四十七
キマイラは追いかけつつ、口を開いて吸収していた槍や剣を吐き飛ばした。
ヴェルストは横にかわすと、キマイラの周りを円を描くように駆ける。
「ほら、どうした!? 化物が!」
キマイラは続けて、口から剣や槍を吐き放っていく。
ヴェルストは、円を描くように走りつつ、かわす。
更に武器が飛んでくる。彼は同様に回避していく。
「そんなんじゃ、当たらねぇぞ!」
「待たせたわね!」
響いた声は、ミレイだった。彼女は、体を捻って中段後ろに、断罪の大斧を構えている。
その大斧は激しい光を放っていた。
「いくわよ!」
ミレイは、断罪の大斧を横薙ぎに振るっていく。次の瞬間、巨大な光の斬撃が放たれた。
巨大な光の斬撃は、勢い良く向かっていき、キマイラの後ろ脚の片方を捉えると、切断する。
キマイラは、バランスを崩し倒れていく。
「今よ!」
ミレイがそう言うより早く、アイリスは、握りしめていた神罰の十字架を掲げた。
気付けば、上空には巨大な円状の光が漂っている。その漂っていた光が、真下にいるキマイラへ降り注いでいく。
すると、光の攻撃による痛みと苦しみで、吼える。
次第に、キマイラの全身は赤みを増していき、やがて真っ黒くなったのだった。
降り注いでいた光が止み、いつの間にかキマイラの吼え声も聞こえなくなっている。
そのキマイラも、暫くしても動く様子はない。
ようやく、倒したのだと分かると、王国兵や魔法使団、神道兵から歓声が上がった。
「シェイン······貴方の想いは無駄になりませんでした······」
アイリスは、目をそっと閉じ呟く。
遠くにいるシングは、沈んだ表情を見せていた。
「ミレイは、強くなってる······守らなくても充分な位······。いや、僕の力が······弱いんじゃないんだろうか? 僕じゃ······もう······」
ミレイは、ふぅと一息吐く。その時、又あの声が響いてきた。
······我になる時は近い······いずれ······いずれ······。
「又······!」
ミレイは、頭を押さえる。視界が揺らぎ、その瞬間、体のバランスを失うかのように横へ倒れた。
ミレイが倒れたのを、いち早く気付いたリアは駆け寄る。
「ミレイさん、大丈夫なのですか!? ミレイさん!?」




