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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
救済の杯と先導の騎士
56/102

五十五





 ノワールのその呟きに、反応する者がいた。

 「······どうしたのですか? ノワールさん······?」

 リアは、目元を手の甲で拭いながら問う。

 「対象が動いた······」

 「大変です! ミライさん達、起きてなのです!」

 リアの声で、まずミレイが起きて、次々に他の三人も目を覚ましていく。


 「何よ······? 何があった訳?」

 「ミライさん、盗人が動き出したみたいなのです!」

 四人は、寝惚けた表情を真剣なものに変える。

 「ようやくって訳ね」

 ミレイは壁まで歩いていくと、立て掛けていた断罪の大斧を肩に担いだ。

 「オレ達の出番が来た訳か······」

 ヴェルストがそう呟いた所で、ノワールは立ち上がる。

 「早速だが、宿を出るぞ」




 一同は、西の方角に歩いている盗人を尾行していた。

 「あれが盗人な訳?」

 ミレイは、頭部をフードで隠した盗人を見て問う。

 「ああ、そうだ······ずっと奴の動向を使い魔で探っていたが、まるで待っている様だった······」

 「待っているって······誰かを、なのですか?」リアが会話に入り込んだ。

 「そうだ。それしか考えられんからな」

 ノワールが答えた所で、アイリスは発言する。


 「それにこの道、国境を越える門へ続いていませんか? しかも、帝国への······」

 「その様だな······だが、まだ拘束するのは早いな」




 次第に、西の門が見えてきて近付いてくる。

 盗人は、一足早くに門で警備兵のチェックを受けると、程無くして門を越えていく。

 ノワールやミレイ達も遅れて、警備兵のチェックを受けた。

 その際。


 「あれ? 君は何処かで見たことあるんだが······?」

 警備兵の一人の若い男が、シングに質問する。

 「気のせい······だと思いますよ······」

 そう答えるシングの表情は暗かった。

 何故なら、シングは元王子で、ランカスター国の亡き王都を守れなかった。

 そのため、その事を思いだし、負い目を感じているのだろう。


 「そうか、気のせいかな? ······はい、通って大丈夫ですよ」

 ランカスターの警備兵の許可が下りると、一同は盗人をつけるため、歩きだした。




 ミレイ達は長い橋を渡っていき、それを越えると、やがて左右に森林がある道に入っていった。

 その時盗人の目前に、マントのフードを目深に被った、すらりとした人の姿が見える。

 その者の近くには、白い馬もいた。

 盗人は、皮の袋から何かを取り出す仕草をする。が、何も持っていない。


 いや、徐々に、手に持つ何かが見え出してきた。

 「あれは······!?」「もしや······!」

 ミレイとノワールは、思わず声を上げる。

 盗人の手に表れつつあるのが、金色の何かだったからだ。

 程無くして、それは完全に表れた。

 「あれが神聖具なのですか······?」

 リアの問いに、ノワールは答える。


 「ああ、あれが救済の杯だ······どうやら、隠蔽の魔法やらを使っていたみたいだな。だが······!」

 ノワールは一呼吸置いて、再び声を上げる。

 「取り返す!」

 その瞬間、ノワールの姿が消えた。

 地面に小さな土煙を起こして。



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