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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
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二十三





 空が紺の色味に包まれて、それなりの時が経つ。

 街中は再び、人の喧騒で一杯だった。


 ミレイ達四人も、いる。

 「皆さん、見てください! あれが······」

 リアは、指を差しつつ声を上げるが、言葉が途切れた。

 その理由は中央通りの前方にある。

 ミレイ達に向かってくるのは、芸をしている集団だった。

 恐らく、輝炎の一座だろう。

 一人一人が、違う魔法の属性をナイフに纏わせて、ジャグリングをしている。

 その中でも、座長のマリエーネは、輝く炎をナイフに纏わせて、しかも宙高くジャグリングしていた。


 一本一本のナイフが宙高く舞う度、輝く炎の欠片が地上に降り注ぐ。

 「綺麗なのです······」

 リアが見とれながら言うと、シングも同意する。何処か、様子が違うが。

 「うん、そうだね」

 「悪くないわね。それにしても、あんた、何か考え事?」

 ミレイは、シングの様子に気付いて問う。


 「······やっぱり、ミレイには気付かれるね」

 シングは、後頭部に手を回す。

 「あたしで良ければ、相談に乗ってあげるわよ」

 ミレイは意を決して言うが、シングは断る。

 「いや、それはいいよ。僕の問題だから······さ」

 「そう······」

 ミレイは若干、顔を俯かせた。


 「······あの······ね」

 ミレイは、シングの顔を見て何かを言おうとする。

 だが、彼の言葉に遮られた。

 「ミレイ、それよりも何か食べ物でも買ってくるよ」

 シングはそう言うと、その場を後にしていく。

 「ちょっと、待っ······!」

 ミレイは止めようとするが、喧騒に紛れて声は届かなかった。




 シングは、人混みを掻き分けていって路地裏にいた。

 「僕じゃ、ミレイを守れなかった······」

 彼は、拳を握り締めると煉瓦作りの壁を叩く。

 「僕じゃ駄目なのか······!」




 ミレイは、輝炎の一座の芸を眺めながらも、一転、寂しさを感じさせる表情をしていた。

 「あたしじゃ······力になれないっていうの······?」

 ミレイの呟きに、リアは反応する。

 「何か言ったのです? ミライさん?」

 「何でもないわよ······」

 「そうですか······。あれ、そういえばシングさんとヴェルストは?」

 リアはそこで、二人がいないことに気付いた。


 建物の屋根にヴェルストは腰掛けている。

 「くだらねぇ······」

 ヴェルストは、輝炎の一座の芸、街中の様子を見ながら呟いた。


 宴が盛り上がる中、夜は徐々に更けていく。







 闇夜が白け、朝日が昇り始めた頃。

 ミレイ、シング、リアは王宮が手配した馬車に乗って出立しようとしていた。

 周りには、王国兵と魔法使団らしき数十名が控えている。

 「それではシング様、こちらが信書になります。どうか宜しくお願い致しますぞ」

 宰相は、信書を渡す。

 「ウォルソン宰相、確かに」

 シングは、信書を受け取る。


 「あの······昨日の事なんだけど······」

 ミレイは、シングに話し掛けようとするが、リアの声で遮られた。

 「出発なのです! シングさん、ミライさん、行くのですよ!」

 リアは早々と馬車に乗っていく。

 「うん、そうだね。行こうか」

 シングはそう答え、馬車に乗ろうとする。

 ふと彼は、立ち止まっているミレイに気付いた。

 「どうしたの、ミレイ?」

 ミレイは何かを言おうとするが、言葉にするのを止めた。


 「なんでもないわよ······」

 ミレイはそう返すと、馬車に乗る。

 三人が乗り込むと、馬に跨がっている先頭の王国兵達がゆっくりと動いていく。すると、ミレイ達の馬車も静かに動き出した。

 後方にも、王国兵や魔法使団が控えていて、合わせるように進んでいった。




 王都の出入口の門近くにて、ヴェルストが待っている。

 王国兵達は話に聞いていたようで、一行は進みを止めた。

 「ようやく、来たか······」

 ヴェルストは気だるそうに言うと、ミレイ達の馬車に近付く。

 彼が乗り込むと、一行は再び、進んでいった。

 そのまま、王都の門を抜けて南を目指すのであった。



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