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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志野ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
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 「坊主、やったな!」

 がたいの良い男が、近付いてきてシングの背中を叩く。

 ミレイも近くまで来ると、「あんたにしては、良くやったわ」と声を掛ける。

 「ミレイや皆のおかげだよ」

 シングは二人に向き直り、そう返す。


 その時、背後のミノタウロスの屍から、赤黒い(もや)が出てきた。かと思うと、瞬時にシングへ向かっていく。


 「危ない!」

 咄嗟にミレイは、赤黒い靄に気付いて、叫ぶと同時にシングを突き飛ばした。

 「うわっ!」

 シングは地面に尻餅を突く。

 「何を······!」そう言い掛けるとシングは、ミレイの体内に赤黒い靄が入っていくのを見た。


 「良かったわ······無事······ね」

 ミレイは、ゆっくりと後ろへ倒れていった。がたいの良い男がミレイを支える。

 「おい、嬢ちゃん! 大丈夫か!?」

 「ミレイ!」







 声が聴こえる。耳を澄まさないと、聴こえない程の声だ。

 声を頼りに、暗闇を進んでいく。

 すると、ふと、巨大な何かがうっすら見える。

 次第に闇に目が慣れて、その何かが明らかになった。

 巨大な牛頭の怪物だった。

 牛頭の怪物は、重く響く声で言う。

 「お前は······いずれ、我になるだろう」

 「どうゆうことよ!?」

 「その時、お前は我、我はお前になる」

 「ちょっと、無視しないでよ!」

 「この意味が······解る時が来る」


 牛頭の怪物は、最後にそう告げると、赤黒い靄に変わっていった。

 次の瞬間、ミレイの足にまとわりつく。赤黒い靄は次第に、腰、胴体、首を覆っていく。

 「いっ、いや!」

 やがて、顔まで覆うという所で、声が響いた。

 「ミ······レ······イ······」







 「······ミレイ!」

 ミレイは、目を開ける。

 目の前には、彼女の顔を覗いているシングがいた。かなり心配そうに見ている。

 「大丈夫? 大分、うなされていたようだから······。それに······」

 シングは、何かを言いづらそうにしていた。

 「ただ、いやな夢を見てただけよ。それに······? 何よ?」


 ミレイに問われたシングだが、それでも言いづらそうに、口をつぐんでいる

 暫く、無言が続き、ミレイは訝しがる。「何よ? 言いなさいよ」

 再度、ミレイに問われたシングは意を決する。

 「······今から、言うことに驚かないでほしい。ミレイの頭にある、それ(・・)なんだけど······さ」

 シングは、ミレイの頭部を指差す。


 「頭······? 何があるっていうのよ?」ミレイは、そこで気付く。

 髪だけではなく、何かの感覚があることを。

 ミレイは、自分の頭部をぺたぺたと触っていった。ふと、両手に当たる感触がある。

 「な、何なの!? これ!?」

 「ミレイ、どうやら······角が生えてるみたいなんだ」

 シングがそう告げると、ミレイは茫然とする。

 「う······嘘······でしょ?」

 みるみる、表情は色を失い、やがて愕然とする。


 「そんな······こんなのって······」

 次の瞬間、ミレイから叫び声が上がった。


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