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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志野 ゆもも
神聖グラシア国編
32/102

三十一





 それから三日が経ち、ディザスターを倒すため出立の日がきた。


 ミレイ達は宮殿前にて、今か今かと待っている。

 「出発はいつかしら?」

 ミレイのその言葉に、シングは「いつだろうね······」と答えた。

 彼は、緊張した面持ちで拳を握り締めている。やはり、まだ吹っ切れていないのだろう。

 そのシングとは違って、リアとヴェルストは緊張等とは無縁だった。


 「ディザスターと戦うの初めてなのです! リアの力、見せてやるのですよ!」

 「ちっ、めんどくせぇな······」


 ミレイは、三人を見比べて、(ばらばらじゃない······)と思う。

 そう思うと共に、シングの事も心配だった。

 (······大丈夫。あたしがあんたを、支えてあげるから)


 「それにしても、本当に遅いわね······」ミレイは、そこで何かを見る。一人の神道兵をだ。

 だが、すぐに視線を外す。

 「気のせいね······」




 かなりの時が立って、ようやく準備が整い、出発の時がきた。

 出発の際に、ニコラス教皇から包みに入った何かを渡される。

 それは手に収まる大きさだった。一体何だろうとミレイ達は思う。

 「それでは、シング殿······戦場に着いたら、その包みを司教にお渡し下され。頼みましたぞ」

 そうニコラス教皇に言われて、ミレイ達は見送られる。


 道中、ミレイ達はディザスターのいる場所について、聞く。

 話によれば、六日か七日で着く東の方向に森林地帯があるらしい。

 その場所で何とか、司教率いる神官と神道兵達が、ディザスターの進行を遅れさせているという。

 「そのディザスターを倒せば良いって訳ね。こっちには、神聖具があるんだから倒せるはずよ」

 ミレイのその言葉に対して、ヴィンランド王国の指揮官は「だがこちらに、神聖具があると言っても油断は出来ません」と諫める。


 「そうね。それはそうと、リア。何さりげなく、こいつの腕を組んでいるのよ」

 ミレイはリアを睨み付けた。

 見れば、リアはシングと腕を組んでいた。

 「ミライさんの許可がいるのですか? 初耳なのですよ」

 リアは挑発するように言う。

 「離れなさい、リア!」

 ミレイはそう言いつつ、シングの片方の腕を引っ張って、リアから離そうとした。

 「ミレイ、痛い、痛いから! 引っ張るのは()めよう!」

 シングは本気で痛がっている。

 当然といえば当然だろう。

 ミノタウロスの厄災の力によって、ミレイの腕力等は上がっているのだから。


 程無くして、ミレイとリアの争いは止む。

 話し合いにより、互いにシングと腕を組むという形で。




 それから、七日後の夕暮れ時に、戦場の中でも後方の隊と合流する。

 「それでは、日が暮れるまでお待ち下さい。今日の戦闘が終われば、司教が来ますので」

 一人の神道兵はそう言うと、負傷した者を天幕に運ぶ手伝いに戻った。


 ミレイ達は、夜になるのを待つ。




 程無くして、日が暮れ少し経った時、ミレイ達に近付く足音が聞こえた。

 「お待たせ致しました」

 丁寧な口調の女性の声が響く。


 ミレイ達は声のした方を見るのだった。



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