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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
神聖グラシア国編
42/102

四十一





 決闘がミレイの勝ちに終わってから、二人は治療を受けていた。

 ふと、横になっていたアイリスが、そっと目蓋を開ける。

 「······そういえば、私は······」

 彼女は、上体を起こす。

 「負けてしまったのですね······」


 「まだ、無理はしない方がいいわよ。この後、嫌でもディザスターと戦って貰うんだから」

 ミレイは、アイリスを一瞥してからそう口にした。

 「そうさせて頂きます」

 アイリスは、もう一度横になる。

 「まさか、貴方に負けてしまうなんて······私一応、接近戦の訓練も受けていたんですが」

 「そう······ただ単に、あたしの運が良かっただけよ。あんた、充分強かったわ」

 「慰めはいりません。貴方、いえ、ミレイが強かっただけの事です」


 「何よ······褒めたって何も出ないわよ······」ミレイは、赤く染まった頬を指でかく。

 「事実を言っただけの事です」

 「それはそうと、約束は守って貰うわよ! あたしが勝ったんだし、シェインの意思を尊重して貰うんだから」

 ミレイの言葉に、聖女ソフィーが答える。

 「それは······勿論守りますよ。まさか、不利な状況でミレイが勝つなんて······」


 「ありがとう、ミレイの姉ちゃん······ボク、良いんだね······神聖具を創っても······?」

 シェインは、瞳を涙で潤わせていた。

 「良いに決まってるじゃない。何のために、あたしが闘ったのよ?」

 「うん······ホントにありがとう······」

 シェインが嬉しそうに涙ぐんでいると、姉のソフィーが声を掛ける。

 「······シェイン······私は······」

 シェインは、涙を腕の袖で拭く。

 「ソフィー姉ちゃん、ボク······ホントに、救世主のように神聖具を創るのが夢だったんだ」

 「そうよね······昔から言ってたものね」


 「うん、ようやく叶うんだよ」

 シェインは嬉しそうにそう言った後、急に真剣な表情になる。

 「ソフィー姉ちゃん、先に言っておくね。今までありがとう······」

 姉のソフィーは、シェインに近付くとぎゅっと抱き締めた。

 「シェイン、そんな別れみたいな事、言わないで······私の聖女の力で、あなたは死なせませんよ」




 「これで良いの?」

 「うん、ミレイの姉ちゃん。神聖具を創るには、元となる道具や武器が必要なんだよ」

 シェインは座りながら、地べたに置かれたヴェルストの魔法を発動する媒体の指輪や、ミレイの両刃の大斧を見ている。

 「リアのは、必要ないのですか?」

 「残念だけど、リアの姉ちゃんは、補助や支援の魔法だから大丈夫だよ」

 「そうなのですか······」

 リアは何処か、残念そうな表情だ。


 「それじゃ、始めるよ」

 シェインはまず、ヴェルストの魔法媒体の指輪を手に取る。

 すると、(まばゆ)く指輪が輝きだした。

 


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