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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
神聖グラシア国編
33/102

三十二





 その場に居たのは、二十代前半に見える女性だった。

 髪色は白に近い薄い金。

 前髪は右に八の割合で流しており、後ろ髪は背中の半分程まであり、毛先はカールしている。


 瞳は琥珀色で、まつ毛が長い。

 一言で表すと、目鼻立ちの整った美人だ。


 装いは、白を基調としていて、頭には、宝石の飾りが付いた帽子を被っている。

 着用しているものは、豊満な胸元を強調したデザインだ。

 上腕と前腕、手は薄い布地の手袋で覆われており、肩は露出している。


 長いスカート部分は、右腰辺りからスリットが入っていた。

 スリット部分から覗くすらりとした足には、黒のタイツと白のロングブーツを身に付けている。


 「わぁ、凄い美人さんなのです~」

 リアは、その女性の美しさに素直な感想をもらす。

 「で、あんたが司教?」

 ミレイは問う。

 「はい、私が司教のアイリス・フィーストといいます。よろしくお願いします」美しい女性、アイリスは肯定し、そう名乗った。


 「そう、ずいぶん若いみたいだけど」

 ミレイがそう言うと、アイリスは笑顔で言葉を返す。

 「あら、貴方の方が若いと思うのですが······色んな所が」

 アイリスは、ミレイの胸へ、視線をちらっと送った。

 「なっ! あんた今、胸見て言ったわよね!」

 ミレイは、恥ずかしさと怒りのあまり、顔を赤らめた。


 「あら、胸の事なんて言ってませんが? もしかして、胸が小さい(・・・・・)の気にしていらっしゃるんですか?」

 アイリスはあえて、挑発するように言う。

 「あんた、喧嘩売ってるならやってやるわよ!」

 ミレイは、アイリスに向かって進み出ていく。

 「ミレイ落ち着いて!」

 次にするである行動を察して、シングが腕を掴んで阻止した。

 「そうなのです! シングさんの言う通りですよ!」

 リアも、片方の腕を掴んで止める。


 だがミレイは、掴まれても二人を引きずって歩き出した。

 「ヴェルスト、見てないで手伝ってなのです~!」

 リアは、ヴェルストに助けを求めるが、彼は即座に断る。

 「止めて、オレに得があんのか? めんどくせぇ······」

 「そんな、このままだと······! ミライさんは、アイリスさんを!」

 ミレイは、その間も進んでいた。

 近くまで距離が縮まった時、シングとリアは諦めかける。

 「もうダメなのです~!」


 「ずいぶん、盛り上がってみたいだね」突如、声が響く。

 そこには一人の神道兵がいた。

 ミレイは、その声と姿に驚いた。神道兵の格好をしているが、ミレイの知っている者だからだ。

 「あんた、もしかして! シェインじゃない!」

 「久し振り。まあ、といっても、一緒に居たんだけどね。後方にだけど」

 「そう、それでその格好は?」

 ミレイは問う。

 「神道兵の格好でもしないと、付いてこれないからね」

 その言葉に、ミレイは溜め息を吐く。

 「あんたは、全く······」


 ミレイ以外の者は唖然としていた。シェインには心臓の病があるのを知っているためだろう。

 皆、何でこんな所に? と思ってそうな表情をしている。

 アイリスも驚愕の表情を浮かべていた。

 「シェイン様······! 何でこの様な危険な所に······」

 「やだなぁ、アイリス姉ちゃん。前みたいにシェインって呼んでよ」

 「それは昔、聖女様のお世話をするため宮殿に居た時の話です」

 「そんなこと言わないでよ······昔も今も変わらないじゃん。呼び捨てしてくれていた時だって、ボクは救世主の力を持ってたし」

 シェインは寂しそうな表情をしている。


 彼の言葉に、アイリスも何処か辛そうだ。

 「変わらないものなんて······無いんです······私は······で、シェイン様は······」

 アイリスの言葉が、部分的に小声でシェインとミレイ達は、良く聞き取れない。

 「今、なんて······?」

 シェインは聞き直す。

 「······何でもありません。それよりシェイン様は、明日戦いが始まりましたら、後方の補給隊に居て下さい」

 シェインは、不満そうだが了承する。

 「仕方ない、分かったよ」


 それから、落ち着いたミレイと仲間達は名乗っていく。

 名乗りが終わると、ディザスターについての情報を聞き、後は作戦を話し合うのだった。




 「では、明日はその段取りでお願いします」アイリスがそう言って、自身の天幕に向かおうとする。

 すると、シングは止めた。

 「あのアイリスさん、教皇様からこれを預かっていたのですが」

 そう言いつつ、アイリスに手渡す。

 「これは······」

 アイリスは包みを開けていく。

 中に入っていたのは、首に掛けられるよう細工された十字架だった。


 「······まさか、神罰の十字架······!」

 アイリスのその言葉に、シングは反応する。

 「神罰の十字架って、この国が保有している神聖具ですよね?」

 「ええ、そうです。この神聖具とシングさんの鋭光の槍があれば、勝利は見えてくるでしょう」

 「それなら安心できますね」


 アイリスは先程とは違って、表情を曇らせる。

 「只、大丈夫でしょうか······?」

 彼女の表情と発言に、シングは「何がですか?」と問う。

 「いえ、何でもありません······」

 アイリスが、何の事か答えなかったので、シングはそれ以上聞かなかった。


 暫くして、夕食の準備が出来たので、各自食事を取る。

 取り終わると、この日は翌日の戦いに備えて、早々に休むのだった。


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