ありえないわ······」

 ミレイは少し、落ち着きを取り戻したようだった。が次は、気分が落ちていた。

 「なんで角が生えているのよ······」

 ミレイのぼやきに、シングは言葉を発する。

 「もしかしてだと思うんだけどさ。ミレイが気を失う直前、体内に赤黒い靄が入るのを見たんだ。それが関係あると思うよ」


 「そういえば、そうよ······! こんな事なら、あんたを庇うんじゃなかったわ」

 そう言うとミレイは、何か違和感に気付く。

 シングはその様子に気付いて、「どうしたのさ? ミレイ?」と問う。

 「何でもないわよ! それより、あっち向いてて!」 

 ミレイは、慌てた様子でそう返すと、人差し指をびっと向けた。


 シングは疑問のある表情をするが、「分かったよ」と従って反対に向き直る。

 すると、布地が突き破られる音が、微かに響いた。

 次に、布地が擦れる音がしてくる。

 突然、ミレイの声が響く。

 「なっ、何よ!? これ!?」


 「どうしたんだ!?」

 シングは、心配になって振り向こうとする。

 「こっち向かないでよ!」

 ミレイは、盾を投げ付けた。

 「うわっ! 分かったよ」

 再び、布地が擦れる音がしてきた。




 暫くして、その音は止んだ。

 「もう良いわよ」

 ミレイの許可がでると、シングは体の向きを変える。

 「ミレイ······? そ、その尻尾は······」

 シングは、ミレイを見るとすぐに気付いた。彼女のスカートの下から、短めな牛みたいな尻尾が伸びているのを。

 どうやら、先程の布擦れの音は、スカートの下の衣服から尻尾を出していたかららしい。


 「······言わなくても、分かってるわよ。二本の角に、牛のような尻尾······。これじゃ、まるで牛の亜人じゃない······」ミレイは、足の力が抜けて地面に座り込む。

 「ミレイ、落ち着いて。元に戻る方法があるはずだよ」

 シングは励ますが、その言葉は届いてないようだ。


 「取り込み中、悪いな」

 がたいの良い男が、ミレイとシングに話し掛ける。

 「こちらの副指揮官殿が、嬢ちゃんと坊主に用があるらしい」

 「悪いのですが、ミレイはこの状態です。都市に着いてからでは駄目ですか?」シングは、がたいの良い男の隣にいる副指揮官に、そう言った。


 「そちらのお嬢さんにとって、良い話なんですが。都市に着いてからでも構わないですよ」

 副指揮官のその言葉に、シングは反応する。「······良い話······ですか?」

 「ええ、お嬢さんのその状態を治せる方法について······です」


 副指揮官の言葉に、今度はミレイが反応する。彼女は、手を突いてゆっくりと立ち上がっていった。

 体を起こしきった時、声を発する。

 「······良いわ。話しなさい!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ