三十
ノックの音で、ミレイは目を覚ます。
「······誰よ······? こんな朝早くに······」
ミレイは寝台から出て、服を着替えようとする。
「ちょっと待ってなさい!」
だが、着替える前に「入るよ」と声が響き、扉が開けられた。
「なっ! 待ってなさいって言ったわよね! って、あんた、この間の子供じゃない」
ミレイの視線の先には、真剣な表情のシェインが立っている。
「話があって来たんだ······ボクに協力してほしいんだよ」
「······話を聞いてあげるわ。こっちに来たら?」
ミレイにそう促され、シェインは寝台に座った。
「で、何の話よ?」
シェインはその質問に、間を置いてから答える。
「······話っていうのは······ボクに神聖具を創らせてほしいんだよ。そうすれば、現れているディザスターを倒せると思うんだ」
「そんなの駄目に決まってるじゃない」
ミレイの言葉に対して、シェインは「何で、何でだよ! ボクだって役に立ちたいのに!」と立ち上がる。
「駄目なものは駄目よ······さっさと部屋に戻りなさい」
シェインは再び座ると、落ち着きを取り戻した様子で、言葉を発する。
「······ボク、知ってるんだよ。何で皆が、神聖具を創るのを止めるのか······ボクの病気が原因だよね?」
ミレイは一瞬、顔色を変える。シェインに覚られないよう、すぐに表情を戻したが。
だが、シェインは気付く。
「その顔は、やっぱりそうなんだ······。あんなに周りが、必死な顔してちゃね······バレバレだよ」
「その事が分かってて······何であんたは神聖具を創ろうとしてるのよ?」
ミレイは、疑問に思ってそう質問した。
シェインはすぐに答える。
「それは、役に立ちたいんだ。ソフィー姉ちゃんは、聖女として皆のために何かをしている······だからボクだけが、足を引っ張ってるのは嫌なんだよ」
意外な答えに、ミレイは黙ったまま、シェインの顔を見ていた。
「何だよ? その顔は?」
シェインは問う。
「別に······。あんた、意外と繊細なんだって思っただけよ」
「悪いかよ?」
「悪くないわよ。誰だって、悩んだりする事はあるはずだし」
ミレイのそう言い終えると、場が静かになる。
暫くして、シェインは再び、話を本題に戻す。
「やっぱり、ボクに協力してほしいんだ。頼むよ······」
ミレイは溜め息を吐く。
「事情は分かった······でも、協力は出来ないわね」
その言葉にシェインは、「分かった、諦めるよ······」とあっさり引き下がった。
「じゃあ、戻るよ······」
彼はそう言って、扉まで歩いていくと、開けて出ていく。
扉は静かに閉められるのだった。




