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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
神聖グラシア国編
31/102

三十





 ノックの音で、ミレイは目を覚ます。

 「······誰よ······? こんな朝早くに······」

 ミレイは寝台から出て、服を着替えようとする。

 「ちょっと待ってなさい!」

 だが、着替える前に「入るよ」と声が響き、扉が開けられた。


 「なっ! 待ってなさいって言ったわよね! って、あんた、この間の子供じゃない」

 ミレイの視線の先には、真剣な表情のシェインが立っている。

 「話があって来たんだ······ボクに協力してほしいんだよ」

 「······話を聞いてあげるわ。こっちに来たら?」


 ミレイにそう促され、シェインは寝台に座った。

 「で、何の話よ?」

 シェインはその質問に、間を置いてから答える。

 「······話っていうのは······ボクに神聖具を創らせてほしいんだよ。そうすれば、現れているディザスターを倒せると思うんだ」

 「そんなの駄目に決まってるじゃない」

 ミレイの言葉に対して、シェインは「何で、何でだよ! ボクだって役に立ちたいのに!」と立ち上がる。

 「駄目なものは駄目よ······さっさと部屋に戻りなさい」


 シェインは再び座ると、落ち着きを取り戻した様子で、言葉を発する。

 「······ボク、知ってるんだよ。何で皆が、神聖具を創るのを止めるのか······ボクの病気が原因だよね?」

 ミレイは一瞬、顔色を変える。シェインに(さと)られないよう、すぐに表情を戻したが。

 だが、シェインは気付く。

 「その顔は、やっぱりそうなんだ······。あんなに周りが、必死な顔してちゃね······バレバレだよ」


 「その事が分かってて······何であんたは神聖具を創ろうとしてるのよ?」

 ミレイは、疑問に思ってそう質問した。

 シェインはすぐに答える。

 「それは、役に立ちたいんだ。ソフィー姉ちゃんは、聖女として皆のために何かをしている······だからボクだけが、足を引っ張ってるのは嫌なんだよ」

 意外な答えに、ミレイは黙ったまま、シェインの顔を見ていた。

 「何だよ? その顔は?」

 シェインは問う。


 「別に······。あんた、意外と繊細なんだって思っただけよ」

 「悪いかよ?」

 「悪くないわよ。誰だって、悩んだりする事はあるはずだし」

 ミレイのそう言い終えると、場が静かになる。


 暫くして、シェインは再び、話を本題に戻す。

 「やっぱり、ボクに協力してほしいんだ。頼むよ······」

 ミレイは溜め息を吐く。

 「事情は分かった······でも、協力は出来ないわね」

 その言葉にシェインは、「分かった、諦めるよ······」とあっさり引き下がった。


 「じゃあ、戻るよ······」

 彼はそう言って、扉まで歩いていくと、開けて出ていく。

 扉は静かに閉められるのだった。



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