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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志野 ゆもも
神聖グラシア国編
39/102

三十八





 神道兵三人がシェインに近付いていく。

 「シェイン様、申し訳ありません! 命令ですので!」

 神道兵三人はシェインを捕まえると、連れていこうと歩きだした。

 聖女ソフィーもそれに伴って、(きびす)を返し、歩みだす。


 「ちょっと待ちなさいよ!」

 聖女ソフィーと神道兵達を呼び止める声は、意外にもミレイだった。

 「ミレイ、何か用ですか?」

 聖女ソフィーは、振り向き問う。

 「大有りよ! 無理矢理連れてくなんて、どうかと思うわ。それに、シェインの覚悟は聞いたでしょ?」

 「止めるなら只じゃ済まないですよ。ミレイといえども······」

 聖女ソフィーは、冷えきった視線でミレイを睨む。


 すると、アイリスが会話に割り込んだ。

 「ちょっと、お待ち下さい。ミレイさんは、シェイン様が神聖具を創るのに反対だったはずでは······?」

 「気が変わったわ。シェインの覚悟を聞いたらね」

 ミレイは、アイリスにそう答えると、次は聖女ソフィーを指差し、言葉を発する。

 「言っとくけど、聖女様が相手だろうと譲る気は無いわ」


 ふと、「くくくっ」と笑い声が聞こえる。ヴェルストだ。

 「なら、一対一の決闘で決めたらいいじゃねぇか」

 その言葉に、誰もが驚きの表情を見せる。

 「そんなの駄目に決まってます! 決闘だなんて!」

 アイリスは声を荒げた。

 「良いですよ。決闘で決めましょう」

 聖女ソフィーは、落ち着いた声でそう言い、頑な表情をしている。

 「ただし、条件があります」

 「条件? 良いわよ」

 「私は治癒する術しか使えないので、代理の人に闘ってもらいます。それともう一つ、ミレイはその大斧ではなく、こちらで用意した武器を使って下さい。あくまで、決闘なのですから」

 「それで良いわ」


 「聖女様とミライさん、何か忘れてないのですか? キマイラはその間どうするのです? 放置はまずいのですよ······」

 リアは、焦った表情をして問う。

 「それなら、問題無いですよ」

 聖女ソフィーは、落ち着いた様子でそう返した。次に、シングを見据える。

 「シング、お願い出来ますか?」

 シングは、はっと気付く。

 「僕ですか?」

 「はい、神道兵と神官達も行かせますので」

 「······分かりました。でも、アイリスさんは?」


 聖女ソフィーは、シングの言葉にアイリスを一瞥する。

 「アイリスには、私の決闘の代理をしてもらうので······。その間、酷かと思いますが、ディザスターの足止めお願いしますね」

 「はい」




 少し時が経ち、シングと一部の神道兵、神官達は、キマイラの元へ向かって行った。

 ミレイとアイリスは、開けた場所で距離を取って向かい合っている。

 二人の周囲には聖女ソフィーと神道兵に捕まったままの弟のシェイン、王国指揮官がいた。

 野次馬の、神道兵や神官達も集まっているが。


 ミレイの手には、木の剣が握られていた。恐らく、聖女ソフィーが用意させた代わりの武器だろう。

 対してアイリスは、いつも通りの術を使うための金属製の杖。

 しかも、神聖具、神罰の十字架は身に付けていない。


 ミレイは、余裕な表情で相手を見据えている。

 アイリスはというと、落ち着いた様子で佇んでいた。


 程無くして、聖女ソフィーの声が響き渡る。

 「始める前に確認したい事があります。アイリスが勝ったら、シェインは連れ帰りますが良いですね?」

 「良いわ。只、あたしが勝ったらシェインの意思を尊重して貰うわよ」


 「それで問題無いですよ。それでは、そろそろ······」

 聖女ソフィーは、そう間をためると、続きの言葉を発する。

 「始めて下さい!」



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