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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
神聖グラシア国編
27/102

二十六





 一行は、二ヶ月程の航海を得て、神聖グラシア国の島にある港都市に着いていた。

 更に、七度(ななたび)太陽が昇りを繰返し南に差し掛かった頃、中心地である都に辿り着いたのだった。


 「やっと着いたのですよ~。リアは疲れました······」

 リアは、膝に手を突いた姿勢でそう言った。

 「早速で悪いのですが······聖女様と教皇様に謁見したいので······」

 指揮官の言葉を聞いて、ミレイがリアに言う。

 「······だ、そうよ。リア、さっさと行くわよ」

 「そんな~。ミライさん、待ってなのです~」

 先に行こうとするミレイとリアを、指揮官が呼び止める。

 「お待ち下さい。まず先に行くところがありますので······」


 「先に行く所······? どこよ?」

 ミレイは、疑問を浮かべた表情をしていた。

 「どこなのですか?」

 リアも分からないみたいだ。

 シングも分からず、「どこだろう?」と言っている。

 すると、ヴェルストが溜め息を吐き、発言する。

 「お前ら、本気で言ってやがるのか? オレらは、長旅をしてきてんだ。それにここは、水の都とも呼ばれてる。一つしかねえだろうが······」


 その言葉で、ミレイ、シング、リアは閃いた。

 指揮官はヴェルストに賛同するように言葉を発する。

 「その通りです。我々が先に行く所は······」




 一行は、街中にある大きな建物に来ていた。

 「ここが······」

 ミレイは若干嬉しそうに、何か言おうとする。

 だが、目を輝かせたリアに遮られる。

 「ここが、浴場なのですね!」

 「そうね。それはそうと、リア、声がでかいわよ······目立つじゃない」

 ミレイは微かに、恥ずかしそうにしていた。


 「それじゃ入りに行くのです!」

 リアはそう言うと、ミレイと共に右の通路に入って行こうとする。

 シングやヴェルストは、左の通路へ向かっていく。

 去り際にミレイは、シングに話し掛ける。

 「後でね」

 「うん」




 浴場にて、一糸まとわぬ姿のミレイは、考えていた。

 (······シング、浮かない顔をしていたわね······でも、決めたじゃない······あたしがシングを支えるって······)

 「······ラ······イ······ん······」

 「······ラ······さ······ん」

 「ミ······イ······さ······ん」

 「ミライさん!」

 そこでようやく、ミレイはリアに呼ばれている事に気付く。

 「なっ! 何よ! 驚かせないでよ!」


 「さっきから呼んでいたのですが······考え事なのですか?」

 「なんでもないわよ」

 「リアで良かったら、相談にのるのですよ?」

 「あんたに相談しても、役に立ちそうにないわね」

 ミレイは冗談めかして言った。

 「ひどいのです~」

 リアは、軽く傷付いたような表情をする。

 「冗談よ」

 ミレイはそこで、一息吐くと語り出す。


 「あいつの事なんだけど······」

 「あいつとは誰なのですか?」

 「シングの事に決まってるじゃない······そのあいつが、何か悩んでるみたいなのよ······」

 「気付かなかったのです! シングさんが悩みを抱えていたなんて······いつからなのですか?」

 リアが問うと、ミレイは答える。

 「ヴィンランド王国の宴の夜からよ······」

 「ミレイさんは、どうするつもりなのですか?」

 リアは、真剣な表情で質問した。この時彼女は、ミレイの名前をミライと間違えなかった。


 「相談にのるって言っても、無理だったんだから······決まっているじゃない。あたしがあいつを······シングを支えてあげるだけよ」

 ミレイの言葉を聞いて、リアは「そうなのですか······」とだけ言った。

 そこでリアは一拍置き、再び言葉を発する。

 「なら、協力するのですよ! リアもシングさんを支えるのです!」

 「リアなら、そう言うと思ったわよ······」

 「ミライさん! それじゃ、シングさん支援同盟結成なのですよ!」

 リアは高らかに声を上げた。

 「あんたは逆に、思わない失敗しそうで怖いわ」

 「何言ってるのですか。リアに任せてくれれば、安心なのですよ」

 リアは胸を張る。

 「頼んだわよ、リア」

 「はいなのです!」


 「それはそうと······」

 ミレイは、リアの首元から少し下に視線を注いでいる。

 「リア、あんた······あたしより良いもの持ってるじゃない······」

 リアは咄嗟に、胸を両腕で隠す。

 「ミライさん、何言ってるのですか!? リアなんて、平均的で······!」

 慌てつつ言うリア。

 「何よ? それは、あたしの胸が小さいって言いたいの?」

 ミレイはそこまで言うと、何かを閃いた表情をする。


 「そうゆうあんたには······こうよ!」

 ミレイは、リアの胸を触ろうとする。

 「ミライさん、やめ······やめるのですよ~」

 「この感じ······平均とはいえ、あたしよりはあるし······羨ましいわ······」

 「やめるのですよ~。いい加減に······」

 リアはそう言うと、反撃に出た。

 「するのです!」

 ミレイの胸に両手で触るが、そこで「ん?」と声を上げ、動きを止める。

 「何よ? どうしたのよ、リア?」

 「ミライさん、揉める程ないのです······」

 リアのその言葉に、ミレイは「悪かったわね! なくて!」と半分腹を立てた。

 ミレイは再び、リアに襲い掛かる。


 「ミライ······さん! やめ······やめるのです! リアが悪かったから、許してなのですよ~」

 「いいえ、許さないわ! リア、あんたの胸で払って貰うわよ!」

 「そんな、ミライさん······! 許してなのです~」


 ミレイの手によって、リアの声が浴場一杯に響き渡った。



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